佐々木希 スペシャルインタビュー

突然に母を失った兄弟と、突然に母ができた姉弟。
映画「星ガ丘ワンダーランド」は、かつて多くの人で賑わった遊園地を軸に
美しい母の謎の死によって交錯していく彼らの人生がファンタジックに綴られる。
このどこか幻想的なミステリー作品に、佐々木希はどのように挑んだのだろうか。

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表情と心の中が全然違っていて、演じるのが難しかった

――佐々木さんが演じられた七海は、主人公・温人の母の新しい家族のひとりでした。脚本などをお読みになって、どのように演じようと思いましたか?

「脚本を読んでまず、難しい役どころだと思いました。七海は、本当の家族になりたいけれど、なれないんじゃないかという複雑な想いをずっと心のどこかに抱えているんです。そして、自分の思っていることを吐き出せないまま生きている。それが、演じていてとても切なかったです。たとえば笑顔でいても実は心では泣いている、のように表情と心の中が全然違うんです。監督からも、控えめな芝居でというお話もありましたし、七海は自分を抑えている部分がすごくあるキャラクターでしたから、演じるのがすごく難しかったです」

――主人公・温人を演じた中村倫也さんとは、共演してみていかがでしたか?

「中村さんはデビュー当時からすごく良くして下さっていて、共演も何度かしていますし、本当に尊敬する先輩なんです。お芝居はもちろんですが、現場での振舞い方や、集中の仕方がすごいんです。ですから不安もなく、現場に臨むことができました。悩んでいることや、疑問に思っていることをたずねると、必ず信頼できる答えをいただけるんです。いいことも、悪いことも、全部です」

――昨年、佐々木さんは始めての舞台に挑戦されましたが、中村さんも観に来ていたそうですね。

「そうなんです。ダメだしされました(笑)。私も『わかっちゃいました?』なんて言って。中村さんには痛いところを突かれました。初めての舞台で、演出家の方にたくさん指導していただいたので毎日が学校に通って勉強しているような楽しさだったのですが、演出家の方に言われていたことを、中村さんにも指摘されてしまって。舞台を観た方でそこを指摘したのは中村さんだけでしたので、やっぱり流石だな、と思いました。本当に信頼する、大好きな先輩です」

――弟役の菅田将暉さんとの共演シーンも多かったですね。

「菅田くんも、16歳くらいの時から知っているんですよ。菅田くんって、人の懐に入るのが、とても上手なんです。ムードメーカーというか。だから、憎たらしいことを言ってきても、私は全部許せちゃう。『カワイイからって何でも許されると思うなよ?』みたいなこと、普通に言ってくるんですよ(笑)。それに、私もバンバン言い返せちゃう。でも、そういうやり取りや冗談が言い合える仲なんです。すごくカワイイですね。でも、お芝居に入ると本当にすごい。菅田くん演じる雄哉の抱えているもどかしさを、ガンガンぶつけてきますから。一緒に演じていて、本当に心が痛くなりました」

キレイなだけじゃない、人間くさい部分を感じてもらえたら

――心に残っているシーンはありますか?

「主人公の温人とふたりで歩くシーンがあるのですが、そこがとても印象に残っています。そこで初めて七海の中で絡まっていた糸がほどけたような、そんな感じがしてすごく彼女が救われたような気がしたんです。初めて、七海の本当の気持ちをそのまま出せたような。監督も、このシーンを撮ったときに、初めて画面越しに泣きそうになったと言ってくださって。そんな言葉をかけていただけて、本当にうれしかったです」

――監督も納得のシーンに仕上がったんですね。柳沢翔監督の印象はいかがですか?

「すごく控えめな方でした。でも、物静かではあるんですが、お話しているとこだわりがかいまみえるんです。そういう強い意志を感じました。本当に物づくりが大好きな方なんだと思いました。静かに、淡々とお話になるんですけど、それが心地良かったです」

――今回の作品では、いびつではありますが“家族のあり方”も丁寧に描かれているように思います。佐々木さんご自身が、家族を感じる時はどのような時ですか?

「私は末子で上に兄がふたりいるのですが、大人になってからもずっと仲良しなんです。お正月も実家に帰省したのですが、母や祖母をはじめ、兄や兄のお嫁さんも含めてみんなで過ごすことができたんです。そういう時に、あぁ、家族っていいなと思いますね。秋田に帰ると、郷土料理や私が小さい頃から好きなものを出してくれるんです。炊き込みご飯や、筍の味噌煮、それからみずっていう山菜の炒め物などを。みずって、小さいけどスジ取りとか下処理がとっても大変なんです。昔は母の手料理を当たり前のように食べていましたけど、今は本当にありがたみを感じますね」

――昨年は初舞台など新たな挑戦もあり、今年も本作のほか主演作などいくつかの映画出演も決まっていますが、今後、挑戦してみたい役どころは?

「今回のような役どころは私にとってあまり演じたことのないものだったので、すごく楽しかったんです。今までは、見た目が華やかな役などが多かったので、今回のような控えめなんだけれど、心の奥底に何かを秘めているような役はまた挑戦したいですね。あとはズボラな女性の役! だらしない格好をしていたり、一日中パジャマで過ごしちゃうような(笑)。そういうついつい共感してしまうような役をやりたいです(笑)」

――最後に、本作をご覧になる方にメッセージをお願いします。

「登場人物それぞれに抱えているものがあって、さらにはそれぞれの抱え方をしていて……、人間ってキレイなだけじゃないというか、人間くさい部分を感じていただけたら。あと、ストーリーももちろんですが、本当に夢の世界にいるようなファンタジックな映像の美しさにも注目していただきたいです」

撮影:松本健太郎
ヘアメイク:高橋里帆(Riho Takahashi)/Three Peace
スタイリスト:小松千鶴(Chizuru Komatsu)
取材・文:宮崎新之

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「星ガ丘ワンダーランド」2016年3月5日(土)全国ロードショー

「星ガ丘ワンダーランド」

©2015「星ガ丘ワンダーランド」製作委員会

出演:中村倫也、新井浩文、佐々木希、菅田将暉、杏、市原隼人、木村佳乃、松重豊
監督・脚本:柳沢翔
脚本:前田こうこ
配給:ファントム・フィルム

STORY

ある雪の日、父との口論の末に車を降りて雪の中に消えた母。母は「必ず取りに来るから」と、片方だけの赤い手袋を幼い温人に手渡した。それから20年。成人した温人は、星ガ丘駅の駅員として働いていた。ある日、かつて家族で行ったこともある遊園地「星ガ丘ワンダーランド」の閉園のニュースから間もなく、園内で母が死んだという知らせが届く。刑事からは自殺と聞かされ、戸惑う温人。そして、義理の姉弟である七海と雄哉が近くに住んでいることを知り…。

公式サイト://hoshigaoka-movie.com/

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