昨今注目を集める「病児保育」をテーマに、
さまざまな人間模様を描く新ドラマ『37.5℃の涙』。
流行の“職業ドラマ”でありながら、ハートフルな“人間ドラマ”として、
また心ときめく“恋愛ドラマ”として、早くも話題を博している本作で、
主人公の新米保育士・杉崎桃子を演じているのが蓮佛美沙子だ。
意外にも今作が民放連続ドラマ初主演となる彼女に、このドラマの見どころ、
そしてヒロイン・桃子の魅力を改めて語ってもらった。
桃子は、演じている私自身も
応援したくなるような女の子
――まず、最初に今作の脚本を読んだときの感想をお聞かせください。
「いろんな人の思いが詰まった物語だな、というのが第一印象でしたね。親の気持ち、子どもの気持ち、そして新米病児保育士である桃子の喜びや葛藤…。そういったさまざまな人々の思いを、それぞれの視点から描いているところがとても面白いと思いました」
――実際、幅広い世代が楽しめる、間口の広い作品になっていますね。
「そう感じていただけたら嬉しいです。誰が見ても感動できて、元気がもらえる、そんな作品にしたいと思って日々撮影に臨んでいるので」
――ヒロインの杉崎桃子は、複雑な家庭に育ったことから笑顔が苦手になってしまった不器用な女性です。蓮佛さんご自身は、桃子に対してどんな印象を?
「確かにすごく不器用で、失敗することも多いんですけど、桃子の場合は、ちゃんとその失敗を認めて、次は頑張るんだという前向きな強さを持っているんですよ。私自身、見ていて応援したくなる女の子ですね」
――自分と似ているなと感じる部分はありますか?
「いえ、似てないところのほうが多いと思います。私もどっちかというと不器用なほうですけど、笑顔が不自然だと言われたことはありませんし(笑)。…あっ、でも仕事への向き合い方は、ちょっと似ているかもしれませんね。桃子は、『病児保育とはこうあるべきだ』と周りからどんなに注意されても、自分が納得しない限り、その言葉にはなかなか従うことができない。私も仕事においては、自分の中で納得して初めて行動に移せるタイプなので、そこは似ているというか、非常に共感を覚える部分です」
――そんな桃子を演じる上で、特に心がけていることは?
「今回は、あまり事前に頭の中で考えすぎないようにしたいと思っていて。シーンごとに、その状況に対峙したときの感覚を大事にしたいんですよ。『桃ちゃんはこういう性格だから、こんなふうに演じなきゃ…』と変に決め込んだりせず、そのときそのときの自分の心の動きに身を任せながら、杉崎桃子という人物を作っていきたいと思っています」
役作りのために髪を30cmカット。
周囲の反応は…
――ちなみにヘアスタイルを変えられたのも、役作りのためですか?
「はい。実は最初、髪を後ろで結ぼうかと思ってたんです。でも、子どもの世話に悪戦苦闘している桃子を想像したときに、ちょっとイメージと合わないような気がして。それで自分から提案して、30cmぐらいバッサリと切りました」
――とても似合っていて素敵です。
「ありがとうございます。予想以上に評判がいいんですよね。周りに聞いても、10人中10人が『今のほうがいい』って。あまりに好評なので、逆に、長い髪で生きてきたこれまでの9年間は何だったんだろうって悲しくなるくらい」
――(笑)。また本作では、成宮寛貴さん演じる朝比奈、速水もこみちさん演じる篠原と桃子が織り成す“恋のトライアングル”も気になるところですが、蓮佛さんとしては、朝比奈と篠原、どちらがタイプですか?
「原作のコミックを読んだ時点では、私は断然、朝比奈派だったんです。朝比奈さんって、一見チャラチャラしてるように見えるかもしれないけれど(笑)、あの明るい性格は、辛い過去を乗り越えた人の明るさだと思うんですよ。ただ、今回のドラマ版のキャラクターは原作と異なるところも多いので、朝比奈さんと篠原さんと、どちらを選ぶかはまだちょっと難しいですね。今後きっと、物語が進むにつれて原作とはまた違う三角関係が描かれていくんだと思います。私自身、どんな形の三角形が描かれていくのか、とても楽しみですね」
撮影:逸見隆明
取材・文:泉 英一
毎週木曜 夜9:00~ TBS系
杉崎桃子(蓮佛美沙子)は、訪問型の病児保育を提供する「リトルスノー」の新米病児保育士。子供が熱を出したときに、どうしても仕事を休めない親に代わり、自宅に訪問して子供の世話をするのが仕事だ。家族の愛を知らずに育ち、笑顔になることすら苦手になってしまった桃子だったが、上司の朝比奈(成宮寛貴)や柳(藤木直人)、先輩保育士のめぐみ(水野美紀)、リトルスノーの顧客でシングルファーザーの篠原(速水もこみち)ら、さまざまな人と出会い、彼女は病児保育士として、そして人として、成長を遂げていく。
原作:椎名チカ「37.5℃の涙」(小学館 月刊「Cheese!」連載)
脚本:梅田みか
音楽:得田真裕
演出:古澤 健、藤尾 隆、村上牧人
プロデューサー:渋谷未来、近見哲平
出演:蓮佛美沙子、成宮寛貴、速水もこみち、トリンドル玲奈、藤木直人、美保 純、水野美紀、浅野温子、他