エディー・ジョーンズ J:COMスペシャルフォト・インタビュー

わずか半年でラグビーの母国イングランドを再建し、今や世界有数のラグビーコーチとしてその名をとどろかせているエディー・ジョーンズだが、日本のラグビーを思う気持ちは昔と変わらないという。そんなエディーに、春シーズンを振り返ってもらうとともに、間もなく開幕するトップリーグの見どころ、注目選手について語ってもらった。

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「日本のラグビーは、代表もサンウルブズもほとんど見ています」

――6月のテストマッチ(国レベルの対抗戦)では、昨年のワールドカップ準優勝のオーストラリア代表に3連勝。おめでとうございます。

「ありがとうございます。オーストラリア代表はとても強いチームですが、6月のシリーズに関しては、経験豊富なバックスが何人かいなかったので、そのバックスに対して、前でプレッシャーをかけ続ければこちらの展開になるかなと考えていたんですが、その通りになりました。」

――日本のヘッドコーチをやっていた時は、“JAPAN WAY”という方針を打ち出されていましたが、イングランドでも何らかの方針を打ち出されているのですか?

「日本いる時ほど細かくありませんが、イングランドらしく戦おうということは常に考えています。」

――その「イングランドらしく」というのは?

「パワーを最大限に生かしながら、セットピース(スクラムやラインアウトなど)重視で戦おうと考えています。また、ディフェンスではアグレッシブに戦い、アタックではスマートに頭を使って攻撃していくことを目標にしています。」

――今でも日本の試合はご覧になることは?

「しっかり見ていますよ(笑)。日本代表もサンウルブズの試合も。ほとんど見ています。」

――6月に行われたスコットランド戦に関しては、どう思われました?

「第1戦はいい試合をしていましたね。第2試合に関しては、スコットランドがメンバーを落としてきただけに、もう少し上手くできたかなという感じはしました。もっともワールドカップ後、若手を育成していかないといけないという時期に入っているわけですから、仕方がない部分もあると思います。ただ、一つ言っておきたいのは、その選手に可能性があるのならば、我慢強く待つことです。もちろん、結果がついてくればそれにこしたことはないのですが。」

――日本代表、サンウルブズで印象に残った選手はいましたか?

「2人、目立った選手がいました。一人はキンちゃん(大野均/LO/東芝)。信じられないですねぇ(笑)。彼は38歳なのに、見るたびに良くなっていっている。サンウルブズの中でも、毎回トップ5に入る働きをしていますからね。本当に素晴らしい。彼の遺伝子を誰か研究するべきだと思います。もう一人は立川(理道/CTB/クボタ)。彼も順調に成長している。正しいプレー選択が常にできるようになりましたからね。あと、スクラムハーフの茂野(海人/SH/NEC)も可能性がある選手。少しボールを持ちすぎるという悪い癖があるので、その部分は修正しないといけませんが。」

――イングランドのプレミアリーグではジャパン戦士のアナマキ・レレィ・マフィ(No.8/NTTコミュニケーションズ)と畠山健介(PR/サントリー)が活躍していました。

「畠山は楽しみな選手ですね。彼はイングランドでプレーすることで、どんどん良くなった。タイトヘッド(右プロップ)としては体重が軽いので、厳しい部分もあったと思いますが、学んだことも多かったと思います。ナキ(アナマキ)に関しては、その才能をいかんなく発揮していたと思います。いつ見ても彼は素晴らしい。ただ、彼のことは少し心配しています。かなり疲れているんじゃないかと。スコットランド戦でもいつものナキじゃなかったですからね」

――山田章仁(WTB/パナソニック)もスーパーラグビーでトライを量産するなど頑張っていたように思いますが。

「すごくいいプレーをしていたと思います。彼も素晴らしい選手。ただ彼の場合、もっと早くから活躍して欲しかったのですが(笑)。今、初めてまともなラグビー選手としてプレーをしている。これらかも懸命に努力して、さらに本物を目指してほしいですね」

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「優勝はパナソニックで決まりでしょう。負ける要素が見当たらない」

――8月末からいよいよ国内最高峰のトップリーグが始まります。トップリーグの楽しみ方みたいなものがあったら教えて下さい。

「トップリーグの素晴らしいところは、ほとんどのチームがアタッキング(攻撃的)ラグビーをするところですね。だから、ボールの動きだったり、各チームがどうやってトライにもっていこうとしているかなどを見ると面白いと思いますね」

――現在、パナソニックが3連覇中ですが、今シーズンはどんな展開になると思いますか?

「今シーズンもパナソニックで決まりでしょう(笑)。ほかのチームがパナソニックに勝つのは難しいと思いますね」

――パナソニックの強さの秘密はどのあたりにあるのですか?

「まず、トップリーグのチームの中でもNo.1といえるぐらいタレントが集まっていることですね。山田、田中(史朗/SH)、堀江(翔太/HO)と、日本代表の中心になっている選手も多い。また、若い選手のリクルートも上手く、今年も、福岡堅樹(WTB/筑波大)、藤田慶和(WTB・FB/早稲田大)、坂手淳史(HO/帝京大)という大学ラグビーの中でもトップ3の選手を獲得している。しかも、ベテランと若手がうまく融合しているし、戦い方に関しても実に明確。指導に関しても、ヘッドコーチのロビー・ディーンズはもともと優秀な指導者ですが、チームを実にうまくコントロールしていると思います。」

――強いて対抗馬をあげるとすれば、どのチームでしょうか?

「神戸製鋼ですね。神戸というのはここ数年、いい選手がいるのに、それに伴った成績を残せていませんでしたからね。山下裕史(PR)、平島久照(PR)、木津武士(HO)、伊藤鐘史(LO)、山中亮平(SO)と日本を代表する選手がたくさんいるんだからもっと上位にいてもおかしくない。期待は、今シーズン、ヘッドコーチに就任したジム・マッケイ。彼は私と同じクラブ(オーストラリア)の出身なんですが、彼が神戸にアタッキングラグビーを浸透させてくれないかなと。もしかしたら、眠っているジャイアントを起こすきっかけになるかもしれません。」

――昨シーズンは、東芝がトップリーグ準優勝と健闘しましたが。

「上に行くとは思うけど東芝にはいくつかの不安材料があります。まず一つは、廣瀬俊朗が引退してしまったこと。日本代表でもそうだったのですが、廣瀬というのはグラウンドの中ではもちろんですが、グラウンドの外でも大きな働きをする選手。彼がいなくなったのは大きな痛手です。また、キンちゃん、リーチ マイケル(FL・No.8)という2人の中心選手がスーパーラグビーを戦ったことでかなり疲れているんじゃないかというのも心配ですね。」

――かつてご自身が2年連続で優勝に導いた(11-12、12-13シーズン)サントリーはどうですか? 昨シーズンは9位に沈みましたが。

「悲しいですね(笑)。どうすればあそこまで落ちることができるのか。明るい材料としては、今シーズンから沢木敬介コーチが指揮を執ること。彼がチームに魂を注入してくれると思いますよ。また、プレースタイルに関しても明確に指導してくれるのではないでしょうか。再び戻ってくるジョージ・スミスもチームにいい影響を与えてくれるかもしれません。ただ、彼も37歳。イングランドでの長いシーズンを終えてからのトップリーグ参戦なので、どれだけ自分のプレーができるかは疑問ですが。」

「楽しみなのは福岡堅樹と藤田慶和。彼らがトップリーグに火をつけるかも」

――選手で楽しみなのは誰でしょうか?

「特に今シーズン楽しみにしているのは、パナソニックに入ったスピードのある若い2人、福岡と藤田です。彼らは昨年のワールドカップを経験しているし、今年のオリンピックでもいい経験をするはず。ラグビー選手としての経験値を上げてトップリーグでプレーすることになると思うのでとても楽しみです。彼らがトップリーグに火をつけるんじゃないかと思っているくらいです。」

――以前から日本のラグビー界は若手の育成に問題があるとおっしゃっていたのですが、その問題は解消されたのでしょうか?

「全然ダメですね。今でもトップリーグと大学ラグビーとのギャップが大き過ぎます。だから選手が育つのに時間がかかる。」

――そのギャップを埋めるためには、どうすればいいのでしょうか?

「これも4年間言い続けてきたことなんですが、大学ラグビーでエリートの選手30人を集めて、体づくりと技術指導を行ってきちんと育てることが必要です。しかし残念ながら、今の日本ではそれは実現しないでしょう。」

――今、日本のラグビーは19年のワールドカップに向けてさらなる発展を遂げなければいけないわけですが、トップリーグの選手に対して、何かアドバイスがあれば。

「19年のワールドカップで成功するためには、まずは個々が強くならなければいけませんね。具体的には、フィットネスを今の状態から10~15%上げていかなければいけない。そしてそれを実現するためには、何かを犠牲にしなければいけません。そうすれば必ずチャンスが訪れるはずです。」

――それがトップリーグのレベルアップにもつながる?

「その通りです。選手の質が良くなれば、大会自体の質も上がりますからね。みんなに頑張ってもらって、トップリーグをますます面白くしてほしいと思っています。」

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ジャパンラグビートップリーグ16/17<J SPORTS 1 HD>

9月2日(金) 7:15~9:30(生中継)ほか

※J SPORTS 2・3・4 HDでも放送


©2016, JRFU Photo by Yuuri Tanimoto

週末に開催され、16チームが総当たり戦で激突。
W杯を沸かせた日本人選手や世界の大物選手たちのスーパープレーに酔いしれよう!

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