長谷川博己×石原さとみ J:COMスペシャルフォト・インタビュー

水爆実験によりその眠りを呼び覚まされたゴジラ。
日本のみならず、世界を破壊の恐怖に陥れ、1954年の第1作から現在まで日本版28本(正確には海外公開版として『怪獣王ゴジラ』も製作されている)、海外版2作が製作・公開されヒットを続けてきた。
そんなゴジラが2004年の「ゴジラ FINAL WARS」以来12年ぶりに日本での新作映画としてこの夏公開される。
果たして今回のゴジラも東京に上陸。その強大な力により都市を焦土と化すのか?
ゴジラ駆除対策班として活動する中心となるのが、長谷川博己演じる内閣官房副長官の矢口と、石原さとみ演じる米国国務省からゴジラ対策に派遣されて来るエージェント・カヨコ。二人は、今回の「シン・ゴジラ」にどのような思いを持って臨んだのだろうか。

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進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

©2015 映画「進撃の巨人」製作委員会
©諫山創/講談社

今の日本だからこそ、日本人が作るべき映画になっていると思うんです(石原)

――「シン・ゴジラ」出演のオファーを受けて、ご自身のゴジラの思い出や出演への思いなどはどのようなものがありましたか?

長谷川

幼少期から夏休みといえばゴジラ映画を観ていた思い出がありますね。今回「シン・ゴジラ」と題名がついていたので、これまでのゴジラ映画とは違うんだろうな、と。最初はアニメか何かで、僕は声の出演なのかな、と思ったものです(笑)。それが実写で新作だと聞き、そして台本を読んで、これは大変な作品になるな、と感じましたね。ぜひ出演したいと思いました。

石原

まだ、私にこの役のオファーがきているということが周囲に知られていない頃、「進撃の巨人」チームと食事をしている時などに、「シン・ゴジラ」についての魅力的な話をみなさんがたくさんしていたんですね。その話を聞いてこれはどうしても自分がやりたいと思っていたんですけど。ご縁があってこの役をいただくことになったんです。でも、台本を読んでみたらかなり難しい役どころで「この女性を私がやるの!?」と(笑)。そこから胃が痛くなる思いで色々と勉強しました。

――長谷川さんが内閣官房副長官、石原さんが米国上院議員を父親に持ち米国国務省から日本に派遣されて来るカヨコという役柄。それぞれのキャラクターについてはどのように構築していこうと考えられたのでしょうか?

長谷川

政治家の役というのがまず魅力的で。政治家でこの年齢(38~39歳)の設定で官房副長官、これは矢口という人間は相当な人間だなと(笑)。衆議院でも過ごし、抜擢されたはずなんです。周囲からも相当羨ましがられるだろうし、逆に足も引っ張られるだろうなと。そこからなぜ、この矢口という男がそのポジションに、その若さで就けたのかに興味がわきましたね。そこから矢口の役を作っていこうと考えました。それが僕にとっての一番の難関かもしれなかった。実際にはこの年齢でこのポジションはまずありえないので、そこは納得させられるかどうか、を悩みましたね。例えば、誰かに対して指示を出す時なども、命令口調にしない方がいいのではないか、と監督と話をしました。さらに政治的な部分を調べたり、政界の中のことはなかなか取材には行けないものですから、庵野監督とかなり話し合いました。台詞の一言、一言にも色々とすごく意味が込められていることが監督と話しているうちに分かってきたので、話し合いをして良かったなと思います。そして今回は基本的には役を作る、ということは出来るだけしないようにしました。淡々と演じていけたらいいなと。自分の周りに個性的なキャラクターが多かったので、僕はそれを受ける側でいたいなと思いました。あとは台詞に説明の部分が多かったので、その部分をできるだけ分かりやすく伝えようと思いました。もちろん、色々な状況下で気持ちの変化はその時その時で作ってはいくんですが。

石原

私の役は祖母が日本人、父が上院議員でもあるので、存分に七光りを受けている一方で、努力もしている聡明な女性。巨大不明生物の存在を知ってアメリカから日本に派遣されているので、日本に対しては上からものを言うんです。情報も持っているし、気持ちが強く、日本人になめられたくない。だけど、日本人の国民性に触れたり、矢口たちと行動を共にしていくことで、祖国の血が蘇ってきたり、そこでの感情的な変化を見せていけたらいいなと。たまたま海外で働いている知人もいたので、そこから情報を収集したり、衣装の提案をさせていただいたり。はじめは分からないことが多すぎて大変でしたが、最後まで試行錯誤してやりきったと思います。でも、自分が最初に感じたもの、ファースト・インプレッションは大切にして演じてみようと、それは良かったと思います。ゴジラは怪獣映画という印象が強かったのですが、今回はドキュメンタリーに近いような人間模様もあって、最初に想像していたものとはかなり違いましたね。それと日本のキャストのみなさんが感情を抑え気味な部分が多かったので、それならば私は逆に表情豊かに喜怒哀楽を明瞭にさせていこうと。その中で空気感を変えられるような衣装だったり、メイクなども含めて随分と考えて演じました。

――庵野監督からは何か台詞回しなどについての注文はあったのでしょうか?

長谷川

「今回の台本は早口でしゃべってくれ」という要望がありましたね。

石原

この現場は倍速?というくらいの早さでしたよね(笑)。

長谷川

台詞回しが早くないとカットされるんじゃないかという噂も現場で立ったくらいでした(笑)。

石原

みんな必死でしたよね(笑)。長回しのカットもあったし。とにかく現場はすごい緊張感でした。

――では、そんな庵野監督の印象や、実際にご一緒されてからはどのような思いが生まれましたか?

長谷川

とにかくすごい人ですよ。現場にいらっしゃる姿を見て思ったのは、常に何かを思考している感じ。本当に何回も同じシーンを納得出来るまで繰り返す。とにかくこだわりがすごいんです。でもあそこまでの信念を貫き通すのはすごいなあと純粋に思います。現在の日本映画界の中では多分、すごく難しいことのひとつだと思うんですよ。でもそこを妥協せずにやり続ける姿はすごい。自分からはあまり多くを語らない方なんですが、こちらから質問すると実にたくさんのことを話してくださるし、その姿を知ると、普段あまりしゃべらないでいるのも、いざしゃべる時に人間の深さや大きさが出てきていいなあなんて思ってしまったり(笑)。

石原

まずあの脚本を書ける、というだけでものすごい人だと思います。私も何度も何度も読んで、どれだけ台本に書き込みをしたことか(笑)。でも読んで読んで深く考えていくほど面白くなっていく。色々と繋がっていく部分などがすごく緻密に計算されているんです。それが映画にしっかりと表れている。観る人が何に興味を持っているか、どんな知識があるかで、受け取り方が変わってくると思うのですが、そんな台本を書けるということがすごいなと思うんです。私は撮影中は緊張してしまって監督とはほとんど雑談はできなかったんですけど。機会があったら色んな話をしてみたいですね。

――とにかく出演者が多い本作品。キャストの多さも含めて、撮影現場で印象的だったことなどはありましたか?

長谷川

これだけの人数が出演している映画はなかなかないんじゃないでしょうか。それだけみんなゴジラ映画に出演したい、と思っているのかも(笑)。本編チームと特撮チームは別だったんですが、僕個人としてはかなり贅沢な現場、贅沢な時間を過ごせたと思います。ゴジラ映画だから、たくさんの人が集まってくるんだろうな、と思いました。

石原

私は長谷川さんと二人でのシーンが多かったので、たくさんの人と一緒に同じ現場にいたというイメージはあまりなかったかもしれないですね。後でキャストの多さを知って驚いたんです(笑)。

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ゴジラ(1954年)<デジタルリマスター版>

TM&©1954 TOHO CO.,LTD.

――では、今回のゴジラのデザインについての、お二人の印象などを教えていただけますか?

長谷川

人間が作り出したものなんですが、見ていて不思議な感覚がしましたね。何かの化学合成で生まれたもの、というイメージよりも人間が作り出した異形のものという感じですね。初代(1954年版)の頃の姿は日本の神話に出てくる龍蛇に似ているな、と思ったのですが、今回は何か得体の知れないものが合成されたイメージがしましたね。簡単に格好良いと言ってはいけないのかもしれないけれど、昭和時代のゴジラに見られた愛嬌とか、チャーミングさはまったくなくなっていると思います。本当に怖い存在のゴジラに立ち返ったと言うのか。人間が感じる異形のものに対する恐怖、それをストレートに体現した姿になっていると思います。

石原

やはり原始的な感じがしますね。ゴジラ、というひとつの“怪獣”のキャラクターだけではない気がします。何か「あなたはこのゴジラをどういう風に捉えますか?何に例えられますか? 形や動き、光っているものが何に見えますか?」と、人それぞれに思う部分も含め、私たちに問われているような気がします。

――タイトルの「シン・ゴジラ」の“シン”には、映画の内容を想起させることも含めて、例えばどんな漢字を当てはめられると想像できるでしょうか?

長谷川

僕は色々な意味を含めてカタカナにしているんだと思います。新、神、進、真、心、辰、審、讖(予言の記録の意味)と、考えると色々当てはめられるけれど、全部の意味がこのシンには入っていると思っています。どれかひとつに限定するよりも、様々な意味を複合しての「シン・ゴジラ」なんじゃないだろうかと思っています。そういう意味でまさにこの映画は“ゴジラ映画”なんですよ。

――今までのゴジラと今回のゴジラで、ここは変化した、もしくは不変のものだと思われる部分とは何でしょうか?

長谷川

最初の「ゴジラ」が作られた1954年当時は他にも大作映画、名作映画がたくさん生まれた時代。日本映画界が世界に進出できる作品を作ろうという意気込みを感じた時代だと思うんです。本作もそれに近い部分があるんじゃないかな、と思いますね。

石原

最初のゴジラは、言葉の表現も含めてかなり直接的だと感じました。戦後そんなに時間が経ってなかったから(1945年の終戦から9年後)、あの当時にあの映画を作ることはかなり挑戦だったと思いますが、今回の新作もやはり世界に向けて様々な問題に対して意味を持っていると思います。

長谷川

初代のゴジラから2014年まで(海外作品も含めて)に描かれてきたゴジラ像は今回なくなっているような気がします。それだけ初代に近いというか、というよりも全く新しいゴジラ像だと思いますね。

――今回の「シン・ゴジラ」を観る人たちに、この映画はこんな映画なのだと説明するとしたら、どんなことが言えるでしょうか?

石原

2011年3月11日の東日本大震災を経験した今だからこそ、日本人が作るべき作品だと思いました。震災を経験し、乗り越えて生き、生活している人たちが観るから、胸に響くし、感情が入るものになっていると思うんです。ゴジラは怪獣であり、災害でもあるので、その恐怖を経験から感じることが出来る。客観ではない実感としての部分。恐怖を知ったからこそのリアリティ。それは経験しているかしていないかで全然違うと思いましたし、そこはしっかりと自分の中で感じながら現場にいました。それに日本だけではなく世界が抱える諸問題もしっかりと提起している物語だと思うので、そこも感じてもらえたら嬉しいです。

長谷川

本当に上映時間があっという間の映画ですよ。個人的にはゴジラの東京上陸後の破壊行動を見て、爽快感を感じてしまったりもする。応援したくなってしまう部分もあり。ゴジラにある種のカタルシスやシンパシーさえ感じてしまうんです。それは僕の中に破壊衝動がある、ということではないんですが(笑)。

石原

ゴジラが登場すると、それまでの人間ドラマを忘れてしまうくらい、ゴジラが暴れる姿が印象に強く残っていて。ゴジラにものすごくインパクトがあるんですよね。やはりゴジラが主役の映画なんだと思います。子供の頃に観ていたゴジラに対する印象と、年齢を重ねた今、改めて観るゴジラとはやはり感じ方が違いますし。人間が作り出したと言っていいゴジラに、人間自体が苦しめられることになる。そこには悲しみもあって。悲劇を繰り返してはいけない、という思いもある。観る人によって心に刺さる部分も違うんじゃないでしょうか。

Photo=言美歩
Interview=永田よしのり
Stylist=熊谷隆志(LAKE TAJO)/長谷川、 宮澤敬子(D-CORD)/石原
Hair&Make=宮田靖士(VaSO)/長谷川、菊地美香子(TRON)/石原
衣裳協力=シャツ\19,800、ベスト\79,000、パンツ\31,000、ベルト\21,000、
シューズ\58,000 すべて、フィグベル(問い合わせ先:プロッド 03-6427-8345)/長谷川

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「シン・ゴジラ」

2016年7月29日(金)全国ロードショー

「シン・ゴジラ」

©2016 TOHO CO.,LTD.

ゴジラが2004年の「ゴジラ FINAL WARS」以来12年ぶりに日本での新作映画としてこの夏公開される。果たして今回のゴジラも東京に上陸。その強大な力により都市を焦土と化すのか?

出演:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ
総監督・脚本・編集:庵野秀明
監督・特技監督:樋口真嗣
准監督・特技統括:尾上克郎
撮影:山田康介/照明:川邊隆之/録音:中村淳
音響効果:野口透/編集・VFXスーパーバイザー:佐藤敦紀
音楽:鷺巣詩郎/製作プロダクション:東宝映画、シネバザール
製作・配給:東宝

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応募締切/7月10日(日)

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