オンエア番組はこちら

TBSチャンネル
を見るならJ:COMへ

新規お申し込み 新規ご加入ガイド

髙橋大輔 J:COMスペシャルフォト・インタビュー

3度の五輪をへて2014年に引退するまで、長きにわたり日本男子フィギュアスケートを牽引してきた髙橋大輔。そんな彼も30歳の節目を迎えた。挑戦の年と位置づけた今年、新たな一歩は、氷上ではなく陸上でのダンスの舞台に記す。その胸の内を聞いた。

「僕はちゃんと練習しないと踊れないほうなんです」

――髙橋さんが舞台初挑戦ということで、ファンの期待は高まっていると思います。

「皆さんが期待してくださるのが、今はめっちゃプレッシャーです(苦笑)。スケートだったら『頑張ります』とか、『心の中では自信を持っていこう』と思えるけれど、ダンスにはそんな自信は無いですからね。自分の理想のものは無理だとしても、気持ちだけは100点を目指して本番に向けて練習しているところです。まあどんなもんか、楽しみにしていてください」

――ダンスの出演依頼を受けたということは、ある程度、フロアでのダンスを練習して手応えがあったのですか?

「いえ。陸上でのダンスの経験は全然なかったので、本当はロサンゼルスへ行って(演出の)シェリルに会う前に何か準備しようと思ったんです。でもシェリルからは『他のダンスはしないで来てくれ』と言われていました。恐らく他のダンスのクセが付かないようにと言う意味だったようです。だから最初の1週間はジャブのように基礎練習をするのかと思っていたら、初日からいきなり本番のプログラム作りが始まったんです。いきなり、ガッツリです。しかも長い日は8時間くらいの練習。スケートの練習よりも長かったです。もちろん色々な場面があって、他のダンサーとの入れ替えもあるのですが、その間は、自分の練習をしてました」

――フィギュアスケートの経験で、生きた部分はありますか?

「正直なところ、練習してみたら全然違いました。下が滑らない感覚で踊ると、思うように動けないんです。体重を乗せる位置も違うので、スケートに乗るのと同じように乗ってしまったりして・・・。例えば、ダンスでは片足でつま先に乗るという動作があるのですが、スケート靴にはトウ(ピック)があるので、スケートではつま先に乗る動作はないんです。だから、つま先に乗ってと言われても、どこに乗るのか分からない・・・。しかもつま先に乗りながら回るというのが凄く難しくて、スケートの方が簡単に回れるなあ、なんて思ってます。しかもソロのダンスの部分でこの動きがあるので、果たして本番は大丈夫なのか・・・と。僕でもやりやすい動き、でも同時にダンスとして綺麗に見える動き、というのを練習しながら探しています」

――現役時代もヒップホップ風のプログラムを踊った時など、フロアでのダンスレッスンもしていたと思いますが、それとは大分違うのでしょうか?

「以前のダンスは、ヒップホップを習ったといっても、結局は『ヒップホップっぽい』というだけでした。スケートの方が、スケートそのもののテクニックで見せられるので、いい意味で、誤魔化せるという感じです。でも今回は、自分にとっての武器がなにも無い状態で、ダンスだけで魅せないといけない。『スケートとダンスを混ぜる』という誤魔化しがないぶん大変です」

――髙橋さんが求める理想的なダンスには近づかない、ということでしょうか?

「今回の舞台は、プロのダンサーと一緒に踊るショーなんです。ロサンゼルスでの練習の時も、鏡を見ながら一緒に踊っていると、周りのプロダンサーが凄くて、僕は見劣りがしてしまう。プロを見てしまうと、この動きは難しいなとか、気後れしてしまうんですよね。それに、もし僕自身が見る側で舞台を観に行ったら、中途半端なものより良いものを観たいです。だからやはり理想のものはまだ出来ていないし、本番まで一生懸命やって少しでも理想に近づけるようにしたいです。」

――練習を積むうちに、演出のシェリルさん達からの評価はいかがでしたか?

「シェリルからは、『ダンスが上手い上手くないじゃないから』と言われました。綺麗に踊る、格好良く踊る、つまり自分らしくやって欲しいと。でも僕は『出来ない、出来ない』と言って、周りの皆が『大丈夫だよ』と言ってくれて、その言葉を『全然信用できない!』という繰り返しでした。皆さん、陸上でも踊れるものだろうと思い込まれているようで……。でも実際には、僕はそんなにフレキシブルではなくて、ちゃんと練習をやらないと踊れないほうなんです、意外と!」

――髙橋さんが踊れないと思っているのは驚きですね。今回、どんな部分が納得いっていないのでしょう?

「鏡を見ながら練習するのですが、自分の動きが鏡で見えるのは嫌ですね。プロのダンサーの方々に振り付けてもらって、周りも皆がプロという中でやると、自分だけ違う。自分の中では出来ていると思ってやっているのに、何だか違うって感じ、ありますよね?やろうとしてる事は分かるんだけど、格好良くもないし、皆と同じ動きにもなってないね、という感じでした」

――これまでスケートでは、自由自在に表現をしていたと思いますが、うまく踊れない人の気持ちが分かった、というようなことは?

「あはは、確かに分かりますね。自分に対して『何で出来ないの?』って思ってしまうんですよね。頭では分かってるし、こうしたいし、こう動きたい、と思っているのに、実際にはどう動かしていいのか分からない。スケートだと自分のクセを知っているので、手を上げるとここまで上がるな、とかが分かるんです。だからやりにくい振付けだったら勝手にアレンジしたりしていました。でも今回は陸上でのダンスの勘がないので、どう変えて良いかも分からないんです」

――陸上と氷上では、そんなに勘所が違うのですね。

「全然違うので、戸惑いしかないです。プロのダンサーは、皆さん踊りを覚えるのが早い。そのペースに付いていけなくて焦りもしました。ダンスの動きは『格好良く見えるなら何でも良い』みたいな自由さがあります。でも鏡を見ると、僕は格好よくないんですよ。どう格好良くみせるかが難しいところです」

「LOVE」がテーマ。ストーリー理解し感情を表現

――では次に表現面で、スケートと共通することは感じていますか?

「技術面は全然違うけれど、気持ちを表現するというところでは一緒ですね。人前に出た時の気持ちの上がり方も同じですし。やはりスケートで「人に伝えるように滑る」ということをずっとやってきているので、そこは一緒だなと感じています」

――今回の舞台は「LOVE」がテーマということですが、どんな感情表現を見せてくれるのでしょう?

「実際、スケートの試合で自分が滑るとき、テーマを考え無い方でした。表現力があると評価して頂いていた理由は僕のなかでは分からなくて、僕自身としては、2分50秒や4分半でストーリーを魅せられるわけがないと思っていました。だから曲を聴いて、その時に自分が思ったフィーリングを表現していたんです。でも今回は舞台の最初から最後まで繋がっているテーマがあり、それに沿った感情表現をするので、もう少しストーリーを聞いて理解して、そこから自分なりに解釈して表現しています」

――ストーリー全体の表現に挑戦しているのですね。表現力が伸びたという手応えはありますか?

「表現力が上がったかどうかは、観て頂いた方々が判断されることだとは思いますが、新しい表現であることは確かです。長い舞台の全体が繋がっていて、ミュージカルほどにはストーリー重視ではないですが、世界観の繋がりというのを考えて表現していかないといけない。ソロをバンバン魅せるアイスショーとはかなり違う表現だと感じています」

――表現という意味では、手応えも感じてきている様子ですね。このままプロダンサーの方面に進む可能性もありますか?

「いやあ、無理だと思います(笑)でも、まずは舞台終わってみてから、良かったなと思えば、まだダンスも続けるかも知れません。基本的には踊ることは好きだし、サッカーやテニスよりも楽しいと感じるタイプなので、趣味としては続けるかも知れません」

――テクニックではスケートとの違いはありつつも、やはり表現面では髙橋さんらしい味を出せそうですね。それにしても、なぜ『舞台』という選択肢を選んだのでしょう?

「14年に引退してから、何がしたいか分からなくて海外に行っていましたが、何もしない時間を過ごすうちに、『そうやって過ごしている時間がもったいないな』と思い始めたんです。帰国して、まずはやりたいことが見つからないなら、得意な事も得意でない事も、どっちもやろうと決めました。何でも経験になるかな、と思ったので。ちょうど舞台のお話をいただいていて、もともと音楽に身体を乗せて動くことは好きですし、その経験は自分にとってプラスになるだろうと考えました」

――実際にダンスを練習してみて、これはプラスになったなあと早くも実感している部分はありますか?

「舞台にはもともと興味があったんです。現役時代から演劇も好きでしたし、どうやって舞台を構成していくのか、演出していくのか、その過程を見ていることが、大きな経験になっています」

――舞台の演出という面では、スケートには無いテーマや演出がありますか?

「やはり2人で合わせるというのが初体験です。リフトするにしても、相手の身体のどこを持って良いのか分からないんです。人によって組む位置も違ったりするので。それにLOVEを表現するというダンスで、相手の顔がけっこう近くて、ちょっと恥ずかしいですね。スケートでは、ショーの演出でも、ここまで近付いて絡むという場面はなかったので。これをスケートでやれと言われても、恥ずかしくてちょっと無理ですね、ここまで濃厚なのは。」

――今回の舞台を通じて、演出の経験になっているということですが、自身でアイスショーを演出しようという気持ちはありますか?

「まだ具体的なアイディアは無いですが、ちょっと今までに無いアイスショーをやってみたいとは思います。海外では、プルシェンコが作るアイスショーとか、ステファン・ランビエルらが出演する『アート・オン・アイス』とか、日本のこれまでのアイスショーとは少し違うものが出来たら良いなと思います。今回のように舞台を作っていくことに参加した経験があれば、自分がやりたいアイスショーが見えた時に、舞台はこうやって作っていくんだというのが分かるだろうと思っています。だから今回は、色々なことを目で盗んでいる時期です。大きなインプットの時期ですね」

――色々と新しい経験を出来て、本番が楽しみですね。

「いやあ、今はプレッシャーが強いです。試合とは、種類が違うプレッシャーですね。スケートだったら、自分が一番自信をもって、自分の分野として出演するものなので、ちょっと違います。教習所に行ったこともないのに道路で車を運転してる感じ、と言えばいいのかな。趣味でやるぶんには難しくないし楽しいけれど、お客様にお越し頂いてお金いただいて、プロのダンサーに混ざって踊る、というのは難しいことです。むしろプレッシャーとしては人生でいちばん大きいかも。自信をもてずに、武器も持たずに出て行く感じなので。スケートなら、結構強めの武器を持って行ける感じがあるんです」

――武器ですか! 髙橋さんにとってスケートは武器という感覚なのですね。

「武器をもっていれば安心感がある、その安心感みたいなものです。攻撃も守りもできるもの。スケートなら経験もありますし、ファンの方々の応援に真摯に応えることができれば、きっと誰かしらは喜ばせることができるもの、という感じです」

――そういった意味では、ダンスに挑戦したことで、改めてスケートの魅力に気づかされたのでは?

「そうですね。引退してからすぐは、スケートをやるかどうかも決まらないくらいでしたけど、今は『スケートを今後もやっていく』ということは決めたので。そこは一歩前進です。なので今は、こんなアイスショーをやってみたいとか、スケートに関わることでこういう事ことをやりたい、というアイディアをちょっとずつ膨らませていっています」

Photo=今村敏彦
Interview=野口美惠

ページ上部に戻る ↑

髙橋大輔ダンス初挑戦! 木下グループ presents LOVE ON THE FLOOR<TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画>

7/24(日)午後9:00~午後11:00

INTRODUCTION

【「LOVE ON THE FLOOR(ラヴ・オン・ザ・フロア)」とは】
「ときめき」「情熱」「とまどい」「嫉妬」「無償の愛」といった、愛という感情の持つ、さまざまな面を、米国のトップダンサー達と、米国の超人気TVリアリティーショー番組である 『Dancing with the Stars』で優勝したトップフィギュアスケーター達の、卓抜したダンスの技術を通じて表現する、世界で初のダンスショー。
2016年6月30日(木)から7月9日(土)まで、東急シアターオーブにて開催。

髙橋大輔、氷上から舞台へ!トップフィギュアスケーターたちによる全く新しいダンスショー「木下グループpresents『LOVE ON THE FLOOR』」をテレビ初独占放送!

J:COMへのお申し込み

J:COM

Copyright (c) JCOM Co., Ltd. All Rights Reserved.
ケーブルインターネットZAQのキャラクター「ざっくぅ」