写真：AFP/アフロ
四角いリングの上で2人が、グローブをはめた左右の拳で相手選手のトランクス上部の「ベルトライン」より上を打ち合い、勝敗を争う。攻撃手段、攻撃場所とも限定されており、だからこそ特化され、洗練された技術の応酬が見る者を引きつける。古代から行われていた競技だが、現代に連なる近代ボクシングの礎は17世紀にイギリスで築かれ、1880年にイギリス・アマチュアボクシング協会が創設された。その後、1904年セントルイス大会で五輪の正式競技に採用されて以降、1912年ストックホルム大会を除いて実施。2012年ロンドン大会からは女子も加わった。また、2016年リオデジャネイロ大会からプロが解禁され、男子のみ頭部を保護するヘッドギアが廃止された。
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階級数が再編され、男子は前回の東京大会の8から7に減り、女子は5から6に増えた。また、階級の名称も「フライ級」「フェザー級」などではなく、体重をそのまま表す「kg級」を採用。各階級に各国・地域から1人の選手が出場し、トーナメント方式でメダルを争う。試合は男子が3分×3ラウンド、女子が2分×4ラウンドで行われ、各ラウンド終了時に、5人のジャッジは判定基準に従って両者に差をつけてポイントを与える。勝敗は、力量差が明らかな場合などにレフェリーが試合を止めて勝敗を告げるレフェリー・ストップ・コンテスト（RSC）、棄権などによるテクニカルノックアウト（TKO）、一方の選手がダウンして10秒以内に試合を続けることができないノックアウト（KO）などで決まり、全ラウンド終了時点で勝敗がつかなかった場合は、ジャッジが各ラウンドのポイントを合計し勝者を決定する。
男子はかつてキューバが1強時代を築き、1992年バルセロナ大会からの4大会で計47階級中20階級を制した。その後やや失速。しかし前回の東京大会では8階級中4階級で頂点に立ち、改めて強豪国であることを示した。ほかにもアメリカ、イギリスも伝統的に強く、リオ大会10階級中7階級でメダルを獲得したウズベキスタンも好選手を送り込んでくる。
女子は東京大会5階級の金メダリストは、すべて異なる国・地域の選手だった。ロンドン大会、リオ大会も同様だったが、今大会はどうなるか。また、キューバが国として初めて女子選手の出場を認めたことも話題であり、戦いぶりが注目される。
東京大会には日本女子も出場し、入江聖奈（フェザー級）が金メダルを獲得したが、今大会に出場するのは男子の岡沢セオン（71kg級）、原田周代（57kg級）の2選手のみ。2大会連続出場の岡沢は、2021年世界選手権で日本人初優勝し、2023年アジア大会も制覇。メダルが期待されている。
