写真：アフロ
起源は古代ギリシャ時代に馬の調教のために行われた競技。選手が動物とともに出場すること、男女の区別がないことが特徴で、すべての種目で男女の区別がない唯一の五輪競技だ。人馬一体で競技を行い、手綱の操作や体重のかけ方によって馬へ指示を出す選手の技術、それに応える馬の能力のどちらも求められる。何より選手と馬の信頼関係が築かれていないと、好成績を残すことはできない。五輪では1900年パリ大会で初めて実施。当初は男子の軍人による競技だったが、1952年ヘルシンキ大会で軍人ではない男女も出場可能になった。今大会の実施種目数は障害馬術（障害飛越）、馬場馬術、総合馬術それぞれの個人、団体の計6つ。ベルサイユ宮殿に仮設された会場で行われるのことが話題になっている。
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障害馬術はコース上に設置されたさまざまな色や形状の障害物を、決められた順番に飛び越える。障害物は高さ160cm、奥行き200cmに達するものも。障害物を落下させたり、馬が止まってしなったり、障害物を避けたりすると減点の対象になる。減点の少なさを競い、同点の場合は走行タイムの速い人馬が上位に。馬場馬術は、20m×60mのアリーナ内で、人馬がさまざまなステップを踏んだり、図形を描いたりしながら演技を行う。内容が決められている規定演技と、必須要素を入れて構成した演技を音楽に合わせて実施する自由演技があり、動きの正確さや美しさを採点して競う。総合馬術は上記2種目に、起伏に富んだ地形に竹柵や水濠などの障害物が設置された、約6kmのコースを駆け抜けるクロスカントリーを加え、3種目の合計減点の少なさで順位を決める。馬場馬術、クロスカントリー、障害馬術の順に3日間かけて行うため、人馬ともに心身両面のスタミナが求められる。
前回の東京大会では、ドイツをはじめ、イギリス、フランス、オランダなどヨーロッパ勢が各種目でメダル争いの中心になり、障害馬術はアメリカ、カナダなども上位に進出してきた。2012年ロンドン大会の障害飛越団体で、サウジアラビアチームが銅メダルを獲得したことがあったが、欧米勢とその他の地域の実力差は大きい。そうした傾向は今大会も変わらないだろう。
日本もアジアの大会では好成績を残せるが、世界選手権などでは欧米勢の壁を越えることができていない。五輪のメダルは、1932年ロサンゼルス大会の障害飛越で西竹一と愛馬ウラヌスが獲得した金メダルが唯一。しかし東京大会では開催国の有利さがあったとはいえ、総合馬術個人で戸本一真が、メダルまであと一歩に迫る4位入賞を果たした。戸本は今大会も日本代表入り。連続入賞、さらにはメダルも期待される。夏季大会日本勢最多7度目の出場となる障害馬術の杉谷泰造にも注目だ。
