神木隆之介 スペシャルフォト・インタビュー

幼少の頃から活躍し、コメディからアクションまで幅広いジャンルの作品に出演。
その演技力は様々な映画監督から高く評価され、多くの若手の中でも抜きん出た存在として光り輝く神木隆之介。
そんな神木が、羽海野チカの人気マンガ原作を実写化した「3月のライオン」に主演。
幼少期に事故で家族を失い、愛を知らずに育った、若きプロ棋士・桐山零の過酷な闘いと成長を渾身の演技で魅せる。

「対局シーンは、苦労を重ねた分、生々しく緊張感がある仕上がりになっていると思います」

――元々原作のファンだったそうですね。

「最初は将棋のマンガと認識していましたが、実は将棋が中心ではなく、零を中心とした周りのキャラクターたちの孤独や葛藤、想いがリアルに描かれているところに引き込まれました。架空の人物でありながら、まるで彼らが実際に生きているかのように感情がひしひしと伝わってくるステキなマンガです。とても温かい作品なので、大友(啓史)監督(映画『るろうに剣心』など)とも、実写化するにあたって、そんな温かさや零の人間らしさを一番大事にしていこうと話し合いました」

――零と神木さんとの共通点はありましたか?

「零が抱えているものはすごく重いし、役としてどう生きればいいのか…最初はとても悩んだのですが、そんな中監督に、「神木と零は、境遇が似てるんだよね。神木も小さい頃から役者をやってきて、ある種後戻りできないような感じでしょ? 桐山には将棋しかなくて神木には演技しかなくて…。俺、似ていると思うんだよね」と言われてハッと気づいたんです。それが、零が対局する姿勢を理解する時にものすごく役立ちました。零も僕も、相手が自分のことを子どもと思わずに向き合ってくれているプロの世界にいるんだなと。お仕事のように自分1人で結果を残さなければいけない時は、黙々とひたむきに頑張るので、僕も零のようになるかもしれない。負けず嫌いなところや“絶対にやってやるんだ!”という意志の強さは、よく似ているかもしれません。でも、普段友達といる時の僕は、どちらかというと二海堂(染谷将太)タイプ。学生時代の僕は、学校の行事ですぐ熱くなって、二海堂のように“頑張って行こうよ! みんな仲間だろ?”とものすごく盛り上がる人でした(笑)」

――幼い頃からプロの俳優として活躍してきた神木さん。零のように“孤独”を感じることはなかったのでしょうか?

「ありがたいことに、それはまったくなかったです。人と話すことが大好きなので、話を聞いてくれる大人がたくさんいるという環境は、僕にとって楽しい場所でしかなかったです(笑)。子どもの頃は元気な男の子を演じる機会が多かったので、役作りを特に意識したこともありませんでしたし、孤独を感じたこともありませんでしたが、零のように、プロとして向き合うことで初めて葛藤を覚えたのは、ドラマ『BLOODY MONDAY』(’08年TBS)でハッカー役を演じた時でした。そもそも僕は、ハッカーではないですしパソコンも詳しくないですし、キーボードも早く叩けないですし、悪者だし…これはどうしようかなと思いました(笑)。“役として生きる”ことを初めて体感させられて苦労しましたが、キャラクターの癖を自分で構築していく作業がものすごく楽しいということも知ったんです。あの作品から、僕の中で俳優としての意識が変わったと言えるかもしれません」

「皆さんとのお芝居で感じたものを足すことで、やっと“最後の零”になれたような気がします」

――今回の役作りで苦労されたことはありましたか?

「将棋の指し方です。プロ棋士の皆さんは、小さい頃から将棋を指しているので、箸を持つような感じで、そこにはまったく意識が伴わないんです。自分の意志で駒を持つ手が勝手に動くからこそ美しく映る…。そう見えるように、撮影の合間は、とにかくひたすら駒を指していました。対局シーンは15分に渡って長回しで撮影されるので、そこでなされる“無言の駆け引き”が精神的にも大変で、現場ではみんなへとへとになっていました。盤上の駒は棋士たちの会話でもあるので“そうくるということはこういうことですか?”というタイミングや想いも考えながら演じなければならない。苦労を重ねた分、生々しく緊張感があるシーンに仕上がっていると思います」

――豊川悦司さんを始め、伊藤英明さん、佐々木蔵之介さん、加瀬亮さんとキャストも豪華ですが、零を演じる上で刺激を受けたことはありますか?

「元々零は、人間として色々な部分が欠けている子なので、皆さんとのお芝居で感じたものを足していくことで、やっと“最後の零”になれたような気がします。そのような意味では、皆さんからいい刺激をたくさん頂きました。特に、宗谷名人を演じた加瀬さんに、「僕はただの将棋の怖い人にはなりたくない。零が本当に将棋を楽しいと思ってもらえるような存在になりたいんだよね」と言って頂けたのは本当にありがたかったです。でも正直に言うと、この作品は本当にプレッシャーが大きかったです (笑)。現場はとても楽しかったのですが、改めてパンフレットで皆さんの名前を見ると、今でも恐ろしいです! キャストがすごすぎます(笑)」

――幼い頃から共に暮らし、将棋上では、零とライバル関係にあった香子(有村架純)。2人は時として“危うい関係”に陥りますが、演技の上で、有村さんとお互いに意識されたことはありますか?

「零と香子は、この中で一番はっきりしない関係ですよね。歯車が合うように見える時もあるけど、実は合っていなかったり、家族なのか、姉弟なのか、恋人なのか…一番難しくてわかりにくい。有村さんとは最初の時点で、「そういう危険な雰囲気は、意識しながら散りばめられたらいいね」と話し合いました。僕はいかに目を見ずに話すか、“この2人、おそらく一緒の家で暮らしていたんだろうな”と匂わせられるかを意識しました。リアリティーが出ていたら嬉しいです」

「愛を知り、徐々に人間味を帯びていく零の姿を見守って欲しいです」

――人として棋士として…様々な壁を乗り越えながら成長していく零。神木さんが、零のように、今乗り越えたい壁はあるのでしょうか。

「乗り越えたい壁…そうですね、まずは制服を乗り越えたいです。23歳になりましたし、正直いつまでできるんだろう?”と思うので、逆に“できる限界までやってやろうか!”と思います(笑)。もうそろそろスーツを着た社会人役を演じてみたいという気持ちはあります。年相応な大人っぽい役にもチャレンジしたいです」

――最後に作品の見どころをお願いします。

「今回この作品に携わって改めて、必ず勝ち負けがついてしまう“将棋の世界”は冷酷だなと思いました。終盤戦にかけて、零はやっと“自分は周りに支えられていた、1人ではなかったんだ”と気づかされますが、あるシーンで号泣するんです。お芝居で、あれほどまでに涙を流したのは初めてかもしれないので、そんなシーンもぜひ観て頂きたいです。前編は、様々な想いを背負った者たちのドキドキするような死闘が、後編は、プラスアルファで少しだけ緩やかに…お味噌汁を飲んだ後のようなホッとするシーンも盛り込まれています。2つで1つの作品なので、最後まで見届けて頂きたいです。様々な人々と関わることで成長し、愛を知り、徐々に人間味を帯びていく零の姿を見守って下さい!」

取材・文/蓮池由美子
撮影/蓮尾美智子

映画「3月のライオン」

【前編】3月18日(土)
【後編】4月22日(土)

若き天才ともてはやされる
17歳の将棋のプロ棋士、桐山零。
しかし彼には、家も家族も居場所も
――何もなかった。

中学生でプ口棋士としてデビューした桐山零は、東京の下町にひとりで暮らしている。
幼い頃に交通事故で両親と妹を失い、父の友人である棋士の幸田に引き取られたが、ある事情から幸田家を出るしかなかったからだ。深い孤独を抱えてすがりつくように将棋を指し続けていたある日、零は川の向こうに住む川本家の三姉妹と出会い、彼女たちとのにぎやかな食卓に居場所を見出していく。
今、様々な人生を背負った棋士たちが、頭脳と肉体と精神の全てを賭けて挑む、想像を絶する闘いが零を待ち受ける!

監督:大友啓史
出演:神木隆之介 有村架純 倉科カナ
清原果耶 佐々木蔵之介 加瀬亮
前田吟 高橋一生 岩松了 斉木しげる
中村倫也 尾上寛之 奥野瑛太
甲本雅裕 新津ちせ 板谷由夏太
伊藤英明/豊川悦司
原作:羽海野チ力「3月のライオン」
(白泉社刊・ヤングアニマル連載)
脚本:岩下悠子 渡部亮平 大友啓史

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