1981年に宝塚歌劇団に入団し、まるで妖精のようなフェアリー系の男役スターとして活躍した涼風真世。91年には月組トップスターに就任し、93年に退団後も舞台、ドラマ、声優、歌手と幅広く活動を続けている。2016年は彼女にとってデビュー35周年のアニバーサリーイヤー。宝塚在団時、男役だった涼風が女役に挑戦した『ME AND MY GIRL』の思い出話から、近年参加している宝塚歌劇OGユニット「麗人(REIJIN)」としての活動のことまで、芸能生活の歩みをたっぷりと語ってもらった。
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『1789 -バスティーユの恋人たち-』('15年月組・東京・千秋楽) Le Spectacle Musical《1789 - Les Amants de la Bastille》 Produced by NTCA PRODUCTIONS, Dove Attia and Albert Cohen International Licensing & Booking, G.L.O,Guillaume Lagorce ©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ
――『ME AND MY GIRL』は、1987年に宝塚歌劇で初めて上演された際に涼風さんも出演していた演目です。当時、あまりの人気ぶりに連続して再演が決定し、同一の組によるロングラン上演記録にもなりました。当時、どのように役に臨んでいらっしゃいましたか?
「1987年が初演ですか…月日が流れたのですね…。私は、この作品で"ジャッキー"を演じました。男役だった私が、初めての女役にチャレンジした思い出深い作品です。男役とは全く異なるメークや衣装の着こなし、身のこなし、女性としての芝居、声のトーンや仕草など、課題がたくさんありましたが、楽しみながら演じたことを覚えています」
――初めての女役には、いろいろ挑戦があったかと思います。また、再演の際には、男役のビルと女役のジャッキーを役替わりで演じていらっしゃいました。何か印象に残っているエピソードはありますか?
「ジャッキーがビルを誘惑する場面では"ブルーのガウンとセクシーなシルクの下着"を着用させていただいたのですが、生まれて初めての衣装に内心ドキドキしていたのを覚えています。役替わり公演は、あまりに大変すぎて…。ごめんなさい、記憶が飛んでいます。出演者の皆さんやスタッフの方々に、多々ご迷惑をおかけしてしまったような気がします」
――ジャッキーはストーリーを大きくかき回すような、面白い役どころですよね。今、花組のトップスターとして主演のビルを演じている明日海りおさんも、かつてはジャッキーを演じていらっしゃいますし、この役は最初に演じられた涼風さんと同じように、普段は男役の方が挑戦する役どころになっていますね。
「明日海さんは、『エリザベート』のトートから、『ME AND MY GIRL』のビルまで、幅広く演じることができる素敵な男役さんですよね。男役が女役を演じる時は、躊躇をせずに足を上げたり、動きが大きくなったりと、大胆に振る舞うところがあるような気がします。そのことが、自由奔放なジャッキーの役柄に合っていたのではないでしょうか。当時20代だった私は、剣幸さんを中心とする月組の中で、ジャッキーのように自由に飛び跳ねていました」
――『ME AND MY GIRL』は、宝塚歌劇で何度も再演される人気演目のひとつになっていますが、涼風さんはどんなところがこの作品の魅力だと思いますか。
「男性版のシンデレラストーリーであることですね。主人公のビルが、純粋で、実直で、魅力的な青年であることも理由のひとつだと思います。あとは、主題歌の『ME AND MY GIRL』をお客様とともに体感できること。手振りが簡単なので、お客様も一緒に踊っていただけるんです。幸せな気持ちのまま、主題歌を口ずさみながら劇場をお帰りになられるお客様も多いと伺っています。ハッピーエンドストーリーであることが、幸せな気持ちにしてくれるんじゃないでしょうか」
――涼風さんは、宝塚歌劇を退団後も東宝ミュージカルで『ME AND MY GIRL』のマリア役を演じられています。宝塚以外の演出も経験されてみて、宝塚ならではの魅力も改めて気付かれたところもあるのではないかと思います。
「そうですね。やはり宝塚歌劇の魅力は、女性が男性を演じるところではないでしょうか。女性が演じることで、男性の魅力をさらにパワーアップしてお客様にお届けしていると思います。さらに、ステージも華やかで、本編終了後にはショーナンバーもあります。世界にひとつしかない、宝塚歌劇の世界観は素晴らしいと思っています」
――宝塚歌劇はいろいろなジャンルの作品を上演していますが、先日には涼風さんが主役・緋村剣心の声を務められたアニメ「るろうに剣心」も、雪組公演として上演されました。ご自身の分身とも言える剣心が宝塚歌劇の舞台になったことには、特別な思いがあったのではと思いますが、いかがですか?
「初日を観劇させていただいたとき、『宝塚にピッタリの作品だ!』と感動いたしました。再演を望んでいます」
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『ME AND MY GIRL』('08年月組・博多座) Book and Lyrics by L.ARTHUR ROSE and DOUGLAS FURBER Music by NOEL GAY Book revised by STEPHEN FRY Contributions to revisions by MIKE OCKRENT ©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ
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『ME AND MY GIRL』('13年月組・梅田芸術劇場) Book and Lyrics by L.ARTHUR ROSE and DOUGLAS FURBER Music by NOEL GAY Book revised by STEPHEN FRY Contributions to revisions by MIKE OCKRENT ©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ
――涼風さんは、宝塚歌劇の伝統を今に繋いで来られたOGの方々と一緒に「麗人(REIJIN)」としても活動されています。退団後にも、上級生、下級生と一緒に活動できることをどのように感じていらっしゃいますか。
「嬉しい限りです。宝塚在団中から"歌"が大好きで、退団後も歌い続けていきたいと思っておりましたので、お話をいただいた時は幸せ感でいっぱいでした。REIJINをきっかけにOG同士で交流が増えて、連絡を取り合ったり、食事に行ったりと楽しい時間を過ごしています。9月にはREIJINとしてのコンサートもあるので、今回歌わせていただいた楽曲を大切に歌いたいと思います」
――2016年は、涼風さんにとってデビュー35周年の節目の年でもあります。芸能生活を振り返ってみて、この35年の歩みはどのようなものでしたか? たくさんのお仕事に触れる中で、一番自分らしいと思ったことはどんなことでしょうか?
「あっという間に過ぎたような…でも、忘れられない素晴らしい舞台や歌に恵まれて、充実した時間でした。振り返るとさまざまな思い出が脳裏によみがえって、感謝の気持ちでいっぱいになります。中学生の修学旅行で宝塚歌劇を観劇し、その瞬間に『ここに入る』と決めました。私にとって、宝塚が原点です。歌、芝居、女優として、舞台俳優としての基礎を学び、今の涼風真世があります。演じることに喜びを感じ、歌うことに幸せを感じています。舞台も、ドラマも、声優も、そして歌手・涼風真世も、すべて自分らしいと思っています」
――35周年のアニバーサリープロジェクトとして、まずは6月に1stアルバム『MINE』の発売がありますね。
「6月にリリースするアルバムは、20年前に制作したアルバムです。シングル曲の『愛する人を守るために』『涙は知っている』なども収録されていますし、1997年にVHSで発売したコンサート『はじめまして』もDVDとして再編集しました。CDとDVDの2枚組なので、楽しんでいただけるのではないでしょうか。ぜひ、聴いていただきたいですね」
――9月にもアルバムのリリース、12月にはアニバーサリーイヤーを締めくくるコンサートも行われます。アニバーサリーイヤーへ、そしてその先の活動に向けての意気込みをお聞かせください。
「アルバム曲のほか、宝塚在団中の楽曲も歌いたいと考えております。過去を振り返るだけではなく、これからの未来に向けて"涼風真世らしさ"があふれるステージにしたいと考えております。そして今後も、涼風真世らしく、歩いていきたいと思っています」
撮影:渡部孝弘
取材・文:宮崎新之
宝塚100年の歴史の中でも傑出した歌姫として知られ、男役トップスターでありながらフェミニンな魅力を兼ね備えた“歌の妖精”。1981年、第67期生として宝塚歌劇団に入団、今年デビュー35周年を迎えた涼風真世のアニバーサリー企画!
第1弾
『MINE
[20th Anniversary Deluxe Edition]』
2016年6月22日(水)発売
【初回限定盤(CD+DVD)】5,500円+税
【通常盤】2,500円+税
1996年に発売された1stアルバム『MINE』に、アルバム未収録シングル2枚を追加!
(「哀しみの星座 c/w 微笑の足音」「ずっと… c/wもう一度逢えたなら」、その他、ボーナス音源も収録予定)
初回限定盤DVDには、VHSでのみ発売された『涼風真世'97』(シアターコクーンでのコンサート映像)を収録!(*VHSテープには未収録だった映像も追加予定)
第2弾
『35th Anniversary
NEW ALBUM』
2016年9月7日(水)発売
【初回限定盤(CD+DVD)】予価6,000円+税
【通常盤】3,000円+税
『MINE』以来、20年ぶりとなるニューアルバムをビクターからリリース。
初回限定盤DVDには、2016年4月23日(土)京都芸術劇場 春秋座で行われた「涼風真世&京フィル ドリームコンサート」の模様を収録!
35th Anniversary CD発売記念コンサート 開催
2016年12月28日(水)
場所:東京・銀座ヤマハホール
詳細は後日、ビクターエンタテインメント オフィシャルサイト他にて
『麗人REIJIN Season2 "Festa" 』
2016年8月24日(水)発売
『麗人REIJIN Season2 "Festa" 』CD発売記念コンサート開催
2016年9月21日(水)、22日(木・祝)、
23日(金)、24日(土)
場所:赤坂ACTシアター
詳細は麗人オフィシャルサイト他にて
『1789 -バスティーユの恋人たち-』('15年月組・東京・千秋楽) Le Spectacle Musical《1789 - Les Amants de la Bastille》 Produced by NTCA PRODUCTIONS, Dove Attia and Albert Cohen International Licensing & Booking, G.L.O,Guillaume Lagorce ©宝塚歌劇団 ©宝塚クリエイティブアーツ
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