筒井道隆 J:COMスペシャルフォト・インタビュー

かつてドラマ「あすなろ白書」(‘93年)で一世風靡し、近年も数々のドラマや映画、舞台に出演する俳優・筒井道隆は、自転車乗りとしても知られる。ロードレースに出場するなど、本格的に活動している。そんな筒井に、自転車のこと、ツール・ド・フランスのことを語ってもらった。

東京から名古屋のおばあちゃんの家まで自転車で行っていました!

――筒井さんは自転車乗りとしても知られていますが、筒井さんと自転車の関係はどのようなものなのでしょうか?

「幼少期の三輪車に始まり、ずっと身近なものですね。僕が小学生の頃は、ちょうどロードマン(’74年に発売を開始したスポーツ自転車の入門モデル)が流行った時期で、東京から名古屋のおばあちゃんの家まで自転車で行ったりしていました。国道1号線を走り、箱根越えするのはちょっと怖かったですけど、父が渡してくれる1万円で道中に好きなものが食べられるのが嬉しかったです。当時、どのくらいのスピードで走っていたのかは、ちょっと覚えていないですね」

――その流れで自然とロードレーサー型の自転車に乗ったり、レースに出たりするようになったのですか?

「仕事に行くのにも使っていましたし、自転車はずっと乗っていたんですが、ロードレーサーには乗っていませんでした。ロードレーサーに乗っている知り合いに勧められて、同じようなロードレーサーを買うことになり、乗っていました(笑)。そのままヒルクライムレース(山や丘などの上り坂のコースで行うロードレース)に出場するようになって今に至ります」

――すぐにロードレースの魅力にハマったのですか?

「最初の頃は、よくわからないまま乗っていましたね。自転車によく乗っていたとはいえ、やはり違いますから。ちゃんとロードレースをやっている人は、距離の感覚もずれていますね。もちろん、いい意味で、ですよ(笑)。それが、だんだんわかってきて楽しくなってきた感じです。みんながきついという坂でも、そんなにきつくなかったりします。激坂で知られるふじあざみラインとか好きですし、僕に合っていたんだと思います」

――ロードレースの最高峰“ツール・ド・フランス”を見始めたのは、いつ頃からでしょうか?

「ロードレーサーを勧めた人たちが、ツール・ド・フランス(以下、ツール)を見ていて、ロードレーサーに乗り始めた頃からずっと見ています」

――筒井さんが印象に残っている選手はいますか?

「よくわからないまま見ていた時に、みんながペタッキ(アレサンドロ・ペタッキ)の話をしていたので、ペタッキみたいな選手が強くて、カッコイイ選手なんだと印象に残っています。それもあって、ロードレースを始めた頃は、ペタッキと同じピラレロの自転車に乗っていました。あとでわかったのですが、ペタッキはスプリンタータイプ、僕はクライマータイプで全然タイプが違うんですけどね(笑)」

――乗るだけでなく、見る方でもロードレースの魅力に惹かれていったんですね。

「最初はチームで戦っていることさえわかっていませんでした。それが、エースのためにアシストが、風よけとなって前を走って、エースの体力を温存させる。ほかにもいろいろと、こういうことだったのか、こうやればいいのかって、参考になることも多かったです。ツールに関して言えば、やっぱり一番洗練されている気がします。グランツール(ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャの3大ロードレースの総称)の中でも一番大きなレースですし、選手もみんなここを目指していますから、レースの頂点ですよね。その頂点のレースを見ている興奮もありますね」

――今年のツールで注目する選手は、誰ですか?

「リッチー・ポート(ビーエムシー レーシングチーム)、ゲランド・トーマス(チーム スカイ)、ホアキン・ロドリゲス(チーム カチューシャ)の3人です。理由は、何となく好きだからです(笑)。リッチー・ポートは、昨年のジロでパンクした時に、同じオーストリア出身のサイモン・クラーク(当時オリカ・グリーンエッジ)から前輪を提供してもらったエピソードでまた好きになりました。他チームからの機材提供はルール違反なので、結局ペナルティーを受けましたけど、チームの垣根を超えてサポートしたくなるいい人なんだろうなって思いました。リッチー・ポートもそうですけど、ゲラント・トーマスはずっと実直にアシストしているイメージがあります。クリス・フルーム(チーム スカイ)は、2人のアシストもあって総合優勝していますけど、リッチー・ポートがチーム スカイからビーエムシー レーシングチームに移籍したので、どうなるのか気になりますね。ホアキン・ロドリゲスは、37歳になるおじさんで大ベテラン。頑張ってほしいです」

――優勝争いは、どう見ていますか?

「クリス・フルームの連覇が有力だと思います。フルームは、自身に加えて所属するチーム スカイが強いですからね。誰が対抗馬になるかが注目ですね。今季で引退するアルベルト・コンタドール(ティンコフ)は、ツールにかけていますし、所属チームのティンコフも今季限りでなくなってしまうので気になりますね」

――まだわかりませんが、ケガからの復帰が間に合えば、新城幸也選手(ランプレ・メリダ)が出場する可能性もあります。

「出てくれるのと、出ないのでは、全然違います。やはり身近に感じますし、日本の人がツールを見るいいきっかけになってくれると思います。新城選手の場合は、ブログも面白いですから(笑)。ツールに出場する日本人選手がどんどん増えてほしいですね」

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――今年のコースで大事になってくるのは、どこだと思いますか?

「まだコースは詳しくは知らないのですが、(コース図、高低差を見て)かなりきついですね(笑)。超級や1級のカテゴリーに分類されていないところでも、やっかいそうです。山岳ステージでは標高2000、3000mみたいなところも走りますし、その時の気候も重要な気がします。ただ、大事なのは、山だけでなく全部だと思います。最初から最後までの合計タイムで、総合優勝を争いますから、最初で出遅れると、いくら山岳で頑張っても難しいんです。全体を通して、少しずつタイム差を稼いでいくための戦略だったり、ずっと気が抜けない感じが楽しいです」

――ツール初心者の方に、観戦のポイントをお勧めするならどこですか?

「やっぱり景色です。綺麗ですからね。毎年違うコースになりますから、最初は旅行気分で見るのもいいと思います。ガイドブックには載らない町や村も走るので、日常の風景も楽しめます。カッコイイ選手が出ているからでもいいです。ずっと見ていくと、全21ステージ、3週間かけてタイム差を争っているんだとか、わかってきて面白くなると思います。毎年見ていくと、選手の性格だったり、人間模様、去年この選手はここで勝てなかったとかもわかってくるのでさらに面白くなると思います。旦那さんがツール好きだけど、奥さんがまったく興味ないご夫婦とかってどうしているんですかね? 心配です(笑)。3週間、長時間に渡って見るわけですから、『選手が走っているこの土地のワインだよ』とか言ってワインを渡したり、『今度、ここに行こう』などと旅行に誘うとか、なんらかの手を打たないとまずいですね(笑)」

――今年のコースは、世界遺産のモン・サン・ミシェルからスタートですから、ツールを知らない人に興味を持ってもらいやすいかもしれません。

「それは、あると思います。僕は自分が走ったり、生で見たことがあるところをレースで見ると、近く感じてテンションが上がります。スイスで行われた『オートルート・アルプス』に出場した時は、帰りにフランスに寄ってゴールとなるシャンゼリゼ通りを見てきました。感動しましたね」

――筒井さんにとって、ツールとはどんなものですか?

「最初から最後まで、本当に素晴らしい1つの作品だなって思います。長い距離を走って、風景も変わるし、人間模様も動いていく、ドラマみたいなんです。この選手は今年引退するから勝たせたいとか、このチームは解散するから選手は来季のためにアピールに必死だなとか、ツールに限ったことではないですが、大人ならわかるストーリーがそれぞれにあります。普通の人は、連日数時間に渡るので長過ぎると感じるかもしれませんが、僕はこの長さがいいんです(笑)。いろんなところを周ってきて、凱旋門などの綺麗な建造物があるシャンゼリゼ通りの周回コースで終わるというのも美しいです」

――話が基本的なところになりますが、自転車の魅力はどこだと思いますか?

「自転車として捉えると、やはり便利だからだと思います。買い物に行ったり気軽に乗れるし、ちょっと遠くまで行ったらいい運動になりますし、膝にも優しい。置き場所にも困りませんし、維持費も安くて手軽です。かと思ったら、ツールのようなハイレベルなレースもあります。幅が広いです」

――日本でも自転車の人気は高まっていますが、ロードレースにも興味を持ってもらうにはどうしたらいいでしょうか?

「難しいですよね。欧州だと草レースも多いから、みんな小さい頃から仕組みがわかっているんだと思います。日本でいうと、野球がそうですよね。日本は自転車文化が徐々に浸透している段階だと思います」

――秋に日本で行われるツール・ド・フランスさいたまクリテリウムは、自転車文化普及の点で大きな役割を果たしてくれそうですね。

「すごく多くの方がいらっしゃっているみたいですし、どんどん普及してくれると嬉しいです。僕にはいい刺激になっていて、一流選手の走りやレース展開を見るのも楽しいですけど、出たいという気持ちがあります(笑)」

――ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムは、どこに注目していますか?

「“別府(史之)頑張れ!”。ここです。別府選手(トレック・セガフレード)は、クリテリウム(街中での周回レース)が得意で、実際にジャパンカップクリテリウムで優勝しています。地元で勝ってほしいです」

Photo=中越春樹
Interview=山木敦

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