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若手女子プロゴルファーの登竜門、JLPGAステップ・アップ・ツアーが4月4日に開幕する。今年も賞金ランキングの上位2名には来季のJLPGAツアー前半戦の出場権が与えられるため、激しい戦いが予想される。昨年のプロテストでトップ合格を果たした清本美波プロも虎視眈々とその座を狙う1人だが、今季にかける思いを聞いた。

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ギャラリーが多いほど集中力が増す

――いよいよステップ・アップ・ツアーが開幕します。清本プロはアマチュア時代にも出場していますが、どのような印象をお持ちですか？

清本：年々レベルが上がっており、最近ではイーブンパーでも予選通過するのが難しくなっているイメージですね。簡単には優勝できませんし、いかにスコアをまとめていくかが上位に食い込むカギを握ると思います。

――スコアをまとめるための対策は何か考えていますか？

清本：バーディを数多く取ることよりも、凡ミスでのボギーを減らすことを大切にしたいですね。

――帯同キャディが認められていないため、プレーの判断はもちろん、自分でやらなければいけないことが多くなるのもステップ・アップ・ツアーの特徴です。

清本：カートまでクラブを取りにいったり、バンカーをならしたりするんですよね。ただ、自分の判断でクラブ選択をしたり、ラインを読むこと自体は嫌いじゃなくて、むしろ自分のペースで思ったとおりにやりたいタイプなので、帯同キャディさんがいないことは特に影響がないと思います。

――プロテストを1位通過したことで注目度も高く、ギャラリーも清本プロの組に集まりそうですが？

清本：大歓迎です。「頑張れ！」とか、「ナイスショット！」とか言われたいです。昔から注目された時の方が、スコアはいいんですよ。自分がやるべきことに集中できると言いますか、しっかりやらなきゃって気合が入るからかもしれません。

常にトップを目指すクセをつけたい

――スカイAではステップ・アップ・ツアー全19試合を独占放送しますが、視聴者の皆さんにどのようなプレーをアピールしたいですか？

清本：攻めのゴルフでしょうか。距離を刻んだり、レイアップ（※1）するのが好きではなく、たとえ林の中に打ち込んでも、わずかな隙間を狙っちゃうタイプなんです。狙いと結果がかみ合わなかった時は最悪ですが、アグレッシブなプレーを見てほしいですね。

――今季はステップ・アップ・ツアー中心の戦いになると思いますが、ズバリ目標は？

清本：賞金ランキング2位以内に入ると、来季前半戦のJLPGAツアー出場権を得られるので、そこを目指したいです。難しいかもしれませんが、ステップ・アップ・ツアーで勝てなければ、JLPGAツアーでも勝てないと思いますし、予選通過ではなく、常にトップを目指すクセをつけたいですね。

――長丁場になりますが、体力的な不安はありませんか？

清本：1年目は移動のほか、練習ラウンド、プロアマ戦、本戦と続くスケジュールに慣れるまでが大変だと聞いています。休養をとることも大切ですし、効率よく戦いたいですね。ただ、昔から練習した者勝ちと言いますか、練習しないと不安を感じるタイプなのできちんと休めるかどうかが心配です（笑）。

4年後のロス五輪に出るのが目標

――シーズンオフにはスカイA番組「田中秀道のビッグステップゴルフ」にも出演したそうですね。

清本：田中プロはレジェンドなので最初は怖い方かなと思っていましたが、ものすごく優しい方でとても楽しかったです。私は50～70ヤードの距離を合わせるのが苦手なんですが、その打ち方も教えていただきました。

――スカイAではJLPGAツアーも中継しますが、出場する予定は？

清本：アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI（3月22日～24日）に出場します。今年は経験の年だと思いますので、いい事も悪い事もどんどん経験するつもりです。

――将来的な目標はありますか？

清本：JLPGAツアーで常に上位争いをできる選手になりたいと思いますが、4年後のロサンゼルスオリンピックに出場するのが目標です。国を代表して戦うことはすごいことだと思いますし、他の競技でも活躍した方には憧れます。実は吉田沙保里さんと話す機会があり、オリンピックでの裏話などお聞きしましたが、やっぱり3連覇する方はオーラがスゴイと思いました。少しでも吉田さんに近づけるように頑張りたいですね。

JLPGAツアーにも負けない熾烈な優勝争い

　JLPGAツアーと比べてコースセッティングの難易度こそ低くなるものの、出場選手のレベルは大きく劣らないのがJLPGAステップ・アップ・ツアーだ。実際、昨年はJLPGAツアーで23勝の実績を誇る李知姫 イ チヒ が参戦して優勝を飾っている。他にもJLPGAツアー優勝経験者が数多く出場しているが、前年のプロテストに合格した新人も全員出場できる資格を持つ。ベテランの技とフレッシュな若手のアグレッシブさが絡み合うことで化学反応が起こり、熾烈な争いが繰り広げられるのが見どころだ。

事実、昨年は23試合開催されたが、2位と2打差以内で決着がついた大会は20試合もあった。2打差なら1ホールでその差が埋まる可能性が十分あるだけに、最後まで優勝者は分からない。そんな張り詰めた空気が流れる中で勝ち切る選手は、当然のようにプレッシャーに強くなる。一昨年、5勝を挙げて賞金女王に輝いた櫻井心那は昨年のJLPGAツアーでも4勝を挙げ、メルセデスランキング（※2）5位に入ったが、メンタル面を鍛えられたことが要因となったのは間違いない。

今季も激しい優勝争いが予想されるステップ・アップ・ツアー。接戦を勝ち抜いた選手が成長し、来年あたりにJLPGAツアーで活躍する可能性は十分にある。今から推しの選手を見つけ、応援するも良し、どれだけ成長したかを語るも良し。自分なりの観戦方法は無限にあるだけに、まずは、ステップ・アップ・ツアーを実際に観戦することから始めてみてはいかがだろうか。

• ※1　グリーンまで距離がある場合など、次のショットが打ちやすいところに距離を抑えて打つこと
• ※2　JLPGAツアーの各競技及びUSLPGAメジャー競技での順位をポイントに換算し、年間を通じての総合的な活躍度を評価するランキング

取材・文：山西英希