あらすじ
江戸の闇社会。
表と裏の顔を持つ男たちの運命が交錯する。
暗い過去を抱え、長く放浪の身であった浪人・木村十蔵は、流れ着いた江戸の地で女房・子供を得て、表向きは剣術指南を生業としている。が、裏では金で殺しを請け負う「仕掛人」という家族に知られてはいけない顔を持っていた。
いずれは江戸を離れて家族との平穏な日常を、と望む十蔵にある日、香具師の元締・暗闇坂の久五郎から新たな仕掛けの依頼が入る。「悪の中でも極悪の者だけを斬る」ことを信条とする十蔵は、仕掛ける相手が市井の商人の仏具屋・八幡屋和助であることに違和感を覚えつつも、一度受けたら断ることの許されない仕事を受ける。
一方、その頃十蔵は自らの趣味である絵描きを通じてある男との交流を深めるようになるのだが、実はその男こそが殺しを請け負った標的である和助であることを知る。和助の裏の顔は極悪な盗賊の頭である、と元締から聞かされてもなお、斬ることを躊躇う十蔵。しかも和助と自らの過去の間には、深い因縁までもがあると分かり…。闇の世界の掟と、絵筆が結んだ数奇な縁の間で葛藤する中で、やがて訪れる決断の時、十蔵を待ち受ける運命とは。