女子高生のはとりは、同じ高校に通う幼なじみの利太が大好き。自分こそが利太と結ばれるべきヒロインと信じて疑わなかったが、なんと利太に彼女が出来てしまう。ヒロインの座を奪還すべく、あれやこれやと策を講じるはとりだが、そんな彼女に学校一の超絶イケメン・弘光がアプローチしてきて、まさかの三角関係に…!?
幸田もも子の人気コミックを、原作の大ファンだという桐谷美玲を主演に映画化。
「私"が"好きな人」と「私"を"好きな人」の間で揺れる女子高生の恋愛を
ハイテンションに描き、桐谷はコメディエンヌとして新境地を拓いている。
原作が大好きだからこそ、原作の良さを壊さずに演じ切りたい。
自ら熱望したこの役に桐谷はどう挑んだのか、話を聞いた。
――もともと原作の大ファンだったそうですが、原作との出合いは?
「マネージャーさんとよく面白いコミックの情報を交換していて、その時に挙がったコミックを移動時間や空き時間に読んでいたんですね。それで読んだコミックを、あれがカッコいい、このシーンが良かったとか言いながら、話をしていたんです。このコミックもその中の作品のひとつでした。もう、読んだらすぐにはまってしまって、マネージャーさんといつもキャーキャー言ってましたね。『この弘光、すごいねー!』とか(笑)」
――はとり役をご自身から演じたいと直訴した役だそうですが、いつごろからそう思うようになりましたか?
「いつだろう? そうやってキャーキャー言っているうちに、漠然と思うようになったんだと思います。『私この変顔できるから、はとり役できると思います!』って、マネージャーさんに変顔を見せたりしていましたし(笑)」
――実際、はとりは桐谷さんをイメージして描かれたキャラクターだったそうですね。
「そうみたいなんです。全然知らなくて、実際に撮影に入って原作の幸田先生にお会いしたときに『はとりの前髪の分け方とか、桐谷さんをすごく参考にしてました!』っておっしゃって下さって。すごくビックリしました。はとりの変顔は、幸田先生が実際にやったものがコミックに描かれているそうで、実際にレクチャーしていただいたんです。幸田先生自身が、はとりみたいな方なんですよね。現場にいらしたときも、ずっとおしゃべりしてくださったかと思えば、感動で泣き出しちゃったりして、とってもチャーミングな方でした。この先生からなら、はとりは生まれてくるな、と納得しましたね」
――はとり役はこれまでの桐谷さんにはなかったようなハイテンションでコミカルな役どころです。役作りでは苦労されたんじゃ?
「特に苦労した点はありませんでしたよ。本当にキャストもスタッフも仲良しな現場だったので、すごく楽しく演じさせてもらいました。確かに、いつもよりテンション高めな役でしたね(笑)。強いて言えば、朝イチでいきなり超ハイテンションになるシーンがあったときは、気合いを入れなきゃ!って思ったりしましたけど……、本当にそれくらいです」
――とはいえ、真冬の撮影でしたが、真夏のシーンを撮ったりするのは大変そうです。
「あ、それが一番大変でした(笑)。池に落ちるシーンがあったんですが、もう本当に寒くて。寒いというか、体が凍った。本当に一歩も動けなくて。お湯をザバザバとかけてもらってやっと一歩動ける、みたいな感じでしたね。そのシーン自体は本当にキラキラしていて夏っぽいんですけど、そんな苦労があったんですよ(笑)」
――はとりの魅力ってどんなところにあると思いますか?
「はとりちゃんは、本当に全部が一生懸命。それで、女の子が思っていても、普通は言わないことも全部口にして言っちゃう。それが、素直で一生懸命で、かわいいんですよね」
――初めて出来上がった作品を観たときは、どんなお気持ちでしたか?
「ホッとしました。それまで、すごく気を張っていたみたいで思わず泣いてしまったんですよ。試写室で観た後、監督とお話していたらポロッと……。こんな経験は初めてでしたね。本当にホッとしたんです。私自身が本当に原作の大ファンで、思い入れが相当強くて。だからこそ理想の『ヒロイン失格』があって、自分が演じることでそれを壊さないかな、っていう気持ちがどこかにあったんだと思います。今は、本当にみなさんに楽しんでもらえる作品になったと思っているので、観てくれた方がどんな反応をするのか楽しみですね」
――もし、桐谷さんがはとりの立場なら、幼なじみで「私が好きな人」の利太と超イケメンの「私を好きな人」弘光、どちらを選びますか?
「えー! それ、一番の難問ですよ(笑)。原作を読んでいるときから、それぞれ利太派と弘光派に分かれたりしていましたね。そうですね……。年齢にもよると思うんです。今は、追いかけたいし、自分の気持ちに素直でいたい。だから『私が好きな人』の利太ですかね。でも、きっと幸せになれるのは弘光のような気もするんです。もうちょっと年齢が上がったら、自分を好きで居てくれる『私を好きな人』の弘光クンみたいなタイプと結婚したくなるのかな、って思ったり。……でも、今のところは『私が好きな人』を選びます!」
撮影:山田大輔
スタイリング:宮澤敬子(ディーコード)
ヘア&メイク:今井貴子
取材・文:宮崎新之