2016 プロ野球を楽しむ

2016年4月8日(金)更新

山本昌が見た注目の5人の可能性。

 2016年のシーズン展望を問われた山本昌は「予想としてはつまらないですが」と前置きしたうえで、こう答えた。

「やっぱりソフトバンク、強そうですね。私はウエスタン・リーグでもプレーしましたが、ソフトバンクは二軍も強いんですよ。三軍制度も敷いていますし、層が厚い。工藤(公康)監督は弱気に見せかけて実は非常に落ち着いていて、チームを掌握している。巨人がV9を達成した時のような“黄金時代”の入り口に立っている気がします」

 ただ、パ・リーグはソフトバンクが独走する構図になるとは言い切れない、という。

「他の5球団は血眼になってソフトバンクを標的にしてくるでしょうからね。各チームがエースをぶつけて立ち向かってくる。ソフトバンクが頭一つ抜けているとは思いますが、王者を倒す可能性のあるチームがないわけではありません」

打倒ソフトバンクの急先鋒・大谷翔平。

 打倒ソフトバンクがキーワードとなるパ・リーグで、その急先鋒となりそうなのが日本ハムの大谷翔平だ。

 山本は、二刀流への挑戦を続ける21歳に賛辞を惜しまない。

「私は160kmのストレートを投げる選手に投手をやめろとは言えませんし、バックスクリーンにぼんぼん放り込む選手に打者をやめろとも言えません。おそらく今、日本で一番飛距離が出るのは彼じゃないでしょうか。これだけの素質を投と打の2つとも併せ持った選手は、もしかしたら80年余りのプロ野球の歴史の中で最大の逸材かもしれません」

 山本はさらに、投手としての大谷のポテンシャルをこう表現した。

「世界一の投手になる可能性もあると私は思っています。今の時点でも完成度は7割程度。一球一球の精度を上げてフォアボールを減らしていけば、自然に勝ち星は増えていくでしょう。20勝できる器だと思いますし、まだまだ伸びしろはありますよ」

「相性というのは毎年変わる」

 気がかりなのは、昨季、ソフトバンクに打ち込まれる試合が多かった点だ。4試合に先発して1勝2敗、防御率は6点台と苦しめられた。

「経験から言うと、相性というのは毎年変わるんです。特に対チームという意味ではそこまで気にする必要はない。自分のピッチングさえすれば、昨年ほど打たれることはないと思います」

 一方のセ・リーグ。山本は「だんご状態。どこが優勝してもおかしくない」としながら、オープン戦が始まる前に導き出した“日本一早い順位予想”では、阪神を優勝候補に挙げたという。

「故障者の有無や外国人選手の出来などによって予想は変わってきますが、阪神を推したのは投手陣が充実しているから。右の藤浪晋太郎、メッセンジャー、左の能見篤史、岩田稔と左右のバランスがいい4人の先発が揃っている。藤川球児選手も帰ってきましたしね。チームの課題はマートンや呉昇桓の抜けた穴をどう埋めるか。金本(知憲)新監督の腕の見せ所でしょう」

実は大谷より勝利数の多い藤浪。

 その阪神でエースの地位を確立しつつあるのが、藤浪だ。

「実は大谷選手より藤浪選手の方が勝ってるんですよね(プロ3年で大谷29勝、藤浪35勝)。非常にクレバーですし、試合の流れを読みながら強弱をつけたり、ギヤの上げ下げをしたりと、私たちがベテランになってからやり始めたようなことを21歳で考え、すでにできている」

 さらなる成長は大谷同様、「制球の安定度にかかっている」と指摘した。

 粗さが魅力だとする解説も耳にするが、山本はきっぱりと言い切る。

「私の確率重視の観点からいくと、粗さなんて全く必要ない。ボールが先行すれば被安打率は当然上がります。荒れ球では10勝10敗のピッチャーにしかなれません。やはり常に安定したボールを投げてこそ、貯金の作れるピッチャーになれる。藤浪選手は貯金を10近く作れるピッチャーだと思います」

昨季飛躍したリリーフ・松井裕樹。

 リリーフ陣にも楽しみな選手がいる。昨季、守護神として飛躍を遂げた20歳の松井裕樹(楽天)だ。

 高卒2年目にして抑えに転向するなり、3勝2敗33セーブ、防御率0.87という好成績を残せた秘密はどこにあるのか。同じ左腕投手の視点から、山本は解説する。

「ストレートと同じ腕の振りで変化球が投げられるところでしょう。しかも右バッターから逃げていくチェンジアップと食い込んでいくスライダーという、左右に曲がる変化球がある。同じ腕の振りでどちらに曲がるか分からない、はたまたストレートかもしれないとなれば、少ない打席の中で打つのは至難の業。真っ直ぐが走っている間は、そうは打たれないと思います」

 しかし、先発に挑戦した1年目を終えてのリリーフ転向には複雑な思いもあるのではと、つい想像したくなる。

「故障さえなければ30セーブ以上は間違いない」

「キャンプ地を訪問した時、そのことを尋ねたら、クローザーを任されていることを意気に感じてやっている、と言ってましたよ。高校時代は、鋭く曲がる鬼のようなスライダーが武器でしたが、今はどちらかと言うとチェンジアップを駆使するタイプ。キャンプでは曲がりの小さいスライダーを練習していましたし、そうした球種を覚えることで投球の幅は広がるでしょう。今シーズンはプロ3年目ということで慣れも出てきますから、故障さえなければ30セーブ以上は間違いないと見ています」

 打者に目を移すと、やはり昨季トリプルスリーを達成した柳田悠岐(ソフトバンク)と山田哲人(ヤクルト)の2人が、今年どれだけの成績を残せるのかに注目が集まっている。

 まずは打率.363、34本塁打、32盗塁の柳田。山本は「今年も3割・30本・30盗塁できる確率は非常に高い」と言う。

柳田と対戦するならどんな配球?

「彼の能力なら、ホームランと盗塁は、本人が目標にしている『40本・40盗塁』の可能性も十分にある。ただ、課題になるとすれば打率です。プロ野球の常として活躍した次の年はマークが厳しくなりますから、そうなると打率が一番落ちやすい。研究してくる相手投手の攻めをどう乗り切るかが問われます」

 では山本は、柳田との対戦を想定する時、どんな配球を頭に描くのか。

「日本シリーズでヤクルトの久古(健太郎)投手が彼を封じたような、インコースをしっかり攻める投球が参考になる。内を意識させて外のスライダー。今度は外のスライダーを意識させておいて内を攻める。そうやって左右両コーナーを意識させることが有効だと思います。ただ、あれだけ振られると、『あれ、タイミング合ってるのかな』と投手は不安になりますね。タイミングが合っていないと、あんなフルスイングできないですから」

山田の飛ばす力と、今季の課題。

 一方、23歳の山田は、打率.329、38本塁打、34盗塁と堂々たる成績でヤクルトのリーグ優勝に大きく貢献した。山本は実際に対戦した経験から、山田の特徴をこう語る。

「バットを振り始めてからインパクトまでが非常に速い。だからボールを近くまで引きつけて打つことができるんです。体は小さいですが、回転力で遠くに飛ばす力もある。今年は、打率は昨年ぐらいの数字を残せるでしょうし、盗塁数も30は稼げると思いますが、ネックになってくるのはホームランでしょうね」

 本塁打数が減ると読むのはやはりマークの厳しさが理由だが、柳田のケースとはやや事情が異なるという。

「左打者には左腕のワンポイント投手が出てきたり、絶対にヒットを打たせない“専門職”がいますから、柳田選手は苦労するはず。一方で右打者の山田選手に対しては、本拠地がホームランの出やすい神宮球場ということもあって、ピッチャーはヒットならOK、ホームランさえ打たれなければよし、という配球になりやすい。私が投げるとしても体から一番遠いところ、アウトロー中心の攻めになるでしょう」

解説者1年生・山本昌を驚かせることができるか?

 史上初の2年連続トリプルスリーを達成するために、柳田は打率、山田はホームランが課題になるかもしれない――そう確認すると、山本は言った。

「とはいえ、あくまで私の予想ですから。外れたら、彼らの力の方が上だったということだと思ってもらって結構です」

 2016年、“注目の5人”は、現役生活32年の経験を有する解説者1年生を驚かせることができるだろうか。予想以上の活躍に大いに期待したい。

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