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2017年は「ハリー・ポッターと賢者の石」刊行から20周年のアニバーサリイヤー。そんな記念すべき今年4月、洋画専門CS放送ザ・シネマで「ハリー・ポッター全8作一挙放送」が放送されます。放送を記念して、『ハリー・ポッター』シリーズを日本に紹介した立役者である、翻訳者・松岡佑子さんにインタビューします。

▼「ハリー・ポッター」がずばり松岡さんの人生にもたらしたものを一言で表すと。

一言で表すと「人生に読書の楽しみを与えてくれた本」です。また、その人生も、だいぶ遅くなってからですが、この本のおかげで変わりました。変化を3つ挙げるなら、「同時通訳者」から「翻訳者」に、住む場所が「日本」から「スイス」に、そして夫は亡くなりましたが新しい伴侶を得たということです。

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▼映画版「ハリー・ポッター」をザ・シネマで全作放送しますが、松岡さんの中で印象に残っているシーンはありますか?

ハグリットの登場シーン、スネイプの最期のシーンもそうですが、モリー・ウィーズリーが闘う場面。「子供に指1本でも触れさせるものか」というあの激しさが、床にビリビリと稲妻が走るようで好きですね。それまでは戦闘的という感じではなかったお母さんが一騎打ちで闘うんですから。

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▼翻訳で最も時間をかけた言葉、その言葉を閃いた時のエピソードをお聞かせください。

言葉遊びは、すぐに閃く時もありますし、いくらやっても出てこない時があります。言葉のせいではなく、体調のせいかもしれないですけれど。降りてくるときには天啓が直ぐに降りてきますし、ダメな時には何度シャワーを浴びてもダメなのです。第1巻で一番翻訳に慣れていなかった時、「You-Know-Who」という言葉が出てきました。これは皆がヴォルデモートの名前を怖がってその代わりに言うのですが。そのまま「何の某(なにがし)」では面白くないので、「例のあの人」に辿り着くまで何度も推敲しました。アシスタントをしてくれた友達や、編集者、校正者全員で考えて辿り着いた「You-Know-Who」ですが、今でも、もっと良い訳は無いかと時々考えます。第7巻のジョージとフレッドの店では、言葉遊びで「U-No-Poo」と出てきます。言葉に出すのをちょっと憚りますが(笑)、ぜひ7巻を読んでみてくださいね。

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▼以前、別のインタビューで「第一巻が成功してからの10年の方がむしろ大変で。日本は出る杭が打たれる社会ですから」と仰っていましたが具体的にどんな苦労がありましたか。

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何も知らない時は、ただ夢中になってやればいいのですけど。成功した時は皆が驚いて、その驚きが続いている間は、何も問題はありません。ただ、その驚きがだんだん薄れれば普通の人間として扱われます。すると、成功そのものが問題になる事があるのです。J.Kローリングも、最初は誰も知らない作家でしたから、ごく普通の契約条件で出来ましたけれども、有名になるにつれ世界中がその利権を争うようになり、著作権の交渉やビジネス上の問題も増えました。そういった意味で、ビジネスも、人生も複雑になった部分がありますね。

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