「機動戦士ガンダムNT」 脚本

福井晴敏スペシャルインタビュー

宇宙世紀史に新たなページを刻んだ「UC(ユニコーン)」でストーリーを担当、
最新作「NT」の脚本も手がけた福井晴敏にとっての「ガンダム」に迫る。

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――「ガンダムシリーズ」といつ出会い、どのように追いかけていましたか?

最初は「機動戦士ガンダム」('79〜'80年)、いわゆる「ファーストガンダム」です。ブームになってから作品の存在を知り、再放送か再々放送を見て、ガンプラを買うために店に並んだり、「ファーストガンダム」の監督・富野由悠季さんが書かれた小説版を読んでいました。'85年に始まった「Zガンダム」(〜'86年)はリアルタイムで追いかけていましたが、「逆襲のシャア」('88年)を見て、一旦卒業した感じでした。

――'07年に「機動戦士ガンダムUC」の小説の連載を開始。その後、映像化されました。

「UC」を立ち上げた頃のガンダムシーンは、かつてのブームを知る人間には市場が狭く感じられました。「もっと耕せる土地はたくさんある」と。その印象が作品作りのモチベーションになっていました。

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福井晴敏がリアルタイムで追いかけた「逆襲のシャア」の一場面。落下してくる隕石の危機から地球を救うシーンは、新たなニュータイプ像を描き出した。

――UCは宇宙世紀を意味するものでもありますが、福井さんにとっての宇宙世紀の魅力とは?

世界観の強度ですね。主人公たちが戦っている間に、別の場所で違う事件が起こっていると感じられる世界の広がりや実在感がある。ただ、富野監督の主眼はリアルな架空社会の構築ではなく、人類が宇宙で暮らすことでどう変化していくのかを描くことにあったと思います。

――人類の変化の形が、シリーズではニュータイプ、NTと表現されています。「UC」に続く作品のタイトルが「NT」なのは象徴的です。

あの世界では死んでも思念が残り、ニュータイプはそれと感応できる。その研究が進んで、一般に周知される寸前までいったのが「逆襲のシャア」の時代。でも、その30年後の「F91」ではニュータイプという言葉は忘れ去られている。何か途方もないことが起こったとしか考えられない。富野監督がかつてニュータイプについてぼかした描き方をしていたのは死生観を固定させ、ある意味宗教になってしまうことを警戒したからだと思いますが、今の時代なら踏み込めるのではないか。そう考えて「UC」をあのように作り、それを踏まえて「NT」を作りました。

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ニュータイプの特徴を顕著に表したワンシーン。死亡したはずのララァが思念体となり、アムロの前に姿を現す。

――今後、「ガンダム」がどう広がっていってほしいですか?

自分が耕し始めた場所以外にも空いている土地はあるはずなので、誰かが見つけて耕してほしい。そして時代に対応して進化しつつ、地に足をつけて骨太なものを提供する。それを続けて、今以上にそれぞれの世代が受けとめる「ガンダム」がある世界になればいいですね。

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「機動戦士ガンダム
NT(ナラティブ)」
福井晴敏

'68年11月15日東京都生まれ。'98年「Twelve Y.O.」で第44回江戸川乱歩賞を受賞し、作家デビュー。ガンダムファンであり、富野監督ファンとしても知られる。

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