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「ブラッシュアップライフ」
©NTV

主演・安藤サクラと脚本・バカリズムの初タッグによるドラマ「ブラッシュアップライフ」。バカリズムが壮大なスケールで不思議な日常を描いた本作は、東京ドラマアウォード《グランプリ》やギャラクシー賞をはじめ、フランス・カンヌでContent Innovation Awards、Asian Television Awardsで最優秀脚本賞を受賞するなど、国内外で高く評価されている。「平凡な人生をもう1度やり直す平凡な女性のお話」としながら、唯一無二のユニークなストーリーは大きな話題を呼んだ。

“あーちん”こと近藤麻美（安藤）は、地元の市役所で働く33歳の独身女性。実家に両親と妹と4人で暮らし、ごく平凡な日々を送っていた。しかしある日、トラックにはねられてあっけなく死んでしまう。気が付くと真っ白な空間にいた麻美。困惑する彼女に、死後の世界の案内人なる男（バカリズム）が来世の新しい生命は「オオアリクイ」だと告げる。来世は人間ではないと知りガッカリするが、「近藤麻美として同じ人生をやり直して徳を積めば、人間に生まれ変わる確率が上がる」と聞き、人生のやり直しを選択。2周目の人生をスタートさせる。

「ブラッシュアップライフ」
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「地元系タイムリープ・ヒューマン・コメディー」と銘打つ本作。生まれ育った地元で就職し、実家で家族と暮らし、幼なじみ2人と楽しく過ごしながら生きている主人公の麻美はごくごく平凡な女性だ。しかし、2周目では1周目の知識と経験を小出しにして徳を積むべく奮闘する。保育園時代は友達・玲奈のパパと先生の不倫を阻止、小中高と学校生活を謳歌（おうか）し、大学は憧れていた薬学部に入学。人生の分かれ目を体感しながら暗躍するも、また33歳で死んでしまう。今度こそはと意気込んでまた人生をゼロから始め、麻美は徳を積みながら自分や周りの人生を少しずつ変えていく。

安藤は平凡な女性の日常を自然体で演じる。幼なじみの“なっち”こと夏希役の夏帆、“みーぽん”こと美穂役の木南晴夏との掛け合いもリアルで、長年の絆を感じさせる。シール交換にプリクラ、カラオケで歌う曲や語り合うドラマと懐かしいものが登場し、人生を彩る。それぞれの周りで出会う人々と関係性も未来も変わり、奇想天外な“ブラッシュアップライフ”が展開していく。仲良し3人娘のほか、水川あさみ演じる“まりりん”こと真里も加わって、女子たちが繰り広げるリアリティーのある会話劇も見どころだ。

「ブラッシュアップライフ」
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また、小中学校の同級生・福ちゃん役の染谷将太は、さえないキャラクターを好演。大学時代の元カレ役の松坂桃李、中学時代の嫌な教師・ミタコング役の鈴木浩介と絶妙なキャスティングも光る。さらに、黒木華演じる玲奈や真里らが恋人へブチ切れるシーンや、保育園時代の麻美を務める子役の永尾柚乃の名演技も話題となった。

ハマり役ともいえる実力派俳優陣の演技と、バカリズムらしいシュールな笑いの中に、時に切なさと驚きを伴う先の読めないストーリーが掛け合わされる。何気ないシーンに伏線の数々も盛り込まれ、何度見返しても楽しめる作品となった。何度も巡り巡ってブラッシュアップした末にたどり着く、彼女たちの人生の終着点を見届けたい。

文：中川菜都美