社宝である天然パールが盗まれた事件を機に「帝国真珠」では社長の座を巡る対立が勃発。異母兄妹の会長・岩倉寿三郎と現社長・恒子の関係がギクシャクしていた。マスコミ報道で岩倉家の内紛を知った信子はある目的を果たすべく、ザンバラ髪に黒縁メガネで美貌を隠し、家政婦として潜り込むが…。
昨春、米倉主演で復活したテレビ朝日系ドラマ「家政婦は見た!」の最新作が登場!
彼女が演じる美貌にコンプレックスを抱える偏執的家政婦・信子が
冴えない格好に変装してセレブ一家の裏側を覗いていく。
今回は、ジュエラー創業者一族の大邸宅に潜入。
信子というキャラクターへの思いや作品の見どころを語った。
――「家政婦」シリーズの新作ですね。
「今回は久しぶりのドラマ出演ということもあって、いつものメンバーと会えるのがうれしいなと。私にとって唯一ストレスが発散できる作品なんです。だから、楽しかったですね」
――どういうところで、ストレスを発散できていますか?
「あの信子の扮装をするだけで『あの人は今何を考えているんだろう』とか、自分が心の中で思ったことを全部表に出せるんです。信子は何の遠慮もいらない役柄だととらえていて。心の扉を全部開いている感じなのでストレスは感じません。ただ、前かがみの姿勢や不自然な体勢をすることが多くて…。ちょっと体に支障が出ちゃう(笑)。首や腰の痛みが撮影後も少し残ったりしましたね」
――改めて"家政婦・信子"というキャラクターの魅力はどんなところにあると思いますか?
「信子を演じている時は、他の俳優さんたちの動きに関係なく自由に動けるというか、自分の中でそれを許しているところがあるんです。常識はずれでも、お行儀が悪くても構わないキャラクター。しかも、言いたいことが言えるし、下から目線のように見せておきながら実は上から目線だったりして(笑)。人として良くないんじゃないかなと思う部分を気持ちよく表に出せるから本当に楽しいですね」
――そんな信子のことをかわいいと思いますか?
「かわいいかどうかは分かりませんけど(笑)、信子を見て皆さんが喜んでくれたらいいなと思います。現場でも周りのスタッフが笑ってくれるから、つい調子に乗ってしまうんです(笑)」
――作品の世界観についてはいかがですか?
「正直なところ、台本を読んだだけではつかめない部分があるんです。登場人物の話し方やセリフの言い回しも独特で難しい。でも、それぞれのキャラクターにふんした共演者の方たちと向かい合ってお芝居をしていると、いろいろなものが見えてくるというか、どんどん『面白いな』と思えてきて。いい意味でみんながふざけているけど(笑)、なぜか感動してしまうシーンが出てくる不思議なドラマなんです」
――今作で、印象に残っているシーンはありますか?
「信子が派遣された"岩倉家"の家主であり、帝国真珠の会長・寿三郎(西田敏行)と、社長で妹の恒子(財前直見)のやりとりは観ていて素直に面白いなと思いました。本当は仲が良いんだけど、それを隠してひと儲け企んでいるのか、それとも、仲は悪いんだけど他人にはそんなことを感じさせないように振舞っているのか。西田さんと財前さんが演じる二人の関係には注目してほしいですね」
――西田さんとは何度も共演されていますけど、財前さんは今回が初めてですね。
「"姉御"って感じでしたね。次元が違うと言いますか、私が見たことないお芝居の世界を知っていらっしゃる方なんだろうなと。とても懐の広いお姉さんです。かっこよかったですね。西田さんは…相変わらずというか、アドリブがない日がない(笑)。『ドクターX』で私が演じている大門未知子だったらツンとしていればいいですけど、信子の時は立ち向かっていきたいんです。私も負けたくないので(笑)。西田さんとの共演は楽しいですし、撮影が長くてちょっと集中力が切れかかってきた子どもまでも取り込んでいくお芝居は、やっぱりすごいです」
――今回の撮影で大変だったことは?
「今回は、夏の暑い時期に撮影したんです。猛暑だったので、上からの日差しと下からの芝生の照り返しはきつかったですね。信子のウィッグは、回を重ねるごとに改良してくださって。軽いし、脱着がとてもスムーズ(笑)。あ、信子の変化で言うと、これまではずっと冬服だったので、初めて夏服を着ている信子が観られます! ぜひ、期待してください」
――「J:COM」で観られる"テレ朝チャンネル"では、米倉さんが過去に出演されたドラマ「松本清張 けものみち」や「ナサケの女~国税局査察官~」などが放送中です。
「すごくうれしいですね。『けものみち』は、まれにみる私のパーマを観てください(笑)。この作品も大先輩の役者さんたちに囲まれていましたね。『黒革の手帖』ぐらいからその流れは始まっていましたけど、いい経験をさせていただきましたし、あの頃があるからこそ今の私があるような気がしますね。『ナサケの女』は、脚本家の中園ミホさんと出会った作品。ここから長いお付き合いが始まりました。勝村(政信)さんをはじめ、共演者の方もその後『ドクターX』でご一緒した方が多いですね」
――では、最後にメッセージをお願いします。
「株の泥沼にハマっていく家族の物語が時にシリアスに、時にコミカルに展開されます。信子は、それを自由に観ているだけなんですけど(笑)。豪華な俳優さんたちが、それぞれの役の立場で愛する物に対しての思いを演じてくださっているので、気軽に楽しんでいただけたらうれしいです」
撮影:渡部孝弘
取材・文:小池貴之

脚本:竹山洋
演出:松田秀和
チーフプロデューサー:五十嵐文郎
ゼネラルプロデューサー:内山聖子
主演:米倉涼子、財前直見、高泉淳子、池田鉄洋、菜々緒、金子貴俊、高橋琉晟、横田栄司、大倉孝二、マキタスポーツ、松尾貴史、田山涼成、寺田農、東ちづる、西田敏行

©NTV

©ABC・テレビ朝日


©テレビ朝日