2020.10.01
オリジナルインタビュー第六弾!柴田竜拓選手が登場!
“守備職人”が語るスーパープレーの秘密
(取材日:2020年9月17日)
岡山県出身。國學院大卒。大学時代には多くの国際大会を経験し、ハーレム大会では最優秀守備選手に選出。2016年入団のプロ5年目。堅実で巧みなグラブさばきとスピードに定評があり、チームに欠かせない守備固め役として活躍する一方、昨シーズンからは打撃でも存在感を発揮。
激戦区ともいわれるベイスターズの二遊間を主戦場に、今季はスタメンに名を連ねる機会も増えた柴田選手。終盤に近づきつつある今シーズンも、“守備職人”らしいスーパープレーをいくつも見せてくれています。
今回も、横浜F・マリノスクラブシップキャプテンの栗原さん、元横浜DeNAベイスターズの荒波さんが、そんな柴田選手に、コロナ渦で行われた今季の試合やスーパープレーを生み出す秘密について直撃しました。
(※本取材は2020年9月17日にリモート取材にて行われました。)
例年とは全く違う難しさを感じた
コロナ渦での試合
柴田です。よろしくお願いします。
6月19日に開幕したペナントレースも残すところあと1ヶ月半となりましたね。(※取材時9月17日時点)
今をどのような気持ちで迎えていますか?
例年とは違うことが多く、いつも通りの力が発揮できなかったり、怪我人が出たり…ということもある中で、こうして野球ができることのありがたさをすごく感じています。
毎日野球ができることは当たり前のことではないんだな、と感謝の気持ちが大きいですね。
開幕の時期がずれたことで調整が大変だったのでは?
そうですね。球場での練習は2日に1回だけしかできなかったので、空いた時間でランニングしたりだとか、どうしても限られた練習内容になってしまって…難しさを感じる時もありました。
瞬時にイメージが湧く!
“職人”が肌で感じているもの
柴田選手に取材すると決まってから、絶対に聞きたいと思っていた気になることが2つあります。
まずは守備の時の準備について。例えば7月19日のジャイアンツ戦。
9回二死二塁で丸佳浩選手の当たりを取った時、一塁を見ることなく、一切迷いなくホームに送球していました。あれは「ああいうヒットがきたら、こう投げる」という準備がもともと出来ていたのでしょうか?さすがプロだな!と思うシーンでした。
そうですね、ずっと内野を守っているうちに身に付いた感覚というか。「このくらい追ったら一塁がセーフになる」、とか「この距離でこの打球の速さだと自分がどう動けばベストか」とか、そういう感覚が働くのですが、あの時はゴロが来て、けっこうスピードが緩めだったので…。
ちょっと跳ねた感じの。
はい。それで、飛びついて取ってますし自分がだいぶ動いた感覚があって。これは一塁に送球するのは無理だな、と思いました。二塁走者だった増田大輝選手も積極的なランナーですし、きっと回り切るだろうな、と。それでああいうプレーになりました。
なるほど。来た打球に対して「こういう球が来たらこうする」というのではなく、守備する上で常に自分で持っている心構えというか。「一塁が無理だったらホームに」という準備ができていたからこそできたプレーだったんですね!
まずは、先にひとつアウトを取りたいところではあったんですが、追いながら「追いついたとしてもファーストは無理だな」と思いました。
それはプロの判断ですね。さすがです。
プレーしながら頭の中で、あっちに送球するのはどうかな?こっちだとどうかな?っていういろいろなイメージが湧くんですよね。動きながらの一瞬のはずなのに、それ以上の時間があるような感覚になるんです。
その7月19日のプレーとちょっと重なるのが、守備固めで入った8月6日のドラゴンズ戦。センター前、ビシエド選手の打球に飛びついていきました。バッター側からみるともう最悪のプレー(笑)。「あんなとこにいて、あの球を取るのかよ!」っていう。あの時も1歩、2歩のイメージがあったのでは?
あの時は、あらかじめポジショニングを「ビシエドシフト」にしていて、センター寄りにいたんです。半歩くらい左側にいたので、実は正直あれは逆をつかれたというか…ちょっと遅れて取りに行った形なんです(笑)
じゃあ逆にそれがなければ、飛びつかなくてもイケたんですね!?
普通に逆シングルでも間に合ったかもしれません。
予想が外れたからこそ生まれたプレーだった!
そうですね。でも今までだとだいたい予測が外れると、取れてないことがほとんどだったんですけど、あの時は…なんでしょうね?たまたま…笑?
いや!たまたまじゃ取れないから(笑)!さっきも柴田選手が自身で言っていたように、打球を追うまでの間にプレーをイメージして、整理ができているからこそ。
ちなみにそれはいつからできるようになりましたか?プロに入る前?入ってから?一軍入りしてから?
一軍に入ってからですかね。1年目とか2年目はもうとにかくボールを追うのに必死で余裕がなくて…。
ここは無理をするところなのか、そうではないのか、そういう判断もなかなかできなかったんですけど、ずっと一軍にいられるようになって、守備固めの機会もたくさんいただくようになってから、引き出しが増えたという感じです。
じゃあ今はもう緊張とかもしない?守備固めのときとかって自分はすごく緊張したけれど…。
緊張は今でもします。しないことがないです。
スタメンの方が逆に楽だったり?それも聞きたいことのひとつです。
スタメンはまた違った緊張感がありますけど…でもスタメンだと試合の流れを感じながらプレーできます。
途中から行くとなると、流れをしっかり読んでいないと置いていかれたりしてしまうので…。守備固めにはその難しさがありますよね。
決して派手ではないけれど…
自分にしかない強み
野球選手として、柴田選手にしかない自分だけの最大の武器とはなんでしょう?
やっぱり守備ですかね。守備力。
スピードを活かした柴田選手らしい守備ですね?
はい。でも僕はやっぱり派手なプレーというよりは、しっかり取ることを重視しているというか。「ピッチャーから打ち取ってやったぞ」という相手の打球をしっかり確実に取れるっていうのが、内野手として一番良いと思うので、そこは常に意識してます。
基本に立ち返った体づくりで
理想のイメージへ
現在9連戦で、1日空いて9月25日からは10連戦、と連戦が続きます。気をつけていることや意識していることはありますか?
「連戦だから」というだけの理由ではないのですが、食事や睡眠は大事にしています。お風呂にしっかり浸かって、奥さんの作ったバランスの良い食事を摂っています。あとは体のケアですね。怪我人が多く出ているので怪我には気をつけています。
今年は13連戦っていうのもあったと思いますか、連戦続きはやっぱり疲れますか?
実は僕たちは1試合中止になったので13連戦にはならず…ラッキーでした(笑)
それはみんな「良い雨だ」って喜んだだろうね(笑)。選手としての準備や体のケアでは何を一番大事にしていますか?
バットを振る技術、投げる技術っていうのも大事なんですけど、やっぱり自分の思った通りに体が動くことが一番なので、まずは道具とかを何も使わない体操をやっています。
体が動いてはじめて技術も向上していくと思うので、準備の中では体操を今一番大事にしています。
筒香嘉智選手もブリッジなどの体操を重視していましたね。なるほど。そういうのをしっかりやるようになってからはイメージ通りに動けるようになってきましたか?
まだまだなんですけど、今までは自分の映像をみて、なんか思っていた動きと違うな…っていうことが多かったんですけど、今はだいぶ思った通りに動けるようになってきていると思います。
自分を俯瞰で見ることで、実際の動きとイメージとの誤差が少なくなってきたという感じ?
そうですね。悪い時はその誤差がやっぱり大きくて。思ったより肩が入ってしまっているな、とか。でもイメージに近づいている実感はあります。
ベイスターズは
選手もファンもみんな“ファミリー”
ベイスターズのどんなところが好きですか?
あったかいところですね。みんなでよく言い合うのですが、みんな“ファミリー”っていう感じなんです。一体感があるチームなので、そこがすごく好きですね。みんな楽しく野球ができている。
ファンも含めての“ファミリー”ですよね!
もちろんそうです!やっぱり試合も横浜スタジアムでやる時が一番好きなんです。
今年はコロナの影響でなかなか応援とかも難しい。それでもやっぱり勝った時や打った時に一緒に喜びを分かち合えるのはすごく幸せです。
今、5,000人くらしか観戦できない(9月17日時点)ですよね。大声援でやるのも良いけど、今の感じでやるのも新鮮だったり、逆に声が聞こえ過ぎて困る、とか良いところも悪いところもありそうですが、実際のところは?
応援されるっていうのはすごく嬉しいことなんで、人数が少ないのはやっぱり寂しいですね。でもベンチからの声は確かに丸聞こえなんですよね…(笑)
あるあるだけど、ちょっとふざけたりだとか、そういう声も聞こえちゃうもんね。
ヤジとかもめっちゃ聞こえてくるんで。
ちょっと気を使ってヤジったり?
そうですね(笑)
最後にベイスターズファンのみなさんへメッセージを!
今年はなかなか球場に来ていただける機会が少ないですけど、僕たちは目の前の試合、1試合1試合全力で勝ちに行きます。みなさんもコロナに気をつけて熱い応援をよろしくお願いします!
©YDB
はじめまして!栗原です。よろしくお願いします。