竹内結子×橋本愛 スペシャルフォト・インタビュー

「本を手元に置いておくことすら怖い」と言われた小野不由美の小説が、
ミステリーや恐怖作品を得意とする中村義洋監督の手により初めて映画化。
原作者を思わせる小説家の主人公「私」を竹内結子が、
「私」を壮大な恐怖へと誘う女子大生を橋本愛が演じている。
初共演となるふたりは、この“恐怖”にどう向き合ったのだろうか。

インタビュー

明るいところと暗いところのコントラストが耐えられなくなる(竹内)

――今回の作品は、不思議な音をきっかけにして恐ろしい真実に迫るストーリーです。最初にお話に触れたときの感想はいかがでしたか?

竹内

私はもともと怖がりなので台本を読んだときに、まず「あぁ恐いな、嫌だな、読んじゃったな…」って思いました。でも読むことで触れてしまったからには、もう後には退けないんです(笑)。なので、どうこの作品と向き合えるか、を最初は悶々としてました。

橋本

私は以前から中村監督の作品は観ていたので、まずは台本を読んで監督の現場に参加できることが楽しみでした。監督にとっても10年ぶりくらいに恐怖系の映画を撮られるということで、どんな風に今回の作品を撮っていくのか興味がありましたね。

――役を演じる上で意識した点はどんなところですか?

竹内

とにかく、監督からは淡々としていてくださいと言われました。いつもの私だとリアクション係みたいな役も多かったので、目の前に起きている出来事につい反応してしまうことが多かったんですが、そこをぐっとこらえるようなところがありました。監督からは、「恐がりじゃないですから、あなたみたいに」って言われてましたから(笑)。なので、何も信じない、何も見えない、何も感じない!っていうのが、この役の課題でしたね。

橋本

作品全体から見れば、私が演じた久保さんは物語を展開していくドライバーみたいな役どころ。彼女の場合は、こうしないと成立しないっていう部分もありました。恐怖心と好奇心のバランスと言うか。普通、部屋で不思議な現象が起こったらすぐ引っ越すだろ、って思いますよね。でも久保さんはそうしない。だからこの子、ちょっと変な子だと(笑)。だって、変な音がして3秒後には引き戸を開けるんですよ? でもそれはミステリー研究会の部長で、そういうことに関心が高い子だからなんですね。そういう意味で冒頭は恐怖は1割、好奇心9割って感じでないと、この子をラストまで連れて行けないって思って、工夫しましたね。

竹内

久保さんと「私」の関係も、情報提供者だけれどもちょっとした冷たさというか、距離感がある。そこを、これはもうちょっと優しくしてあげていいですよ、とか、ここはもうちょっと喜んであげてください、とか。そういう加減を監督が出したり、引っ込めたりしながら、指示をいただきながら撮影しましたね。

――いやいや行くなよ!って思いながらも、淡々とした演出が妙な説得力で、グイグイとストーリーに引き込んむパワーがありました。

竹内

ホントですよ! よりにもよってあんな夜中に、そんな恐ろしいタイミングで何で行くの?って思いますよね(笑)。冒頭で久保さんが物音がしてすぐに戸を開けたことも、ガッツあるなと、私も思いました。とは言え、私もまず見には行くかな。今住んでいる部屋の洗面所の横に洗濯機があって、時々そこから物が落ちちゃうことがあるんです。それで深夜にテレビを見ていて、突然洗面所でバサッと物音がしたら、ビクッとはしますけど恐怖よりも自然と確かめに行くような気がするんです。だから、久保さんもそういうことなのかな、と。でも、そこに洗濯機の揺れではない何かを感じたら、私はもうアウト。すぐ引越しです(笑)

――竹内さんは本当に恐がりなんですね。

竹内

ほんと、よく引き受けたなと思います(笑)。恐がりだということを忘れていたくらい、避けていたんですかね。10代の頃に「リング」に出演したとき、この世ならざるものに対する恐怖を植えつけられていたみたいで…。そういえば、グロテスクなものを観ることはありましたけど、こっちのジャンルは観ていませんでした。克服できるかな、と思ったらそうでもない。ストーリー上では傍観者だし大丈夫かも、とタカをくくっていたんですが「あれ、おかしいな、恐いぞ恐いぞ…」って(笑)。

橋本

私は大きな変化があるとビクッとはしますけど、フィクションなら平気なほうですね。でも、今回の作品だと自分の叫び声にビクッとしました(笑)。

竹内

なんだ、愛ちゃんも怖かったんだ(笑)。この映画って家に帰って電気を消すと、恐怖の第2陣がやってくるんです。「うわ、これかぁ」って。明るいところと暗いところのコントラストがもう、耐えられない。

橋本

私もリアルになるとダメですね。部屋を明るくしたくなります。無駄にカーテンをきちんと閉めなおしたり、開いているドアなんかを隙間が無いように閉めとこうと思ったり。そういうことはあります。

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あのシーンで恐怖をピークに持っていきたかった(橋本)

――今回おふたりは初共演ですが、先日の舞台挨拶で竹内さんが橋本さんのことを「頼もしい相棒」とお話されていました。共演されてみてどんな印象をお持ちですか?

竹内

お会いする前はちょっと冷たい印象があるのかな?と思っていましたが、いざお会いしてみたら、冷たいという意味合いではなく透明感のある印象で。程よい緊張感のなかに温かいものを隠していて、面白いことをひとりでいっぱい考えているんだろうな、っていう印象を最初に受けました。

橋本

私は、大人なんだろうなって思っていました。私が獲得していないもの、絶妙なバランス感覚をもう得ているんだろうなと。お会いしてみると、すごく自然体で。何をしていても、どんな行動もすごく自然でとってもステキなんです。現場でもすごく楽しく過ごすことができたので、とてもありがたかったです。

――共演したシーンで印象に残っていることはありますか?

竹内

後半のシーンで、私がピクッと動いたことに久保さんが反応して「ヒャッ」って声をあげるところがあるんですけど、台本には無いセリフだったんですね。お化け屋敷とかで、一緒に入った相手が先に怖がるとむしろ「自分しっかりしなきゃ!」と怖がる気持ちが抑えられて冷静になるって、パターン。それを、そのシーンで体感することができたんです。「これか!」ってやっと掴めた瞬間でした。その気持ちを持って最初からやり直したかったですよ(笑)

橋本

そのシーン、覚えています。あのシーンは、久保さんとしてはもう帰りたくてしょうがないんです。もう好奇心だけじゃ持たなくなって、久保さんだけひとり後ろ向き。大丈夫ですか?って自分から聞いているけど、「大丈夫じゃないから、もう帰ろう」って言って欲しいんですね。あのシーンで恐怖をピークに持って行きたかったので、そうなっちゃったんです。

――プロデューサーの話では、撮影中や編集中にも不可解な出来事があったと聞いています。そういうお話は現場でもありましたか?

橋本

私自身が体験したわけではないんですが、セットでの撮影のときにスタッフさんに不思議なことがあったと聞きました。その撮影所のトイレは地下にあって、すごく暗いんですけど、節電のために使い終わったら必ず電気を消すようになっているんですね。それで、電気が点いていてカラカラとトイレットペーパーを取る音がしていたので、誰かいるんだな?と思ってしばらく待っていたそうなんですけど、誰も出てこない。それで、中を確認したら誰も居なかった、ってことがあったみたいです。

竹内

それって、中の人が恥ずかしくて出られなかっただけじゃないの? 私はそういうふうに解釈しています。怖がりなのでアンテナをシャットアウトしているのか、幸いなことに私自身も不思議な体験は有りませんでしたね。ちなみに、その噂のトイレには人に付き合ってもらって行っていました(笑)

撮影:渡部孝弘
取材・文:宮崎新之

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映画情報

「残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―」2016年1月30日(土)全国ロードショー

「残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―」

©2016「残穢―住んではいけない部屋―」製作委員会

STORY

小説家をしている「私」のもとに、読者から1通の手紙が届く。それは、ひとり暮らしをはじめた女子大生の部屋で、奇妙な「音」がするという内容だった。その「音」に興味を持った「私」は、手紙の差出人である久保さんとともに調査をはじめる。すると、そのマンションにかつて住んでいた人々が、引越し先で自殺や心中、殺人などさまざまな事件を起こしていることが判明した。さらに調査を進めた彼女らは、やがて十数年の時を経た恐怖の真実にたどり着く…。

出演:竹内結子、橋本愛、坂口健太郎、滝藤賢一、佐々木蔵之介、山下容莉枝、成田凌、古澤健、不破万作、上田耕一
監督:中村義洋
原作:小野不由美
脚本:鈴木謙一
音楽:安川午朗
配給:松竹

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