2018年7月8日、ZOZOマリンスタジアムで行われたJ:COMスペシャルデー「千葉ロッテマリーンズ×北海道日本ハムファイターズ」のファーストピッチセレモニーでも、豪快(!?)なピッチングを披露したタレントでスポーツキャスターの稲村亜美。かっこよくきれいな“神スイング”でおなじみの彼女は、現在「プロ野球ニュース」(フジテレビONE)でMCを務めるなど、野球と深く関わっている。インタビューでは、小さい頃から野球が身近な存在だった稲村に、美しい投球&打撃フォームの秘密や注目選手について直撃。始球式で、自己最高の球速103km/hを更新するために日々努力をしている稲村の素顔に迫る。
――始球式ではスピードとコントロール、どちらを意識していますか?
「毎回、両方意識しています。今は、ストライクを投げた方が盛り上がるので、よりコントロールに気を付けています。スッポ抜けちゃったりすることもありますけど(笑)。もちろん、球速も大事。今のところ、球場で投げた時の自己最高は103km/hなので、いつかはそれを更新したいと思っています。」
――マウンドに立った時のグラウンドの雰囲気はどんな感じなんですか?
「すごく特別なものがあります。試合前なのか、試合の“ちょっと前”なのか。始球式とファーストピッチがあって、どちらも緊張しますね。」
――投球前にウォーミングアップをする時間はあるんですか?
「人によって準備の仕方は違うと思いますけど、私はキャッチボールをすることが多いです。時間に余裕があったら30分ぐらい。投げる距離は塁間。それで肩を温めてから、マウンドに立ったりしています。」
――始球式や“神スイング”のために、日頃からトレーニングしていることはありますか?
「家でできる簡単なトレーニングをしています。筋トレのようなハードなものではなくて、チューブを使って上半身や下半身を鍛える運動がメイン。いろんな方から教わったものを実践しています。」
――実にかっこよくてきれいなスイングですが、フォームを参考にしているプロ野球選手はいますか?
「バッティングに関しては誰もいないんです。子どもの頃から野球をやっていて、監督やコーチに教えてもらったものを自分なりに取り入れて出来上がったフォームですね。」
――では、投球フォームでは誰かいますか?
「実はピッチングも参考にしている選手はいないんですけど、フォームが似ているとよく言われるのは横浜DeNAベイスターズの井納(翔一)選手。確かに自分でも似ているなと思いました。なので、ちょっと似せていると言いますか、自然と似てしまいます(笑)。」
――ちなみに、ピッチングとバッティング、それぞれのアピールポイントは?
「ピッチングはダイナミックなフォーム。普通の女性より体が大きいので、そこを生かせたらいいなと思っています。手も割と長めなんですよ。リリースポイントを前の方にできる点は有利かなと。ただ、まだ改善しないといけない部分はたくさんあるので、少しずつ直していきたいですね。バッティングは思い切りの良さが自慢! 常にフルスイングです。あ、打てるかどうかは別の問題ですよ(笑)。」
――小さい頃から慣れ親しんできた野球に関する思い出はありますか?
「キャプテンだった小学校6年生の時に、最後の大会でギリギリ3位に入れたんですよ。毎回、負けてばかりいたチームだったので、あの銅メダルはうれしかったです。ここまで頑張ってきて良かったなと思いました。」
――野球をやっていて「楽しかったこと」や「つらかったこと」は?
「中学時代はシニアに所属していたんですけど、集合時間の1時間前に集まって、ひたすら走る練習は本当に苦しかった(笑)。外野のポールとポールの間をダッシュしたり、途中でスピードを落としたりというメニューも延々やらされた思い出があります。楽しかったのは、雨でグラウンドが使えなかった時の筋トレ!」
――ボールを使えない練習だから、嫌がる人も多い気がしますけど…。
「筋トレはつらいんですけど、みんなでワチャワチャしながらやっていたので、意外と楽しかったです。チームのみんなとコミュニケーションを図るには、ちょうど良かったのかもしれません。」
――ストレート以外に得意な球種はありますか?
「昔は、いろんな球種を投げていましたけど、今は縦スラ(縦のスライダー)ぐらい。他は、ほとんど握りを覚えていません(笑)。」
――今後、挑戦したい球種は?
「カーブやフォークを投げたことがなかったので、そのどちらか。以前、村田兆治さんにフォークを教わった時に結構落ちたんですよ。村田さんも驚いていました(笑)。また、挑戦してみたいですね。」
――番組などを通して球界のレジェンドから“技”を教えてもらう機会も多いですよね。
「レベルが高すぎて、私にはもったいないぐらいなんですけど、ものすごく貴重な機会をいただいています。落合(博満)さんからは、バッティングフォームを改善していただいて。バットの使い方とか、本当に理にかなっているんです。もう遅いですけど、中学時代に教わっていたらなぁ…って思いました(笑)。」
――今、稲村さんが個人的に注目している選手はいますか?
「なかなか一人に絞ることはできませんけど、若い選手に注目しています。いつか、そのチームの軸になるプレーヤーかもしれないですから。東北楽天ゴールデンイーグルスの田中和基選手は、今年2年目。チーム状態が悪い中、バッティングでも守備でも活躍されていますよね。これから、中心選手になってくのかなと期待しています。」
――フジテレビONEで放送中の「プロ野球ニュース」で水曜日のMCを担当されていますけど、番組を進行する中で心掛けていることはありますか?
「解説者の方たちの話を、より聞きやすい番組にしたいなと思っています。それと「ピックアップアミーゴ」というコーナーでは、プロ野球OBならではの視点でいろんなプレーを検証したり、私が気になっている話題を掘り下げたりしているので、とても楽しいですね。1時間全部、野球に特化している点が「プロ野球ニュース」の魅力。解説者の皆さんは個性豊かですし、とても優しいんです。タメになるお話を聞けるので、毎回勉強になっています。私の一週間は“水曜日”を軸に回っている感じですね(笑)。」
――普段、野球を見る時は、どこに注目していますか?
「球場で見る場合は、守備位置。このバッターの時はセカンドが深めだなとか、ショートはそっちに寄るのかとか。テレビでは分からないフォーメーションを楽しんでいます。テレビ中継の時は配球。次はスライダーかな、カーブかななんて予想しながら見ることが多いですね。ただ、ほとんど当たりません(笑)。J:COMさんは、12球団の試合を全部放送しているので、家にいる時はザッピングしながら全試合チェックしています。」
――好きな選手のプレースタイルは?
「フルスイングする選手。オリックス・バファローズの吉田正尚選手や福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手のスイングは見ていて気持ちが良いです。やっぱり、ホームランで試合の流れが変わったりするので、パワーヒッターが好きです。」
――自身のバッティングスタイルは?
「大きいのを狙うタイプ。遠くに飛ばしたいという欲が強いんです(笑)。それと、塁に出るのが嫌だったので…。」
――その理由は?
「けん制が大嫌いだったんです。しつこく投げてくるピッチャーっているじゃないですか? わざとなのかなって思うぐらい(笑)。二塁ランナーになると、セカンドとショートがチョロチョロしているし、あれは本当に嫌でした。だから、理想はホームランを打って、ゆっくりダイヤモンドを回ってベンチに帰ること。一回も打ったことはないですけど(笑)。」
――今後、野球を通してやってみたいことはありますか?
「これからも「プロ野球ニュース」のMCとして、野球の魅力をたくさんの人に分かりやすく伝えられたらいいなと。そして、2年後の東京五輪では、競技の一つとして野球が復活します。大会を盛り上げるために、どんな形でもいいので何かしら関わることができたらうれしいです。個人的には…、やっぱり103km/h超え。ど真ん中のストライクで104km/h以上出せたら最高です。その夢を実現させるためは、もっと投げ込みが必要ですね(笑)。」
撮影:渡部孝弘
取材・文:小池貴之
Coming Soon