2002年にデビューして以来、ドラマや映画で活躍。
最近ではCMの浦島太郎役でも大人気の桐谷健太。
時に熱く激しく、時にコミカルに、振り幅の広い役柄で様々な顔を見せて来た彼が
新作映画「種まく旅人 くにうみの郷」では、玉ネギ農家の長男を演じている。
淡路島を舞台にした、自然と共に生きる人々の再生物語だ。
オールロケで島に溶け込んだ桐谷の作品への思い、
そして作品を通して感じた事を語ってもらった。

Interview

「淡路島の中で漂いながら
役を表現出来たらいいと思いました」

――ある農家の一家を中心に、農業・漁業に従事する人々を描いた作品ですが、舞台となった淡路島の存在が大きいですね。

「淡路島って、まさにザ・島なんですよ。天候が悪化したら橋が閉鎖されて船も止まって孤島になってしまう。だから淡路島の人たちには、島の中だけで生きて行く、暮らして行くという感覚を強く持っている気がしました。
それで映画の中でも、山と海を守るために農家と漁業者が協力して"あるコト"を起こして行くんです。都会の生活とはまるで違う力強さを島の空気の中に感じました。風景も、夏と冬とじゃまるで違うんですよ。撮影は冬でしたけど、僕は以前、夏に行った事があって。同級生とね、大阪からママチャリ漕いで、野宿しながら行ったんですけど(笑)。海の青は濃いし、緑も濃くて、これぞ日本の夏、子供の頃に見た思い出の夏っていう感じでした」

――そんな島でのオールロケは、どんな雰囲気だったんですか?

「淡路島にしかない独特の空気感があったと思うし、そういう場所で皆で生活しながら撮影出来たのは贅沢やし、大事な事でしたね。だいたい役者仲間と毎日一緒に風呂に入って、ご飯を食べて、お酒を飲んでいました。『洲本温泉』ていう所なんですけどね、お風呂がメッチャいいんです(笑)。一つ屋根の下でスタッフも一緒だと、家族という感覚も出てきてチーム感も高まりますし。泊まっていたホテルの従業員の人たちも顔見知りになって"ああ、どうも"みたいな挨拶になっていくし。ご飯を食べに行った店の店主と仲良くなったり、地元の方に方言や農業のことを教えてもらったり。そんな事が凄くうれしかったし、映画や役の一部になっていたと思います」

――新たなビジネスモデルを仲間と模索する玉ネギ農家の長男・岳志という役にはどのように向き合ったのですか?

「今、若者で農業を始める人が増えて来ているので、彼らの本を読みました。どんな思いでやっているのか、どんな考えなのかと思って。あとは島の人たちに触れて、ゆっくり岳志を作り上げて行った感じですね。岳志は東京で失敗して戻って来た男やから卑屈な所があるんです。何を拗ねとんねん、て思うけど(笑)。そういう男が地元に戻って家業を継ぐんです。
両親の思いとか、海苔の養殖をやるために家を出てしまった弟との確執もありつつ、新たな出会いによって変わっていく。そして母親にもらったお守りの中身を見た時に、やっと彼の心の中の固いものが溶けるんです。そんな岳志像を、島の中で漂いながら表現できたらいいなと思いました」

――バラバラだった家族や、島の人たちの心を、農水省から視察にやって来た栗山千明さん演じる神野が動かしていきます。

「彼女の目線で島の現状を追いながら、物語は、さっきも話した農業・漁業者が協力して起こす"あるコト"に繋がっていくんですね。
栗山さんて凄く真面目な方なんです。彼女の真面目さとか、ひたむきさが神野役と凄くリンクする感じがしていましたし、誠実に役に取り組んでいる印象がありました」

――顔が似ていると噂の三浦貴大さんと、兄弟役で初共演でしたね。

「そうなんですよ。彼を知る人から"桐谷さんに凄く会いたがってますよ"と言われていて。なんでかなと思ったら、僕と顔が似てるとよう言われるらしくて"兄弟役がやりたい"と三浦君は言ってたそうなんです。だから、まさに来たなと。
対照的で心の離れた兄弟役だったから、あまり仲良く出来ませんでしたけど、よくご飯も行きましたし、一緒に物を作り上げる良い仲間でした」

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「土に触れていると毒気が抜けて、
余計な事を考えなくなる」

――役柄や作品を通じて感じた事はありますか?

「食べ物って、授かるものなんやなと改めて思いました。天候や土地と海の恩恵があって、作物を作る農家や漁師さんがいての"いただきます"なんです。野菜だって生き物やし、その命をもらって人は生きて行くという事を、顧みてもいい時期なんちゃうかなと思いました。
一粒の種から、なんであんな作物が出来るやろ。種が育って玉ネギが出来て、更に育つとネギ坊主が出てまた種が付く。プロセスを知っていても、農作業って凄く神秘的な事に関わっているんだと感じました。生命の神秘やなと。
僕は元々アウトドアが好きやし、子供の頃にキャンプ行ったり山に登ったり。自然の中で楽しく過ごした記憶が多いんですけど、中でも、畑でもぎたてのトマトを食うたのが強烈で。人生で食うたトマトの中で一番旨かった。自然に触れるって大事な事やと思うんですよね。土に触れていると毒気が抜けて、余計な事を考えなくなる気がしますもん。
人間て考え過ぎてこんがらがったりするけど、自然と一緒に働くってシンプルで素敵な事やと今回の撮影で存分に体験させてもらいました。旬の食べ物があるのも、四季があるからなんやと思ったし。淡路島の玉ネギって甘くて本当に旨いんですよ。で、お風呂もええな~と思ったし(笑)。日本人で良かったなと思いました」

――それでは最後に、今後J:COMでは桐谷さんの過去の出演作なども放送されていきます。

「僕はその年、その時にしかできない役を、いつも演じさせて頂いてると思うんですよ。例えば今『ゲロッパ!』をやろうとしても絶対に前とは違うし。だから過去の出演作をご覧になる皆さんには、僕の"旬"を楽しんで頂けたらと思います」

撮影:松本健太郎
ヘア&メイク:SHUTARO(vitamins)
スタイリング:岡井雄介
衣装協力:ブルゾン36,000円、スウェット26,000円、デニム53,000円
(ディーゼルブラックゴールド:電話0120-55-1978)
取材・文:河合美季

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Movie

映画「種まく旅人 くにうみの郷」

5月30日(土)全国ロードショー

STORY

上司命令で農水省から淡路島に視察にやってきた神野恵子(栗山)は、海苔の養殖場で豊島渉(三浦)に、料理屋で玉ネギ農家の豊島岳志(桐谷)に出会った事で、海と山の特産品に興味を持ち、畑や養殖場に通い始める。やがて農漁業の現状と兄弟間の確執を知った恵子は、海と山を救う、島の伝統手法を復活させようと試みるが…。

監督:篠原哲雄 脚本:江良 至、山室有紀子
出演:栗山千明、桐谷健太、三浦貴大、谷村美月、音月 桂、根岸季衣、山口いづみ、永島敏行、豊原功補
配給:松竹
公式サイト://tanemaku.jp/
種まく旅人 くにうみの郷

©2015「種まく旅人 くにうみの郷」製作委員会

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