J:COMテレビ夏のスポーツ番組 オープニングテーマ曲
TSUKEMEN 「J Beat!」 ミュージックビデオ公開中!
2ヴァイオリンとピアノのインストゥルメンタル・ユニット、TSUKEMEN。TAIRIKU(Vn)、SUGURU(Pn)、KENTA(Vn)の3人で構成されたこのユニットは2008年に結成され、リリースしたオリジナルアルバム全てがクラシックチャート初登場No.1を獲得する快挙を達成。海外・国内400公演以上、述べ25万人を動員するなど、圧倒的なステージパフォーマンスを魅せる彼らが、メジャーデビュー6周年にあたる今年の8月3日に、マキシシングル「J Beat!」を発売する。自身作曲の新曲3曲を含めた初となるマキシシングルの聴きどころを中心に、幅広い楽曲を紡ぎだす彼らの音楽の秘密に迫る。
――初のマキシシングル「J Beat!」が8月に発売されますが、タイトルに込めた思いは?
最初は「ダンスダンスダンス」って書いてパソコンに保存していたんですよ。なんかちょっと躍動感があってみんなが弾めるような曲になればいいなと。“JUMP”や“JOY”など、躍動感のある言葉には「J」という文字が入っているなと思って。その象徴のような感じで「J」を使いました。
――メロディーで工夫した点は?
今までの僕らの音楽は、マイナー調でしっとりとしたかっこいい感じの曲が多かったんです。だから、明るいものを作りたいという思いはありました。そこで、パッと浮かんだのがアイリッシュ系のメロディー。そこはこれまでとは違う雰囲気ということもあって、こだわった部分ですね。
――「J Beat!」はKENTAさんが作った曲ですが、TAIRIKUさんはどんな印象を受けましたか?
モチーフを聴いた時から これはもうKENTAらしい曲だなと思っていました。すごく漠然とした感想になってしまいますけど、テンションコードの移り変わりが独特。例えば、普通だったらAからBに行くところを、Jに飛んでいくような感じというか、自分が作る曲にはないところですね。だから、KENTAらしい素敵な曲になるだろうなと感じていました。キャッチーでみんながノれる曲です。
そんなに深く考えたことはないけど、J-POPの分かりやすいコード進行も気持ちいいと思いながらも、どこかイレギュラーだったり、アンバランス感だったり、そういうものが好きなんです。その意味でも、ちょっとしたアクセントを出したかった。作曲した瞬間、自分だけが気持ち良いと思うポイントをちょっとだけ入れていくと面白いし、どこかで引っ掛かってもらえたら。聴けば聴くほど好きになるような曲になってくれたらいいですね。
――演奏していて難しいと感じたところはありますか?
民族楽器やドラムと一緒に演奏するのは、TSUKEMENとして初の試み。いつも3人でやっているので、華やかになって聴きやすいと思います。その中で、僕ら3人の色をどんな風に出していくのか。ピアノとドラムはリズムのパターンが似ているので、前に出たり抑えたりという、音の出し引きのさじ加減が難しかったですね。ピアノの音が埋もれる部分があってもいいけど、時々存在感を出してみたりとか。その兼ね合いが大変だなと感じましたけど、どこか新鮮で楽しかったです。
――ヴァイオリンも主張するところはありましたか?
みんなが楽譜通りに弾いて音を再現しても、ある程度のレベルの人が演奏したらみんな同じように聴こえるんです。その中で、いかに自分しかやらないニュアンスを入れつつ、音に表情を込めていけるのか。聴いている人の耳に残ることを意識しながら演奏しなければいけないと学んだような気がします。
生で観たら、ヴァイオリンの掛け合いは楽しいと思います。すごくバランスの良い曲なので、飽きることなく何回も楽しめるメロディーですね。
――「Eve」はTAIRIKUさんが作曲しています。
二人が作った曲は、にぎやかなドラムの打ち込みが入っていたりするので、僕はオーケストラで幅広い感じを出していきたいと思いました。カラーの違う箸休め的な曲ですね(笑)。タイトルの「Eve」はアダムとイブがモチーフというか、人類や生命の起源という意味を込めた大きな音楽ができたらいいなというイメージで付けました。
大河ドラマで使ってもらえないかなと思った(笑)。それだけ、壮大な曲。ドーンと深く聴こえてきますよね。今回は3曲しかないけど、これが入っていることによって面白いグループだと思ってもらえるような気がします。
じっくりと深いところで流れている感じが好き。アレンジもいいですよね。3曲の中で、一番良い音で弾きたいと思いました。ヴァイオリンの持つ良い音色を発揮したい曲です。
オーケストラは篠崎ストリングスさんたちが担当してくださったんですけど、そこに呼ばれた方々の中にはコンサートマスターがたくさんいらっしゃって、かなりゴージャス。そのサウンドは折り紙つきです!
――SUGURUさんは「VIBES」を作曲されましたね。
自分自身が楽しめる曲になりました。究極の自己満足ですね(笑)。ピアノ中心なんですけど、演奏していても気持ちが良い。ピアノを前面に出して、ヴァイオリンの音が上に乗っかっているような感じが好きです。
こういう曲も好きなんです。
グループ愛を感じるね(笑)。
(笑)。もし、自分一人で好きな音楽をやっていいよと言われたらこういう方向の音をやりたかったと思わせてくれる曲。ヴァイオリンを弾いていてもうれしくなります。
――今までとは違う3人が見られるPVも注目ですね。
あそこまで、スポーティーな感じにするというイメージがあったわけではないけど、スーツスタイルは違うなと思っていて。ポップな感じにしたかったから、誰もが着る機会があるような衣装はぴったりでしたね。
新たな試みをするに当たって、今までとは違う一面を見せられたらいいなと。
せっかくノリノリで聴ける曲ができたので、カジュアルで動きやすい衣装になってよかったです。
――撮影の時は、体にカメラを着けたそうですね。
いろいろな角度から撮ることで面白い映像になっていると思います。メンバーの一員になったような目線が楽しめるかも。
手に着けたりしたんですけど、意外に重くて。カメラを支えながらの演奏は疲れました(笑)。重りを着けて弾いているような感覚。もはや修行でしたね。
メンバーの一員になったように楽しめるというコンセプトが面白い。今までのPV撮影ではカメラを見てはいけなかったんですけど、今回はカメラ目線もありだったんです。それが慣れなくて、ちょっと恥ずかしかったです。でも、ノリノリの曲だったから楽しかったし、いい思い出になりました。撮影もほとんどNGがなくスムーズだったので、体力的にも楽でしたね。
――重りを着けて楽器を弾くという経験はないですよね?
実は、似たようなことを経験していて…。学生時代に、スポーツ用品店で売っている2kg以上の重りを腕に着けて練習したことがあるんです。負荷をかけた後に、重りを外して引いたらもっと自由に弓をコントロールできるかなと思って。結構、自慢げにKENTAにも話していたんですけど、その何日後かに腕の筋を痛めちゃったんです(笑)。
皆さんは、絶対マネしないてください!
実は僕も同じようなことをやったことがあるんです。でも、ギターをやっている友達から「腕に着けたって動かしているのは指だよね」って言われて。確かにそうだなと思ってすぐやめたから大事に至りませんでした(笑)。
それは賢明な判断です。結局、4年ぐらい引きずりましたから。しばらくの間、1時間以上練習すると腕がしびれていました。
僕は大学でTAIRIKUと知り合ったんですけど、あんまり練習しない人だなと思っていて。ほとんど弾かないんですよ。自分と同じタイプなのかなって親近感を覚えていたんですけど、いつからか急に練習をするようになったんです。あの時、腕が治ったんでしょうね(笑)。
ホントに大変でした。コンチェルトとかは40分ぐらいあるので、いかに効率よく弾くかを考えないといけなくて。何しろ1時間しか腕が持たないので(笑)。
ウルトラマンのカラータイマーだよね(笑)。
――曲を生み出すために、普段から心掛けていることはありますか?
純粋に映画が好きなので見ていますし、今年は和のテイストに興味が湧いてきて。能や歌舞伎、三味線などに触れて自分の世界を広げようかなと思っています。何でもそうなんですけど、見た直後にすぐ何かが変わるということはなくて。自分の中で身になって形として表れるまでタイムラグがあるような気がします。あとは、散歩しながら季節の移り変わりを感じるだけでもいいし、日頃からアンテナを張っていたほうがいいのかもしれませんね。
景色は大事だね。山や海、遺跡でもいいんですけど、何かを見た瞬間に生まれることがあったりもして。ひらめきと言いますか、自分なりに感じる神秘のようなものがあるんです。
景色に左右されるところはありますよね。
極端なことを言えば、今までに感じたことがない寒さを経験しただけで一曲作れることもある。だから、景色を見たりすることは大事なんですよ。その空気に触れたりすることも。
自分の中で「これはやったな!」って思えるような曲は、時間に余裕がある時じゃないと出てこない。自分のパッションというか、書きたいという欲求が強くないとダメですね。頭で考えただけの曲は、自分の中で何も引っ掛からない。「ピアノでこんな曲が弾きたい!」という熱意がどれだけあるか。そこが一番重要ですし、大切にしたいところですね。
やっぱり、自分の気持ちがノらないとだめだよね。
何となく作り始めたものってテーマがないから途中で止まっちゃうし、書いていても飽きちゃうんです。
――全国60カ所以上を回るツアーの最中ですが、どんなツアーとなりますか?
その土地ならではの盛り上がり方があるから面白いですよね。当日のお客さんの気質によっても変わってくるし。反応は毎回違いますね。
2、3年前まではシリアスな感じで攻めたはずなのにギャグっぽく受け取られたり、その逆の反応もあったりして戸惑ったりしましたけど、最近は割と自分たちが思った通りの反応が返ってくることが多くなったなと感じています。
今も新曲を最初に披露する時は不安になるんですけど、昔よりは分かるようになってきたのかもしれません。
その分、いい感じだったなと自分たちが思っているところで反応が今ひとつだったりすると、何が足りなかったんだろうって考えさせられるところもあるので、日々勉強ですね。
トークも昔に比べると慣れてきたような気がしますね。大したことは話してないですけど(笑)。
基本的に台本がないフリートークですから。とりあえず誰かが話し始めたら、それに乗っかっていく感じ。
トークがあると場が和むんですよ。デビュー当初はグダグダすぎてダメ出しばかりでしたけど(笑)。一時期、全然うまくしゃべれなかったから、決められたこと意外は一切話さなかったことがあるくらい。最近は自分たちなりに楽しめているのかなと思っています。TAIRIKUも「もう少し自分たちで自由にしゃべれるようになりたい…かも」って言ってましたからね。
「かも」って、ちょっと消極的ですけどね(笑)。
基本的には僕とTAIRIKUが犠牲になって(笑)、KENTAくんで笑いを取るパターン。
KENTAは、とっさの判断力がすごいんです。
何かしゃべることが見つかって二人の会話が始まったら、聞き手に回って傍観しているんです(笑)。そこに言葉を挟んでしまうと聞きづらくなっちゃうので。だから、あえて入らない。そうすると「ちょっとは入ってよ!」って突っ込んでくるから、そこからまた会話が広がっていくんです。
一人が引いて見ているような感覚って大事ですよね。
――ちなみに、ツアーに出掛ける時の必需品はありますか?
実は、長期間のツアーってあまりないんです。基本的に日帰りが多くて。でも、ちょっと長くなりそうな時はスポーツができる服を持っていきたいですね。短パン、Tシャツ、スニーカーとか。汚れても気にならないようなもの。キャッチボールをしたりすると、いい気分転換になりますね。
まじめに答えるとうがい薬。すごく風邪をひきやすいんです。誰かが風邪だと、すぐ感染っちゃうんです。のどから来ることが多いので、予防だけはしっかりしたい。
夏だったら、サンダルと短パン。車での移動が多いから、この格好はものすごく楽なんです。リラックスできる時間を少しでも作りたいですね。
撮影:渡部孝弘
取材・文:小池貴之
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