小学生のころから女優として目覚しい活躍をし続けてきた鈴木杏と、
10代半ばから本格的に女優としての活動を始め、その独自の存在感で活躍の場を広げてきた蒼井優。

若くして才能を開花させ今もその道を進む二人にとって、ひとつの大きな転機になった映画がある。

岩井俊二監督が2004年に発表した『花とアリス』。

それから月日が流れて10年余り、彼女たちは忘れられない思い出の世界に再び立った。

公開から10年以上が経ったいまでもなお色褪せることなく輝き続け、思春期を描いたティーン映画の傑作と謳われる『花とアリス』。この作品で蒼井優と鈴木杏という若き女優に出会い、彼女たちを心に深く刻まれた人も多いに違いない。

ここに映される二人の姿は、当時、いや今も、もはや役を超えて"花=鈴木杏""アリス=蒼井優"であり、"鈴木杏=花""蒼井優=アリス"でしかないという印象を残すのではないだろうか?

それから10年以上が過ぎ去った今、花とアリスの出会いを描いたアニメ映画『花とアリス殺人事件』が誕生した。

この10年、鈴木と蒼井は互いを時に意識しつつ、時に励みにしながらそれぞれの道を歩んできた。若手から大人の女優へ。成長を遂げた二人が、再び"花"と"アリス"になってスクリーンに戻ってきた。

「自分自身が再び花役を演じることを期待していた」
(鈴木杏)

??『花とアリス』が発表されたのは今から約10年前の2004年のこと。お二人とも10代でした。
今、改めて振り返ってみて、この作品の存在をお二人はどう感じているのでしょう。
ひとつ転機になる作品だったとは思うのですが?

蒼井当時、私はまだ女優とデビューして間もない頃で、この道を今後進んでいくのか定かではありませんでした。
ましてや、たとえば街を歩いていると人に声をかけられるようなことに自分がなるなんて微塵も思っていなかった。
振り返ると『花とアリス』で過ごした日々が、"蒼井優"としてではなく、ただのひとりの人として見られ、かつ、いられた最後の時間で。
それは自分にとっての10代という青春を謳歌した最後の時間だった気がする。それこそ、杏と一緒に原宿とかブラブラ歩いたりして。
今考えると、当時、もう杏は名前が知られていたから、よく堂々と歩いていたなと思うけど(笑)。

鈴木行った、行った(笑)。

蒼井そういう時間がすごく愛しくて。もちろん役者としての大きなターニングポイントになったことは確かなんだけど、
それ以上にこの作品で過ごした時間が自分にとってかけがえのない宝物になっている。

鈴木私もいろいろな転機になったことは確か。中でもとりわけ大きかったのは、何を隠そう"蒼井優"に出会えたこと(笑顔)。
その後、優ちゃんがいてくれたことでどれだけ助けられたことか。それぐらい私にとって"蒼井優"は最重要人物で今もいろいろと刺激や影響を受ける存在。
そういう出会いをいただけた意味でも『花とアリス』は特別で。今でも感謝しています。

??そういうそれぞれの想いがある中で、岩井監督が『花とアリス』の前日譚を描く映画を作る、しかもアニメで、という一報をきいたとき、率直にどう思われましたか?

鈴木意外だけど、驚かなかったというか。どこか『花とアリス』は何かもう一度、自分が向き合うときが来るんじゃないかと思っていたんです。
裏を返すと、自分自身が再び花役を演じることを期待していたのかもしれない。

蒼井私はとにかく喜びが大きかった。
30歳を前にして、中学生の声を自分がやるという恐れ多さに録音ブースに入ってようやく初めて気づくぐらい(笑)、喜びが大きかったです。

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「あのとき演じたアリスを大切にして演じようと思って」
(蒼井優)

??花とアリスという同じ役に再び向き合うと同時に、今回は声だけで演じる。しかも設定上、前回演じた花とアリスよりもさらに若い14歳の少女を表現しなくてはならない。悩むことはなかったですか?

蒼井はじめに声を出してまず思ったのは"私声が太くなったなぁ"と(笑)。
10代の頃はもうちょっとキーが高かった気がしたから、初めは不安になったというか。

鈴木でも、いくつかのシーンを見たけど、ほんとうに10年前のあのときのアリスだったよ。

蒼井よかった。とにかくもう最後は、あのとき演じたアリスを大切にして演じようと思って。あとはもう岩井さんを信じようと(笑)でも、私も杏のアフレコしたシーンをいくつか見たけど、やっぱり変わらずに"花"で。なんか、あのときの"花"にまた出逢えたのがすごく不思議で。その次にうれしい気持ちがこみ上げてきた。

鈴木私も。なんだろうね、このうれしさ。ひと言では言い表せない! 私はちゃんと中学生の声になれるのか以上に、花にちゃんと再会できるのか不安だったの。でも、私の中の記憶のドアをノックしてみたら、ちゃんと花が残っていてくれた。これがすごくうれしかった。今まで役って自分の体を通り過ぎていくものとどこか思っていたけど、そうじゃない。いつまでもきちんと体に残っていてくれるものなんだなぁと実感できて、すごく幸せな気持ちでいっぱいになった。

??今回、J:COMでは映画の公開に併せて、お二人が過去に出演した作品の放送を予定しています。

鈴木最近、ようやく自分の過去の作品を客観視できるようになりました。それこそ10年前の作品とかになると、画面に映っているのが自分というより自分の妹のように思えて。"このときの自分、がんばっているなぁ"といったように素直に受け止められるようになったんです。たとえば"「青い鳥」が再放送されていて"見たよ"と周囲の人に声をかけられると、以前は気恥ずかしさが先にたったんですけど、今は素直にうれしいというか。もちろん子供時代の自分を見られてしまう恥ずかしさは今もあるんですけど、それよりも"こんなに長く見てもらえる作品に自分は出ることができたんだなぁ"と思って。なので、再放送の機会があることに、今はすごく感謝しています。

蒼井私は杏とは違って、いまだに自分の出演した作品を客観視できない。自分の未熟さばかりが目につくから、もう過去からは逃げて、なるべく前だけを見るようにしている(苦笑)。ただ、作品はすでに世に出たものだから、やはりひとりでも多くの人に見てもらえたらとてもうれしいです。

2015/1/14掲載

撮影:松田忠雄
ヘア&メイク:石川智恵<蒼井分>、佐々木博美(No.9)<鈴木分>
スタイリング:森上摂子(shirayamaoffice)<蒼井分>、志葉則行&YUKIKO<鈴木分>
衣装協力:ゼルダ、ブティック ニコル<鈴木分>
取材・文:水上賢治

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関連作品

蒼井優×鈴木杏主演映画のご紹介

「花とアリス殺人事件」

2015年2月20日(金)より新宿バルト9他で全国ロードショー

STORY

石ノ森学園中学校へ転校してきた中学3年生の有栖川徹子(通称アリス/声:蒼井優)は、一年前に3年1組で起こった、「ユダが、四人のユダに殺された」というウワサを聞かされる。さらに、アリスの隣の家が<花屋敷>と呼ばれ、近隣の中学生に怖れられていることを知る。その花屋敷に住む「ハナ」ならユダについて詳しいはずだと教えられたアリスは、花屋敷に潜入する。そこで待ち構えていたのは、不登校のクラスメイト・荒井花(通称ハナ/声:鈴木杏)だった…。

原作・脚本・音楽・監督:岩井俊二
声の出演:蒼井優、鈴木杏、勝地涼、黒木華、木村多江、平泉成、相田翔子、鈴木蘭々、郭智博、キムラ緑子
配給:ティ・ジョイ
//hana-alice.jp

花とアリス殺人事件

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出演作品

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