1年間で発表された国内外のミュージックビデオの中から、優れた作品を表彰する音楽イベント「MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN(MTV VMAJ)」。晴れて15周年を迎える今年のMCは、これまでの同アワードで数々の受賞歴を誇るRIP SLYMEだ。初の同アワードMCに挑む心境から、注目ポイント、さらにはRIP SLYMEの結成に大きな影響を与えたMTVの存在についてまで、彼らのライブ同様に最高に楽しい雰囲気で語ってくれた。
――まずは、MCのオファーを受けた時の心境から教えてください。
「やはり、我々には荷が重いなと(苦笑)。『MTV VMAJ』って、ミュージックシーンではかなりの権威ですからね。そんな権威のあるイベントのMCが、RIP SLYMEでいいのかっていう(笑)。意外でしたね」
「ついに権力を手にいれることができたなと(笑)。ま、それはもちろん冗談ですけど、ありがたいお話です!」
「以前はパフォーマンスする側で出演させていただいていたんですけど、今回はパフォーマーの方たちに気持ち良くなってもらって、邪魔をしないように静かに進められたらいいなって思います。でも……たぶん無理でしょうね(笑)」
「まず、俺は大丈夫かってことですよね。RIP SLYMEでは、自分だけがMCではなくDJですから、一体どうすればいいのか(笑)」
――これまでの「MTV VMAJ」で印象的だったことは?
「第一回はロンドンブーツ1号2号さんがMCをされていたんですけど、その年に賞を獲ったジブさん(ラッパーのZEEBRA)が翌年のMCになったんです。パフォーマンスが評価されることで、しっかり次の年に繋がっていくものなんだなっていう、それが印象的でしたね」
――第二回では、「楽園ベイべー」で最優秀ビデオ賞を受賞されました。
「授賞式の前日に、すげー飲んだんですよ(苦笑)。実は、前の日の夜に古くから知っているクラブにふらっと遊びに行ったら、そこにジブさんがいらっしゃったんです。しかも、ステージでフリースタイルのラップバトルが行われていて、そこにのこのこ参加してしまい、ボロボロにやられたっていう(苦笑)。その光景を見ているから、翌日はプレゼンターのジブさんも本当にもう複雑な気持ちだったと思います。今でも、すごく申し訳ないなーって」
「第一回の時に、あのジミー・ペイジがPESの写真を撮っていたこともあったよね。会場で口を開けて寝ている顔を(笑)」
「最初はびっくりしてたんだよね。目の前にあのジミー・ペイジがいる!って。“これはどういうことなんだ!?”って、ビビりすぎて眠っちゃったんでしょうね(笑)」
「今年はMCだから、PESくんもさすがに寝てられないでしょ(笑)」
――第二回は、最優秀ビデオ賞の他に、最優秀ヒップホップビデオ賞と最優秀グループビデオ賞も同時受賞し、3冠を獲得しています。
「PESくんが、受賞するたびに違う髪型で登場した時ですね。最初は普通の髪型で、2回目はモヒカン、最後は坊主になって出てくるっていう(笑)。最後はステージ上で坊主になりたいってPESくんが言っていたんだけど、それだと電撃ネットワーク兄さんみたいな雰囲気が漂うよっていう話になって、最終的には断念したんですよね」
――今年のノミネート作品で注目しているミュージックビデオはありますか?
「水曜日のカンパネラちゃんは、最高ですね。かわいい!」
――そこですか(笑)。
「映像を見て、こんなに踊れるんだなって思ったし」
「僕は、Suchmosかな。今年の『真夏のWOW』(RIP SLYMEがオーガナイズする毎年恒例のライブイベント)にも出てもらったし」
「僕は、ジャスティン・ビーバーになんとか獲ってほしいですね。いろいろあったでしょうけど、本当に小さい頃から知っているので」
「小さい頃から知ってるって、映像を通してでしょ(笑)」
「そう、映像を通して!」
「BUMP OF CHICKENかな。メンバーとはプライベートでも仲がいいんですけど、普段は物静かなのに、楽器を持つと華があるし、踊り出したりするでしょ? 二重人格なんじゃないかなって(笑)」
「向こうも、PESのこと何重人格なんだよって思ってるよ(笑)」
「まだ見ていないんですけど、僕はVAMPSですね。ノミネートされているミュージックビデオは、RIP SLYMEのビデオでもご一緒した斉藤渉さんが監督しているんです。近々、また撮ってもらう予定なので、その斉藤さんがどんな作品を仕上げているのかが気になります」
「監督という意味では、きゃりー(ぱみゅぱみゅ)ちゃんを手がけている田中秀幸さんも気になるよね」
――確かに、「MTV VMAJ」は監督に注目しても面白いですよね。
「そうなんですよね。こういう機会に監督にフォーカスされるのは、いいことだなーと思います。僕自身も昔、DIRECTORS LABELというシリーズで、スパイク・ジョーンズやクリス・カニンガムが監督したミュージックビデオ作品集を見た時は衝撃的でしたね」
――自分たちのミュージックビデオに関しては、何か一貫しているポイントはありますか?
「基本的には、その時々の監督さんに任せて料理してもらうというスタンスは、ずっと変わっていないかもしれないですね。まな板の上に乗ってるマグロみたいなもんですよ(笑)」
――思い出に残っているエピソードはありますか?
「メジャーデビューをした時のビデオを撮影した時は、これはどのぐらいの予算がかかっているんだって、そのスケールにビビりましたね。あと、その時に初めてヘアメイクさんだったりスタイリストさんがついたんですけど、僕らのことを“いいね! いいね!”って褒めてくれたんですよ。その時、あー、人はこうやって褒められて調子に乗っていくんだろうなーって(笑)」
――たまに見返したりもするんですか?
「カラオケに行った時に、友だちが『楽園ベイべー』とかを入れて、結果的に見返したりはしますね。ちょっとちょっとやめてよー! 恥ずかしいよー!って言って、止めようとするんですけど」
――かつての映像を見ると、どんな気持ちになりますか?
「あの頃に戻りたいなーって、見るたびに思いますね(笑)」
「寂しいやつだなー(笑)」
「なんで戻りたいと思うの?」
「もうちょっとサーフィンできたかなーって思ったり」
「でも、10年前に戻る妄想って楽しいよね)」
「俺なんか、戻りすぎちゃって、江戸時代に行った妄想してるから(笑)」
――みなさん、世代的にもずっとMTVが身近にあったかと思うんですが、何かMTVにまつわるエピソードはありますか?
「中学1年か2年の時にサンフランシスコでホームステイをしていたんですけど、そこでいつも『YO! MTV RAPS』を見ていて、VHSにも録画していたんですよ。そして、それを日本に持ち帰って、RYO-Zくんに見せて。その中にリーダーズ・オブ・ニュースクールのミュージックビデオも録画していたんですけど、それを見て4MCっていいなって思ったのが、RIP SLYMEを作ったきっかけだから、MTVの存在は大きいですよね」
「リーダーズ・オブ・ニュースクールごっこをする時に、2人ともチャーリー・ブラウンの役をやりたいんだけど、俺がバスタ(・ライムス)の役に甘んじてね(笑)」
――「バスタに甘んじる」って、なんかすごいですよね(笑)。
「今思えば、やっぱり子どもの考えですよね(笑)。結局、のちに一番成功したのはバスタですから」
「そのあと、(RYO-ZとILMARIが参加していた)TERIYAKI BOYZの楽曲では、バスタに参加してもらっていたよね」
「向こうから送られてきたトラックを聴いて、“ホントにバスタのラップが乗ってる!”って、興奮したもんね」
「昔は、甘んじてごっこをしていた人のラップに(笑)」
「そりゃそうでしょ!」
――今後は、どんなミュージックビデオを作ってみたいですか?
「海外で撮影できたりしたらいいですね。あと、映画監督に撮ってもらうとか。昔、マイケル・ジャクソンの『Bad』をマーティン・スコセッシが監督したみたいに」
「'90年代あたりのヒップホップのミュージックビデオを見返すと、ローテクっていうか、合成が雑だったり、ちょっとパンクなのがかっこいい。だから、そういうビデオを作ってみたい。あと、ひたすらカメラに向かってラップしているだけっていうビデオも一度撮ってみたいですね」
「僕はPESくんと逆なんですけど、VRを使ったミュージックビデオとか、最新技術を駆使した作品にチャレンジしてみたいです」
「ライブ中に、今から撮ります! っていう作り方を一回やってみたいかな」
「今は、ほとんどがYouTubeでも見られますけど、MTVだけで見れるバージョンを作るとか」
「それ、いいね!」
――「MTV VMAJ」開催前の10月6日(木)からは、RIP SLYME史上最大規模のツアー「DANCE FLOOR MASSIVE Ⅴ」がスタートします。
「振り返ってみると、意外とまだ行けていない場所が多いので、そういった場所を細かく、たくさん周るツアーになります」
「ライブハウスを周ることがコンセプトの一つになっているツアーなので、ライブハウスがあるのに今まで行っていなかった街に、今回は行こうと」
――現段階で、何か決まっていることはありますか?
「今、出演オファーをしているのは、ジャスティン・ビーバーにジャスティン・ティンバレーク、ジャスティスですね」
「“ジャス”づくしだ(笑)」
「そんなことはまったくなくて(笑)、まだ何も決まっていません! ただ、最近の僕たちの気分というか、バック・トゥ・ザ・’90’sという感覚で、当時のクラブミュージックに立ち返るサウンドで、ちょっと懐かしい風を吹き込んでいく形になるかもなっていうイメージはあります」
――最後に、あらためて今回の「MTV VMAJ」で楽しみにしていることやこうしたいと思っていることを教えてください。
「DJなのでいつもはしゃべらないFUMIYAのMCぶりですね。意外と、こんなにしゃべるのかっていう展開になったら面白い」
「いやいや、そんなにしゃべれないから」
「まさかのフリースタイルで受賞者を紹介するとか!」
「そんなに追い詰められると、入院しちゃうかもしれない!」
「何それ? 政治家みたいだな(笑)」
「受賞した人はうれしくて泣くかもしれないので、僕も一緒に泣いてもいいのかなーって。なので、今から泣く練習をしないと(笑)」
「みんなが、ちょっと肩の力を抜いて楽しめるパーティーにしたいなって思います」
「僕は、そんなみんなにしっかりとついていって、後ろから支えていくだけです!」
10月26日(水)後7:00からMTVにて生中継!

年間の優れたミュージックビデオを表彰する音楽アワード「MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN (MTV VMAJ)」。
MTV VMAJ 2016 -THE PARTY!!は、投票によって選ばれた各部門の受賞者が集うPARTY。
トロフィーの授与に加え、ノミネート作品の中でもっとも投票数を獲得した「最優秀ビデオ賞/Best Video of the Year」も発表。
ホストは、今年デビュー15周年を迎えたRIP SLYME。
華やかなゲスト・セレブリティも参加する一夜限りのスペシャル・イベント
「MTV VMAJ 2016 -THE PARTY!!-」に
100組200名様をご招待!




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