定年を目前にしたタカとユージは、かつて壊滅させた銀星会の残党を追い、ドラッグや覚せい剤、拳銃などの取引が行われるブラックマーケットに潜り込む。そこで2人の前に現れたのは、世界の闇市場で幅を利かせる中南米の犯罪シンジケートだった。史上最強の敵を前に、命を賭けた戦いの火蓋が切って落とされる。
ド派手なカーアクションと大地をも揺るがす壮絶な爆破シーン…
今もなお“伝説”として語り継がれる刑事ドラマ「西部警察」。
同作で、華麗なるテレビドラマデビューを飾ったのが、俳優・舘ひろしだ。
その後の活躍は言わずもがな、還暦を経た今、さらにダンディーさを増し、
シリアスな刑事ものからコメディーまで、幅広い芝居で魅了する。
芸歴40年の大御所でありながら、持ち前のジョーク交え、
その場を一瞬にして“舘ワールド”に変えるサービス精神も持ち合わせる。
そんな彼に、改めて「西部警察」の魅力を聞いた!
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――「西部警察」では、バイクにまたがりながら、華麗なガンアクションを決める舘さんの姿が印象的でした。
「最初このお話を頂いたとき、自分から“オートバイに乗った刑事はどうですか?”と提案したんですね。すぐにプロデューサーがハーレーを用意してくれましたが、カメラマンに“銃を片手で撃ってくれ”と指示されて、どうせ撃つなら“片手より両手の方がかっこいいでしょ?”と思ってやってみたんです。お正月に公開される『あぶない刑事』の新作でも披露していますが、僕って何十年経っても進歩がないなと(笑)。この一芸でここまできてしまったという…情けないですよね(笑)」
――「西部警察」と言えば、数々の爆破シーンが登場しますが、撮影当時のエピソードは?
「中でも話題となった、名古屋の煙突爆破事件は、僕たち演者も“なぜ煙突を爆破して倒したのか?”正直よくわからなかったんですよ。何の意味があるのかと(笑)。でも、いざ映像にしてみると、いいんですね…やっぱり。本物を壊しているからこそ、ここまで語り継がれて人の心に残るし、胸を打つんだと気づきました。僕自身も、バイクで転んで火傷をしたり、爆破シーンで、隠れていた車のドアに大きな穴が開いていたことがあったんですよ。あの時は、一歩間違えれば危なかったですね。
国会議事堂に向けて装甲車を走らせたり、タイトルバックでは、首都高を封鎖して警察車両を数珠つなぎに走らせましたが、本当によくやりましたよ。いったいどれくらい皆さんにご迷惑をおかけしたことか…(笑)。おかげさまで後世に残る作品になったので、今は良かったと思えます」
――9月からは、徳重聡さんが「西部警察」の全国縦断ロケの足跡をたどる紀行番組がスタートしました。徳重さんが、当時お世話になった皆さまにお詫び…(笑)いや、感謝の気持ちを伝える番組ですが…。
「アハハハ。お詫び…おっしゃる通りたしかにそうですよね。本当に皆さまにはご迷惑おかけしましたから(笑)。それでも日本全国の皆さまが温かく出迎えてくれて、大掛かりなロケに協力してくださる…石原プロには、当時どこにもなかったメジャーな匂いがあって、石原(裕次郎)の持っている明るさや力強さがそうさせるのかなと感じました。
ロケでは、お詫びも兼ねて感謝の気持ちを伝えて回るわけですが、僕もロケに行きたいという思いはありますよ。1つの番組になってしまうくらい、ロケ先の皆さんと共有する思い出がある作品というのはやっぱり素晴らしいし、なかなかないですから」
――「西部警察」でテレビドラマデビューを果たした舘さんは、その後、石原プロに正式に所属されますよね。
「『西部警察』という作品はとても楽しかったし、僕を成長させてくれましたけど、それより何より、この作品で渡(哲也)と出会えたことに意味がある…その一言に尽きます。今でもよく覚えていますが、偉そうな大御所の俳優さんが多い中で、渡は、喫茶店で僕に初めて会ったとき、わざわざ立ち上がって握手をしてくれたんですよ。“渡です。舘くんですね!”と。その後、撮影に入って、渡と過ごす時間の中で、改めて“この人についていきたい”と思ったんですね」
――「西部警察」の中で、舘さんが演じる巽刑事は半年で殉職。その後再び、鳩村刑事という別のキャラクターで出演されますが…。
「当時の僕は、テレビをやるつもりがまったくなくて、映画と音楽だけやっていこうと思っていたんです。実は『大都会』の時にもオファーを頂いていたんですが、それをお断りした経緯もあって、『西部警察』は半年でいいから…という契約でした。約束どおり、巽は半年で殉職しますが、その後、石原が解離性大動脈瘤で倒れて、“俺に何かできないかな”と思っていました。すると、石原プロから“ひろし、戻ってこい!”とお呼びがかかりまして…。正直僕は、鳩村として戻ったとき“そんなことがあっていいのか”と思いましたけど(笑)」
――その後の舘さんは、数々の刑事ドラマに出演されていますが、’16年お正月には、いよいよ、映画「さらば あぶない刑事」が公開されます。こちらも人気シリーズへと成長し、30年の歴史を刻んできました。
「『あぶ刑事』は、『西部警察』とは真逆の位置づけにある作品。刑事ドラマの悲壮感を全否定したかったんですね。悲しい事件が起きても、ジョークで笑って次へ進む…そこが売りだったんですけど、今回の映画はちょっと違います。ギャグは恭さま(柴田恭兵)にお任せして、僕が演じるタカは、とにかくハードボイルドでスタイリッシュに…。菜々緒さん演じる恋人とのエピソードにも、ぜひ注目してほしいですね。脚本も相談しながら変えて、しつこく直していきました。銀星会どころじゃない、国を超えたレベルの事件になっているし、『この人何者?』と思わせるくらいキレのある恭さまの走りと僕のバイクアクション、歳を重ねた“大人のハードボイルド”を楽しんでいただければ…と思います!」
取材・文/蓮池由美子
©2016「さらば あぶない刑事」製作委員会
監督:村川 透 製作総指揮:黒澤 満 脚本:柏原寛司
出演:舘ひろし/浅野温子、仲村トオル/柴田恭兵
木の実ナナ、伊藤洋三郎、山西道広、長谷部香苗、ベンガル、小林稔侍
菜々緒、夕輝壽太、吉沢 亮、入江甚儀、片桐竜次/吉川晃司
配給:東映
公式サイト://www.abu-deka.com/
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