毎年恒例となっている新日本プロレスの真夏の祭典「G1 CLIMAX」。今年は7月17日から8月13日まで開催され、おおよそ1カ月近くの戦いとなる。この長丁場の戦いに挑むIWGP王者、オカダ・カズチカはどのように挑むのだろうか。開幕を目前に控えたオカダに、その胸中を聞いた。
―今年もいよいよ「G1 CLIMAX」の季節がやってきました。7月20日に開催される東京・後楽園ホールが初戦となりますが、意気込みのほどは?
「去年はスタートダッシュができていなかったので…。初戦がダメだからすべてダメ、よかったらすべていいというワケじゃないけれど、やっぱり今はIWGPチャンピオンですし、チャンピオンが初戦で躓くわけにはいかない。チャンピオンの存在感をしっかりと見せつけたいですね。けれど、対戦相手が同じCHAOSの矢野(通)さんですから。矢野さんの戦法に惑わされないように、しっかり勝ちたいと思います」
――「G1 CLIMAX」は他に類を見ない長い戦いになります。そういう意味では体力のペース配分も重要なので、初戦の力加減も難しいところでしょうか。
「そうですね。そういう意味では矢野さんが(初戦で)よかったのかも。のらりくらりとくるタイプですから、いきなり100で戦わない…と言ってしまっては失礼かもしれませんけど」
――長丁場のG1を乗り切るために、何か心がけていることは?
「いろいろな選手がいると思いますが、僕の場合は練習をしなくなります。もちろん全くしないというワケではないんですが…。ウェイトトレーニングとか、もうやっても効かないんですよ。普段なら"これくらいトレーニングしたら筋肉痛が来るな"とかがあるんですが、期間中は脳も体も常に"戦う"ってなっているからか、全然効かない。G1に5年連続で出てきて今年で6年目になりますが、そこは自分の気づいたところですね。もう体が受け付けていない。ずっと興奮していて、あまり眠れないですしね。もっと寝ておきたいのに、早く起きちゃったりとか。G1が終わってもなかなか寝れなくて、2日後くらいにやっと寝れるんですよ」
――それほどの興奮状態で試合に臨んでいるんですね。そんな熱い試合も残念ながら会場に行けなかったファンはテレビの生中継で観戦していると思います。そんなファンに、ここは観てほしいというポイントは?
「やっぱり、ずっとテレビに集中していてほしいですね。目を離さないでほしい。そこが画面で観る良さだと思いますし。会場に来るとお客さんの歓声や熱気がありますけど、テレビでの観戦は常に観たい部分をはっきり観ることができる。会場だと場外乱闘であっちで何をやってるんだろう?という時にも、カメラのお陰で観ることができますからね。ほかにも、細かい技術が確認できたりとか、選手の息遣いやちょっとした表情もカメラが寄っているからこそ観ることができる。G1なので選手にとっても本当に辛い試合。そういう選手たちのちょっとした表情や喜怒哀楽を見逃さずに、熱くなってもらいたいですね」
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©新日本プロレス
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――今回の戦いで注目している選手はいますか?
「やっぱりケニー・オメガですね。今年、僕との対戦では1勝1引分で、G1の公式戦ですが今回の対戦(8・12東京・両国国技館)は世界中から注目されていると思います。30分の勝負で、時間をどう使うかもポイントになると思います。全試合そうですが、最終戦ですしいかに100の力で臨めるか。ここで勝ったら大きな勢いになると思うのでしっかり勝って、決勝に進みたいと思います」
――ちなみにこれまでのG1で、ご自身の試合以外でオカダさんが記憶に残っているG1の試合や大会はありますか?
「永田(裕志)さんが優勝したときの大会(第11回大会・2001年)は印象に残っていますね。初めて観たG1 CLIMAXだったんです。そのときはまだG1が何なのかも良く分かっていなかったけど、永田さんが優勝したときのことは記憶に残っています。ナガタロックを決めたところとか。…あんまり言うと、永田さんを褒めているみたいで嫌だなぁ(笑)。永田さんのことだけじゃなく、夏だから選手も汗だくだし、お客さんも熱くなっているし、このアツい盛り上がりがG1なんだな、と思ったことを覚えています」
――そのアツい盛り上がりは、最近では女子の間にも広まっていてプロレス好きな女子たちも今回のG1を大きく注目しています。オカダさんにはそんな"プ女子"をキュンキュンさせていただきたいんですが…。
「いやぁ、女子がどんなことでキュンキュン来るのか分からないですよ(笑)。でも、パフォーマンスの面では、かっこいい技しか選んでないですから。あとはG1なんで、逆にみんなのブサイクなところも見届けてほしいなとも思いますね。必死になってボロボロになっているところも」
――そういう姿もグッと来ると思います。ちなみに、プ女子はオカダさんの筋肉美にもドキドキしていますが、ご自身で自信をもっている筋肉はどこですか?
「太ももですね。正直、太ももってあんまり出てないんですけど、たまに見える筋肉のラインというか、キレというか…。一番気に入っている部分だからこそ、なかなか出てこないんです。僕の絶対領域があるんですよ(笑)」
――絶対領域!プ女子の要注目ポイントが増えましたね(笑)
「(笑)。今はプロレス人気もだんだん上がってきて、注目度も高くなってきています。そういう中で、やっぱり今年のG1を記憶に残るG1にしたい。誰と誰が戦って、今年の優勝は誰それ、ってなんとなく終わるだけじゃなく、この対戦って2017年の8・13両国じゃんって、そこまで覚えていてもらえるような試合をしたい」
――記憶に残る試合となると技やテクニックにもよりこだわりたいところですか?
「そこはその時のひらめきしかないかな、と思いますね。やっぱり色々考えて行くよりも、リング上でひらめいたことがお客さんがビックリしてくれることだし、僕自身もひらめきに驚かされることもありますし。それはシングルマッチで起きることが多いですし、そういうシーンに、この夏、皆さんも立ち会えるんじゃないかと思います」
――そこはやっぱりリアルタイムでチェックしたいですね。オカダさんにはプ女子だけじゃなく、他の格闘技選手にもファンがいて、先日J:COMでもインタビューをしたキックボクサーの那須川天心さんもそのひとりで、試合のパフォーマンスを参考にされているそうです。そういう他の競技選手から注目されるお気持ちはいかがですか?
「そうなんですか? ありがたいですね。僕もいろんな格闘技は観ますし、キックボクシングのような立ち技もスゴイなと思うこともあります。総合格闘技も観ていて面白いですしね。やっぱり、いいものは盗んでいかないと。那須川選手もプロレスのいいところはどんどん盗んでほしいですね。格闘技だけじゃなくて、野球でも、サッカーでも、いいところは盗む。僕も最近は相撲を観に行ったりBリーグを観に行ったり、いろんなエンターテインメントを観に行くようにしています。それに、ほかの競技を観ることでプロレスの良さにも気付けますから」
――オカダさんの惹きつけられるパフォーマンスの糧はそういう部分にあったんですね。パフォーマンスと言えば、例のマイクパフォーマンスがありますが、J:COMインタビュー読者に向けて、ぜひ「3つ」お願いできますか?
「そうですね…。1つ目は、『テレビから目を逸らさずに観てほしい』、2つ目は、『会場の熱さ、選手の熱さ、お客さんの熱さ、その熱をしっかり感じ取ってほしい』、3つ目は…『特にありません』」
――ありがとうございます!おなじみのフレーズ戴きました(笑)。
「よかった(笑)。でも本当にテレビならではの楽しみ方はあると思うので、食事をしながらでも、お酒を飲みながらでも、自由に楽しめると思います。思わず大声が出てしまうような試合をしたいと思っているので、どんな場所からでも、G1を観てたくさん汗をかいて、プロレス漬けの夏にしてください!」
撮影:渡部孝弘
取材・文:宮崎新之
©新日本プロレス
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