世界のトップアーティストが出演し、独創的なアコースティックライブの源流として歴史を刻んできた「MTV Unplugged」。今回このステージに立つのは、2004年のデビュー以来、オリジナリティ溢れる活動で幅広い支持を得ている木村カエラ。かねてから今回の会場となるBillboard Live TOKYOで大人っぽいライブをしてみたかったという彼女に、当日の意気込みなどをうかがった。

――最初に「MTV Unplugged」出演の話を聞いた時はどう思われました?
「すごく嬉しくて、“じゃあ、Billboard Live TOKYOでやりたいです!”って即答したんです。以前ここでライブを観たとき、みんなが自由な状態で音楽を楽しめる素敵な空間だなあと思って。私があまり体験したことのないような大人っぽい会場ではあるんですけど、自分自身成長していきたい思いが常にあるので、そこでライブをしたいという気持ちを伝えさせていただきました。アーティストがライブで自分の曲をアコースティックバージョンにアレンジして聴かせてくれるたび、なんて楽しいんだろうと思っていたんです。何よりその人の歌がすごく聴こえてくるし、その人のとか、こういうこと歌ってたんだとか聴こえ方が全然違うところが素敵だなと思っていて。なので、私もいつかそういうライブをしてみたいなっていうのはずっとありました」
――当日はどんなバンドメンバーで、どんなセットリストにしようと考えてますか?
「去年の夏フェスから、最新アルバム『PUNKY』に参加してくれたキーボードのヒイズミマサユ機(ex.PE'Z)さん、ベースの佐藤征史(くるり)さん、ドラムの柏倉隆史(toe、the HIATUS)さん、ギターの會田茂一(FOE、ATHENS)さんと一緒にツアーを回っているんですけど、すごくいいノリにまとまってきてて。なので、この勢いのまま同じメンバーでできればと思ってます。“Unplugged用のアレンジ、誰がやるの?”(笑)みたいな話もありつつ、そこはみんなで分担してやってきましょうって」
――そのメンバーで回るツアーだと、舞台裏でもおもしろいことがたくさんあったでしょうね。
「いっぱいありましたね! メンバー全員すごくマイペースなので、その感じが居心地が良くて。例えば、北海道で焼き物を食べに行ったとき、お店の換気扇が壊れてて私が泣くぐらい煙がすごかったんです。最初、濡れたタオルなら煙を吸うんじゃないかって“湘南乃風だー!”って言いながらみんなで回してたんですけど、全然ダメで(笑)。そしたら佐藤さんが「ゴーグルの代わりにラップを顔に巻くといいですよ」って言い始めて(笑)。ヒイズミさんなんて、その上からメガネをかけたらすごいことになってました(笑)。なんていうか、“宇宙人が来た!”みたいな感じ。そういうヘンテコなおもしろさがいっぱいあるメンバーなんです」

――「MTV Unplugged」の選曲もどういったものになるか楽しみです。
「『PUNKY』の曲はもちろん、みんなが知ってる「Butterfly」とか「TREE CLIMBERS」とか、昔からずっと歌い続けてる曲は今回挑戦してみるべきだと思っています。今回会場にいらっしゃる方は抽選で当たった方なので、全員おひとり様みたいな状態じゃないですか? なので、どういう曲で和ませるかは結構キモだなと思っていて。“この曲、知ってる!”みたいな感じで、早めに緊張を解いてもらいたいですね。ライブの始まる前にステージ袖でアコギを弾いてもらって声を出して遊んだり、よくするんですよ。ライブが終わった後もみんなで打ち上げ行った場所に楽器が置いてあると、また同じセットをアコースティックバージョンで演奏して遊んだり。それを来てくれたみんなの前でできるのが楽しみなんです。いままで遊んでたことがようやく形にできるので。そういうリラックスした状態になるといいですね」
――当日のカエラさんの衣装も気になるところです。
「実は9月ぐらいの時点で着たいものが決まっていて既に準備してます(笑)。それぐらいここで着たいって服があったので。いわゆる女性らしい感じではないですけど、“ああ、もうこれはこの日のために生まれてきたドレスだわ”みたいな。バンドメンバーの服装も、たぶん会場の雰囲気に合わせたカチッとしたものになると思います。ヒイズミさん大丈夫でしょ? 佐藤さん大丈夫でしょ? キャッシーも大丈夫でしょ? ……アイゴンさんは…ちょっと相談します(笑)。ドレスコードのある会場で、ひとりTシャツ姿だとまずいですもんね(笑)」
――今回のライブでは、どういう魅力が伝わればいいなと思ってますか?
「自分は激しい曲がすごく好きだし、普段に出せない気持ちを言葉に乗せて、みんなが元気になるように考えながら歌詞を書いているんですね。Unpluggedは声とか言葉が聴こえやすい分、それが聴いてくださる人にまっすぐ伝わる場所だと思うんです。
かっこつけたり、かわいかったり、そういうものを全部とっぱらって、私が書いたときの気持ちがそのまままっすぐ出るようなステージになるといいなあっていう気持ちでいます」

――昨年リリースしたアルバム『PUNKY』も素晴らしい一枚でした。カエラさん自身にとっては、どういう位置づけになりましたか?
「デビュー12年目に作ったアルバムなんですけど、一周回った感じというか、ある意味原点に戻った感じですね。ただ、最初は自分にしか向けてない歌詞を書いていたけど、それがだんだん外に向けられるようになったことで、同じものでも全然角度が違う作品になったなという意識はあります。私も成長してきたんだなっていう部分を感じたし、まっすぐ言葉を伝えることの楽しさを再確認したアルバムになりました」
――お話をうかがっていても感じますが、カエラさんにとって歌うことはとても重要な存在なんですね。
「私、ひとりっ子なので子供の頃から歌うことがストレス解消だったんです。嫌なことがあっても大きな声で歌っていれば、モヤモヤがなくなってしまう。だから歌ってないと、心のバランスがうまくとれなくなるんです。常に曲を作って、ライブをしていかないと、元気じゃない状態になっちゃう。歌詞を書くときも本当に身を削る作業なので毎回大変な思いをするんですけど、これを歌えると思うと喜びに変わっていくという感じですね。だからライブ、よしよし、来たぞみたいな(笑)。緊張するんですけど、終わった後はスッキリ、みたいな(笑)」
――デビュー以来、スタイルも声量も変わらず素敵なままですが、維持する秘訣は?
「今は日頃から運動しています。正しい姿勢で立っていられることが歌に一番大事だってことに気付いて、体幹とか骨盤の簡単な体操を常日頃からやってる感じですね。それだけですごく声が出ることに気付いて。声のキーもどんどん高くなってきてるので、いろんな曲が歌えるようになって。そしたら体も元気、みたいな(笑)」
――2017年はどんな年にしたいですか?
「今年の抱負は“できないことをやっていこう”なんです。そうしていかないと、おそらく可能性が広がっていかない。できることを増やしていけば、この先悩んだときにきっと選べる道がいっぱい作れる。それはきっといくつになっても変わらないことだろうなと思ってます。あとは“いい風に乗ろう”(笑)。『PUNKY』というアルバムを出したことで今、自分の中ですごくスッキリした感じなので、その風にちゃんと乗っかっていけたらいいなと思っています」
――最後に放送をご覧になる方に向けて、メッセージをお願いします。
「そうですね。……じゃあ、絶対観たくなるようにちょっと大きめに言っとこうかな(笑)。私、激しい曲やふざけた曲が多いから世の中ではあまりそういうイメージがないと思うんですけど、実は歌がすっごく上手いんですよ(笑)。なので“あっ、上手いじゃん!”って感じてほしいです。一生懸命頑張って歌いますので、ぜひ観てください!」
取材・文/秦野邦彦
撮影/中村彰男

2月26日(日)22:00~23:00 他

MTVがシンガーの木村カエラを迎え、伝統のアコースティックライブ「MTV Unplugged」を2017年1月15日に都内某所にて収録した。
世界中のトップアーティストが出演し、独創的で個性あふれるアコースティックライブの源流としてその歴史を刻んできた「MTV Unplugged」。日本制作としては宇多田ヒカル、平井堅、加藤ミリヤ、VAMPS、高橋優ら、総勢29組のアーティストが登場し、いつものライブとは一味違うパフォーマンスを披露してきた。
今回この伝統的なステージに立つのは、独自の感性と世界観でオリジナリティあふれるアーティスト活動を展開し、世代を問わず幅広い支持を得ている木村カエラだ。2004年のデビュー以来、数々のヒットソングを発表し、表現者として成長し続けていた彼女が、伝統ある「MTV Unplugged」のステージに挑む。また当日は、ニューアルバム『PUNKY』にも参加した柏倉隆史(the HIATUS, toe)佐藤征史(くるり)、ヒイズミマサユ機(ex.PE' Z)、會田茂一(FOE, ATHENS)がバンドメンバーとして出演する予定で、プレミアムなライブに注目が集まる。



木村カエラ: KAELA presents GO!GO! KAELAND 2014 -10years anniversary-
Rockin' ZOO
2月18日(土) 20:30~23:00

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Poppin' PARK
2月19日(日) 20:30~23:00

マドンナ/マイリー・サイラス© Christopher Polk & Getty Images