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第6回 J:COM杯 3月のライオン 子ども将棋大会第6回 J:COM杯 3月のライオン 子ども将棋大会

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中村太地六段インタビュー

子どもたちが将棋から学ぶこと、得られること

幾通りもの手を考え、そして答えを導き出す将棋。究極の頭脳戦であり、世界でも有数の知的ゲームが、今、教育的な観点から大きな注目を集めている。記憶力、集中力、思考力、そして、礼儀作法。子どもたちが将棋を指すことによって得ることのできるものは、想像以上に多い。小さな頃からさまざまな大会に出場し、まさにその効果を体現してきた若手実力派の一人・中村太地六段に、将棋における教育効果を尋ねた。

――一般的に、棋士の方たちというのは特別に頭の良い方というイメージがあります。これまで多くの棋士の方たちと対戦してきた中村六段は、このイメージについて、どう思いますか。

「そうですね。確かに、そのイメージは間違いではないかもしれません。単純に勉強ができるできないではなく、頭の回転が速く、物事を考える力が高い方は多いと感じます。人それぞれですが、ずば抜けて記憶力の良い先生だったり、考えを整理して言葉にすることが上手い先生だったり。一を聞いて十を知る、みたいな方が多い印象です。あと、僕はそれほどでもないのですが、記憶力の良い先輩棋士の中には、何十年も前の出来事を日付まで、鮮明に覚えていらっしゃる方も少なくありません。僕なんかは、すごいなぁと思ってしまうんですが(笑)」

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――強い棋士というのは、やはり記憶力が高いものなのでしょうか。

「タイトルホルダーの羽生(善治)先生や渡辺(明)先生を見ていて思うのは、もうみなさん記憶力はある一定の高い水準まであって、それ以外のところ、例えば常識にとらわれない手とか、普通の人は捨ててしまいがちな例外を拾ってくる発想力みたいなものが優れている気がします。本当に紙一重のところなんですけど」

――思いつく力を持っているということですね。

「手を考えるときは経験などをもとに、無数にある手の中から、焦点を絞るように、どんどん不要な手を捨てていくんですけれど、いざ、その対局の肝となる場面で、捨ててしまいそうな手の中に、実は正解が隠れていることもあるんです。それを拾ってこれる方がトップの中のトップという感じですね。感覚というか、嗅覚みたいなものを持っている。もちろんそれができるのは、何十年もの上手くいった経験と失敗した経験を自分の中に蓄積できているからだと思うんですけど」

――小さい頃から将棋を続けてきて、実感として身についた能力はありますか?

「集中力と、それを切り替える能力は身についたと思います。集中するときと、そうじゃないときのオンオフをうまく切り替えることができるようになりましたね。また、将棋というものは、集中すれば集中するほど良い手が指せるもの。考えれば考えるほど、高いレベルで突き詰めることができるんです。そういった意味でも、集中することの大切さを学びました。あとは、考えを整理する力ですね。将棋では、手を読むという行為が必要なんですけど、きちんと読んだ手を自分の中で整理しないといけないので、次々と局面が変わっていく中で、どんどん頭の中を整理していかなければいけない。そういう能力は鍛えられたと思います」

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――時間という制約もある中で、考えをまとめなければいけないというのは、かなりプレッシャーもありそうですが。

「そうですね。棋士になると大変なことばかりですけど(笑)。難しい局面になると、考えがまとまらないことのほうが多いですからね。その状態で、何か手を指さなければいけないというのは本当に苦しい。でも、上手くいったときの喜びはとても大きいので」

――子どもの頃などは、上手くいくという経験が大きなモチベーションになるのではないでしょうか。

「子どもの頃は自分が狙った手を指して、それが思い通りにいき、その結果、勝てたときが一番気持ちよかったですね。あと、同い年くらいの友達と指して、この前は勝てなかったのに、今回は、自分なりに考えて勉強して勝てたときは、成長を実感できました」

――そういった経験を積むには、大会などに出てみるのも方法としてあると思います。

「そうですね。僕も子どもの頃はよく大会に出ていて。宮城に住んでいた小学校1年生の頃から、近所の大会はもちろん、遠いところの大会にも親に連れていってもらっていたりしました。当時は当たり前に思っていましたけど、大人になって振り返ってみると、親にはとても感謝しています。父はサラリーマンだったので、子どもの付き添いで土日が潰れるわけですから。本当にありがたかったな、と。車で連れていってもらったり、電車で1~2時間かかるところにも付き合ってくれたりしましたから」

――親御さんの協力はとても大切ですね。

「宮城から東京へ引っ越してきた小学校2年生の頃から、八王子将棋クラブに通っていたんですが、家から電車で30~40分くらいかかるんですね。当時はまだ低学年だから、やっぱり親について来てもらいましたね。自分がクラブで指している間、親は喫茶店で時間を潰していたりして。大変だったと思いますね」

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――八王子将棋クラブでは、マナーや礼儀作法も学ばれたとお聞きしました。

「クラブの席主さんが暖かく迎え入れてくれて、マナーに関しては、厳しくも優しく、本当にいろいろと教わりましたね。勝つことだけがすべてじゃない、たとえ自分が勝ったとしてもマナーが悪ければダメなんだよ、と教わって。将棋に向き合う姿勢と、謙虚さを学びましたね。将棋は日本の伝統文化で長い歴史があるものなので、勝負という面の他に、文化を守るという意味でも、礼儀作法はとても大事なことだと思うんです。対局前に一礼して、将棋と、そして相手に対して敬意を表するというのが、すごくいいところだと思います」

――相手を思いやる気持ちが大切ということですね。

「将棋はずっと勝ち続けることはできなくて、負けることも本当に多いんですね。負けたときの悔しさというのは誰もが絶対に経験することなので、そのときに、相手を思いやる気持ちを持てるかどうかが大事だと思うんです。子ども同士の対局だと、勝ってガッツポーズをしたり、わーいわーいって喜んだりする子がたまにいますけど、それはあんまりよくないですね。もちろん勝ってうれしい気持ちというのはあっていいんですけど、強くなれば強くなるほど、相手を敬うことができてくると思います」

――将棋は対局が終わったら、相手と感想戦を行います。そういった意味でも、対局相手というのは大事な存在といえるのではないでしょうか。

「そうですね、とても大事な存在です。感想戦というのは将棋の特徴の一つで、他のスポーツなどではあまりないですよね。もちろんチーム内や仲間同士で反省したりすることはあるかもしれないですけど、さっきまで戦っていた相手と振り返ることはなかなかない。勉強などもそうなんですけど、やりっぱなしだと身につかないんですよね。なぜここで悪い手を指してしまったのか、なぜここで間違えてしまったのかということを、対戦相手とやることで、新しい知見を吸収することもできますし、自分だけでは見えてこなかった改善方法が見つかることもある。対局中は敵なんですけど、感想戦ではお互いに理解を深めるためのパートナーとして意見を述べ合うのが、将棋の良いところだと思います」

――負けたほうはもちろん、勝ったほうにとっても感想戦というのは大事なものなんですか?

「将棋というのは状況が二転三転した末に決着がつくことが多くて、負けた側が反省することはもちろん、勝った側も反省することが多いんです。結果的には勝ちだったけど、反省点がたくさんあったという対局も多い。僕もこれまでの対局を振り返って、100点満点の将棋を指したことはないですね。何かしら反省すべきところはあります。そういった意味では、自身を振り返る、省みる心を養えるともいえますね」

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――今、子どもに将棋を始めさせたいという親御さんが増えているそうですが、中村六段から、将棋の魅力を伝えるとしたら、どんなメッセージを贈りますか?

「これまで語ってきたような、いろいろな力がつくと思います。記憶力、集中力、思考力。僕自身、子どもの頃に中学受験をしたんですけど、勉強するときには将棋で培われた集中力にずいぶん助けられました。将棋は将棋、勉強は勉強と、上手く切り替えることができたと思います。また、自分で考えて答えを出すというのは、将棋も勉強も一緒なので、勉強を嫌いになることはなかったですね。あとは、相手を思いやる力、相手のことを考える力がつくんじゃないかと思っているんです。対局中は自分の指した手に対して、相手がどう応じてくるんだろうということを常に考えているんです。普段でも自分がこう言ったら、相手はどう思うんだろうとか、どんどん相手のことを考える力がつく気がします。負けたときの悔しさや勝ったときの喜びを経験すると、相手がどう思っているのかがわかり、優しくなれる。小さい頃にそれを経験すると、そういう子に育つのではないかと思います」

――6月11日からは『第6回 J:COM杯3月のライオン子ども将棋大会』もスタートします。参加する子どもたちにもメッセージをお願いします。

「とにかく将棋を目一杯楽しんでほしいですね。同世代の子はもちろん、さまざまな年代の子が一堂に会して、将棋を通じて交流を図れる貴重な機会だと思うので、ぜひ、楽しんでいただけたらと思います。負けてしまうこともあるかもしれませんが、それはそれで、ちょっとした感想戦なんかをやってみたりすると、とても将棋が奥深いものだということがわかると思うんですね。あとは、大会には親に連れてきてもらう子もいると思いますが、今はわからないかもしれないけど、とてもありがたいことなんだと。自分が今、将棋ができるという環境に感謝してほしいですね」

撮影:荻窪番長
取材・文:山口智弘

中村太地六段プロフィール

中村太地六段

1988年6月1日生まれ。東京都出身。
2013年の王座戦五番勝負では、羽生王座とフルセットの激闘の末惜しくも敗退。高勝率・早稲田大卒・メディア出演多数と、若手棋士のリーダー的存在。大学在学中には、論文コンクールで政治経済学術院奨学金を受賞している。

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