本木雅弘 J:COMスペシャルフォト・インタビュー

『ディア・ドクター』や『夢売るふたり』など、卓越したストーリーテリングと心理描写で、国内外から賞賛を受ける西川美和監督の最新作『永い言い訳』が10月14日(金)に公開される。妻を亡くした作家と母を亡くした子供たちの出会いと、そこから始まる物語を描く本作。主人公の作家・幸夫を演じるのは、『おくりびと』以来、7年ぶりの主演を務める本木雅弘だ。約1年の歳月をかけて撮影された本作で、本木は何を感じ、何を考えたのか。その想いに迫る。

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かすかな幸福感が確かに漂っている映画

――完成した作品をご覧になった感想から教えてください。

「西川監督の目指していたかすかな幸福感が、確かに漂っている映画でした。どのキャラクターも偽りなく、バランスよく物語の中に存在していて、人間の気持ちが変化していくさまを、時間が過ぎていく中で丁寧に切り取っているなと。正直、役者として作品を観るのは、最初の数回は自分の不備ばかり目立ってしまい、地獄のような体験なんですが(笑)」

――幸夫という役柄を演じる上で、どのような苦労がありましたか?

「幸夫は小説家として売れなかった頃、妻に食わせてもらっていたことなどさまざまなコンプレックスを今も引きずっている、歪んだ自意識の持ち主です。似たような歪みは普段の私も満タンに持っているものなので、共感する部分がありました。自意識の度合いは恐ろしく高いのに、健全な範囲での自信に欠けているという。だから最初にお話をいただいた時、初めて身の丈に合った役柄が巡ってきたと思ったのと同時に、そんな厄介な自意識をわざわざスクリーンにさらしていいのかという不安も覚えました」

――ではそのような自分と対峙することに最も苦心された、と。

「撮影をしながら次第に気付いていったのは、私が本当に持っている醜さと、監督が幸夫に求めている情けなさは微妙にずれていたということです。監督が求めていたのは、人間誰しもが持っている脆さ、強がり、どうしようもなさで、広い心で観るとどこか可愛げがある。だからどこか親近感を与え、皆さん幸夫を見守ろうと思うんでしょうね。本当の私はもっと腐っていますから(笑)」

――西川監督の演出はどのようなものでしたか?

「監督自身が物書きですから、たくさんの言葉を使って説明してくださるんです。例えば幸夫の気持ちの流れについて、自分の本当の弱さがどんどん露わになるなか、それを他人に見られること以上に、自分自身が対面してしまうことを恐れているんだとか。役者としての私には、不安や当惑を封じ込めず、魂の震えを見せてほしい、その予定不調和を覗き見ることで共犯関係を築きたい……などなどですね。幸夫は監督がこれまでに書いたキャラクターのなかで一番自分自身に近いものだそうですが、監督も私と同じようにねじれた自意識を持っていて、それを今回さらけ出したのかなと。でも完成品を観た時、あ、優しいなと感じたのは、監督が実は素直できれいな心を持っているからなんだと思います」

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作り物ではない解脱感が醸し出ているような気がする

――季節をまたいだ撮影には、いい点も大変な点もあったと思いますが。

「ひとつの役柄を終わらない宿題のようにずっと抱えているのは大変でした。でも約9ヵ月ではあっても、確実に人は年を取るし、微妙に変化していくんですね。その時間のなかで、季節ごとに幸夫に袖を通していき、一枚ずつ新たな皮膚が増えていくような感覚は面白いものでした。夏編を撮影した後、冬編までの間に体重を約8キロ落としましたが、それもやはり時間を掛けなければできなかったことです。かすかすと枯れて、髪の伸びた幸夫には、作り物ではない解脱感が醸し出ているような気がします。子どもたちの成長も目に見えて感じますし、季節をまたぐことで時が少しずつ熟成し、心身ともに変化を焼き付けることができた。それはこの作品の大きな魅力になっていると思います」

――共演者の方々にはどんな印象を持ちましたか?

「竹原さんには幸夫が陽一に対して抱く思いと同じくらいの対比を感じました。魂そのもののようなあの存在の前では、体裁屋の自分はもう小さすぎて笑うしかない。でも大好きです。池松さんはあのベビーフェイスからは想像もできない大人の仕事人。尊敬しています。黒木さんも山田さんも微妙な役どころを印象的に演じられていて、健心くんの意外な冷静さも、玉季ちゃんの天真爛漫なところも、真平と灯という役柄にぴったりでした。深津さんとは約20年ぶりの共演です。その時のTVドラマは私が結婚前、最後に出演した作品で、ふたりは恋人役でしたが、それ以来のこと。だから20年の間に心の距離が出来てしまった夫婦という今回の設定は、どこか重なるものがありました。深津さんは当時と変わらずブレがなく、透明感があって神秘的な方です」

――「家族」を描いた作品でもあると思いますが、今回の作品を経て、何か考え方の変化はありましたか?

「夫婦でも、親子でも、また別の関係であっても、人間関係はとても不安定なもの。でもその不確かな関係のなかに自分たちは存在しているんだなと。この作品を通して見えてくるのはささやかな変化です。いたいけな人間たちが、身の回りの小さなことにひとつずつ気付いていって、他者との関係のなかに自分を見出していく。結論めいたことを言ってしまうと、他者あっての自分なんですね。それは一見当たり前のことだからなかなか実感できないことなのかもしれません。個人的にも正直、幸夫のフリ見て我がフリ直せで、私も身近な人たちにもっと誠意を持って接しようと思いました。お蔭で夫婦関係も良好になったようで、実人生でちょっといい人になれた気がします(笑)」

映画『永い言い訳』

2016年10月14日(金)全国ロードショー

原作・脚本・監督:西川美和
原作:『永い言い訳』西川美和(文藝春秋刊)
挿入歌:手嶌葵「オンブラ・マイ・フ」
出演:本木雅弘
竹原ピストル 藤田健心 白鳥玉季 堀内敬子
池松壮亮 黒木華 山田真歩 深津絵里
配給:アスミック・エース

STORY

人気作家の津村啓こと衣笠幸夫は、妻の夏子が旅先で不慮の事故に遭い、親友のゆきと共に亡くなったと知らせを受ける。妻との関係はすでに冷え切っており、その時不倫相手と密会していた幸夫は、世間に対して悲劇の主人公を装うことしかできなかった。ある日、幸夫は、事故被害者説明会で、ゆきの夫でトラック運転手の陽一に出会う。陽一には、長男の真平と、その妹の灯という2人の子供がいた。仕事で家を空けがちな父に代わって家事を背負い込むため、真平が中学受験を諦めたと知った幸夫は、週に2回、子供たちの世話を買って出る。陽一の家へ出向き、灯と一緒にアニメを観て、夕食を準備し、真平の塾の帰りを待つ。子供を持たない幸夫は、誰かのために生きる幸せを初めて知り、虚しかった毎日が輝き出すのだが……。

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