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第6回 J:COM杯 3月のライオン 子ども将棋大会第6回 J:COM杯 3月のライオン 子ども将棋大会

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先崎九段×藤森五段 対談

映画「3月のライオン」編

羽海野チカの同名コミックを映画化した『3月のライオン』【闘いの前編】が現在公開中で、【涙の後編】がいよいよ4月22日に公開される。メガホンをとったのは、『るろうに剣心』シリーズや『ミュージアム』の大友啓史監督。主人公の桐山零を演じるのは、若手俳優の中でも群を抜き、大きな注目を集めている神木隆之介だ。そして、作品の根幹でもある“将棋”を棋士4人が監修している。先崎学九段、村中秀史六段、藤森哲也五段、田中誠指導棋士三段の4人の中から、先崎九段と藤森五段に、映画への想いを聞いた。

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右)先崎学九段

――まずは映画を監修された皆さんのそれぞれの役割を教えてください。

先崎自分は実際の現場ではほとんど口を出しませんでしたね。どちらかといえば、藤森くんなど、信用できる後輩を監修に推薦するのが私の仕事でした。あとは、あまり細かいことを言わずに、映画のスタッフの皆さんがすばらしい仕事をしているのを目の当たりにして、とにかく全体の空気を壊さないということだけを考えました。

藤森僕と村中さんと田中さんは、手つきから始まって、盤周りの所作とか、要は俳優さんをプロ棋士にするというのが僕たちの主な仕事でした。もちろん、皆さんプロの俳優さんなので、演技のことは言わないんですけど、将棋に関わることはすべてお伝えし、それを実践していただきました。

先崎現場での作業は3人にまかせて、私は好きなときに帰る(笑)。でも、なぜか最初から最後までいたことが多かったです。当初思っていたより、かなり行きましたね。おそらく20回くらいは現場に行ったと思います。

――映画の現場はいかがでしたか?

先崎棋士というのは一対一の勝負で、記録係を入れても3人じゃないですか。私はエッセイも書くんですが、これも一人の孤独な作業。でも映画は大勢のチームワークで作り上げていくものなので、一つ一つが新鮮でしたし、棋士として驚きの連続でしたね。また、大友監督や神木さんなど、一流の方ばかりなので、いろんなことが勉強になりました。すばらしい時間を体験させていただきましたね。

藤森そうですね。将棋班は映画の中の将棋に関わることをすべて担当したのですが、大人数でこれだけのものを作りあげるという経験が今までの自分の人生になかったことなので、貴重な経験ができたと思います。

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先崎皆さん、ものすごく情熱を持っている方々で、主演の神木さんとは、雑談も含め、いろいろとお話をさせていただいたんですが、彼からは将棋に関わるあらゆるものをリスペクトしているのが伝わってくるので、こちらも熱意を持ってお話することができました。

藤森手つきなどは俳優の皆さん結構苦労されていたんですけど、そこはさすがというか、最終的には皆さん、そのキャラクターになりきって指していました。(桐山)零くんを演じる神木さんはキレイに指すし、後藤(正宗)九段を演じた伊藤英明さんはすごく力強い手つきで指しますし、宗谷(冬司)名人を演じた加瀬亮さんは、あまり手つきに感情を込めず、さらっと指していましたね。それぞれの指し方にキャラクター性が現れて、面白かったです。

先崎本当に素晴らしかったですね。見ていて泣きそうになりました。

藤森あとは、将棋って局面によって流れがあるんですね。すごく攻めている場面とか、苦しくて守っている場面とか、そういうところは棋士ならではの感覚というものがあるので、それをどうやって俳優さんたちにお伝えするのかというのは苦労しましたね。

先崎指し方の手つきも教えるの難しかったんじゃない?

藤森手つきはもう、僕らは子どもの頃から何十年もやっているので、今回、改めて指し方を教えることになって、将棋ってどうやって指してたんだっけって(笑)。箸の使い方や呼吸法みたいに、もう当たり前になってしまっているものなので。

先崎日常的すぎて、言葉にできないんだよね。

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藤森哲也五段

――なるほど(笑)。映画では将棋のシーンが多く出てきますが、盤面の作成も皆さんが担当されたんですよね?

先崎それは簡単です。私は原作のコミックも監修しているんですが、原作に出てくる局面は私が作って、原作にはない勝負の局面は彼らが作りました。

藤森映画では、ほんの一瞬、パッと映るようなシーンの盤面でも、ちゃんと初手から最後まで指し手があるんですよ。映画では一部分だけが映っているんですけど、きちんとすべてに流れがある。まずはこちらが優勢になって、押し切りそうだったけど、相手が持ちこたえて逆転された、みたいなストーリーが盤面ごとにあるんです。そのストーリーを毎回、俳優さんたちに丁寧にお伝えしていました。

先崎適当に駒を並べるということもできるんだけど、それはしなかった。プロが見てもおかしくない盤面にしないといけない。

藤森今、将棋は指さないで観戦専門のファン“観る将”が流行しているじゃないですか。そういう人たちが見ても、絶対に文句が出ないように、というのを心がけました。

先崎でも、図面が先というのがあったよね。あれは大変だった。要は、もう決まった盤面がポンとあって、その前後のストーリーを作らなければいけないときがあったんです。これは棋士のロジックからいうと、とんでもないことでね。その盤面の後を作るのは簡単ですよ。普通に指していけばいいんだから。でも、ただの盤面の前のストーリーを作るというのは、これは正気の沙汰じゃない。

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藤森ある棋譜がもともとあって、その中のこの局面をピックアップしてくれ、というのなら簡単なんですけど。何もないところから、後から理屈を作ってくれというのはとても苦労しました。

先崎でも、それをなぜ作らなければいけないのかは、誰にも聞いちゃいけない(笑)。こだわりなんですよね。映画では宗谷名人の写真集が一瞬出てくるんですけど、あれだって、きちんと中身が作られている立派な写真集ですよ。羽生善治写真集の顔だけを宗谷名人の顔に変えちゃえばいいのにって、私なんかは思いましたけど(笑)。

藤森あの写真集もすごいですよね。きちんと中身ができてますから。

先崎あれもお金かかるはずなんだよ。本当に細かくて、裏表紙にこの写真集の定価を書く意味はあるのだろうかって思いました。絶対に映らないのに。でもそれは聞いちゃいけないんだよね(笑)。

藤森本当にすべてにこだわってらして。ディテールがすごかったです。

先崎こちらから映画のスタッフの皆さんに逆取材したい気分ですよ。他にもたくさんこだわっている部分がある。だから、将棋の図面もその延長で、映画スタッフの熱意を見たら、将棋班もやらなきゃしょうがないですよ、これは(笑)。

――実際には何局くらい作ったんですか?

藤森今回、新規ではだいたい30局くらいの棋譜を用意したんですけど、それぞれにテーマがあって、このシーンにはこのテーマの棋譜でいいかなと悩むときがあるんですね。そういうときは「これでいいでしょうか」と、先崎先生に相談しましたね。

先崎そうですね、最終決定権は一応、私なので。テーマに合う棋譜が見つからなかったら、これはこうしてみれば、とアドバイスしたりして。

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藤森前編では、桐山が新人戦の決勝戦で、山崎順慶(奥野瑛太)というスキンヘッドの棋士と対戦するんですね。決勝戦の前に、二海堂(染谷将太)が山崎に負けちゃって、その想いから桐山が熱くなってしまうんですけど、そこから思い留まり、落ち着いて違う手を指すという一連のシーンがあるんですけど、あの棋譜は中原名人vs大内八段(当時)という何十年前のものなんです。その棋譜を探すのに2~3時間かかりました。

先崎あれはそうだよね。だから将棋のクオリティがすごく高い(笑)。実は、中原-大内戦は原作にも登場するんですよ。『3月のライオン』のコミックの最初に登場するんですけど、これは将棋の歴史に残る対局で、昭和50年に大内延介八段が、中原誠名人に挑戦して、穴熊という戦法を日本中に認知させた名人戦なんです。ちなみに、大内さんは藤森くんの実質的な師匠なんですよ。盤面は基本的には、編集者側からのリクエストがあって、毎回、私にこういうものがほしいというFAXが送られてくるんですね。それを見て、パッと思いつくこともあれば、全然浮かばないときもある。浮かばないときは潔くボーっとするんです(笑)。ボーっとしながら、駒を片手に持ったりなんかして、プロ用の棋譜データベースを眺めたり、コーヒーを飲んでタバコを吸ったりしていると、小一時間くらいで、できることもあるし、できないこともある(笑)。

藤森映画もいろいろと条件を言われまして。例えば、先崎先生の一局で、生活がかかっていて、絶対に負けられない対局を、とか。

先崎え、そんなのあったの? 初めて聞きました(笑)。

藤森先崎先生が粘って200手くらい戦って、最後はパワープレイで勝つ、みたいな。そういう将棋があったんです。それを使ったりとか。

先崎私の将棋って出ているんだ。いや、初耳だな~。どんな将棋?

藤森先崎先生が居飛車穴熊で、相手が振り飛車穴熊で、お互い自陣に駒を埋めて、絶対に負けたくないっていう気持ちが全開の、たしか順位戦だったと思います。

先崎昔だよね。覚えてないな~。忘れてますね(笑)。

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――先崎九段にお聞きしたいのですが、映画と原作コミックの魅力はなんでしょうか?

先崎基本的にはものすごく両作とも似てますよね。それは原作と映画という関係性だから当たり前なんだけど、大友監督も羽海野先生も、同じことを表現したいんだってこと。根っこが似ていると思いました。羽海野先生の絵は非常に柔らかいタッチで、とてもユーモアがあるじゃないですか。そこを含めて世の中に受け入れられたというのがあると思うんですね。一方で大友監督の映画は、『3月のライオン』という一つのストーリーの本質の部分から入ってくる。するどく切り込んでくる。そういう意味では映画のほうが分かりやすいかもしれませんね。しかし、どちらも天才であることは間違いない。私は、天才というのは心に冷凍庫を持っている人だと思っているんです。大友監督も羽海野先生も冷凍庫を持っている。才能というのはナマ物で、腐りやすいものなので、それを腐らせずに、世に出していける人というのが天才なんだと思います。

――作品にも、さまざまな才能あふれる棋士たちが出てきます。後編の見どころや注目してもらいたいシーンを教えてください。

藤森僕、前編では島田開(佐々木蔵之介)と後藤がおやつを食べるシーンがとっても好きで、撮影現場でもみんな笑いをこらえて、和やかなムードで撮影をしたのが印象に残ってますね。後編もいくつか対局のシーンが出てくるんですけど、対局室とかは、すごくかっこいいので、監修した立場としては、そこを観てほしいですね。

先崎前編はどちらかというと落ち着いたストーリーでしたけど、後編はもうちょっと激しくなります。ジェットコースターというか、怒涛の展開が続くので、前編と後編のコントラストを楽しむというのも、観方の一つかなと思いますね。

撮影:荻窪番長
取材・文:山口智弘

先崎学九段プロフィール

先崎学九段

1970年6月22日生まれ。青森県出身。
原作および映画『3月のライオン』の監修を担当。順位戦A級2期、棋戦優勝2回等の実績を持つ。文筆でも評価が高く、単行本内で将棋コラムを連載している。

藤森哲也五段プロフィール

藤森哲也五段

1987年5月9日生まれ。東京都出身。
映画『3月のライオン』の監修を担当。新人王戦で2012年、2013年と連続準優勝。2017年3月、五段昇段を果たす。師匠である塚田泰明九段と同様、猛烈な攻め将棋である。

「J:COM杯 3月のライオン 子ども将棋大会」編

先崎学九段×
藤森哲也五段対談1

「J:COM杯 3月のライオン
子ども将棋大会」編
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