あなたの「みたい」が見つかるコラム

平成を挟んで令和となったが、昭和の雰囲気が感じられるレトロな喫茶店が“Z世代”にも人気が高いなど、改めて昭和の魅力がフィーチャーされることが多くなってきた。音楽についても昭和歌謡への注目度が高まっている。リアルタイムで聴いていた世代は懐かしい気持ちで聴き、Z世代などの当時を知らない人たちは新鮮な気持ちで楽しんでいる。TikTokでチェッカーズの「ギザギザハートの子守唄」や山本リンダの「狙いうち」などが注目され、昭和歌謡をカバーした新しい学校のリーダーズも人気を集めている。また、JUJUが東京ドームで会場をスナックに見立てて、彼女が“ママ”として昭和歌謡のカバーを中心に披露する「ジュジュ苑」を開催するなど、話題に事欠かない。

昭和を代表するバンドであるチェッカーズは、1983年9月に「ギザギザハートの子守唄」でデビューし、翌1984年1月にリリースした2ndシングル「涙のリクエスト」が大ヒットしてブレイク。その勢いで3rdシングル「哀しくてジェラシー」がリリースされると、デビュー曲も売り上げが伸び、ランキング番組のトップ10に3曲が入ったこともあった。「1992 FINAL TOUR “ACOUSTIC COLLECTION”」は、1992年12月に行ったファイナルツアーから、アコースティックコーナーで演奏した曲を集めた内容となっている。年号は平成に変わっているが、昭和を代表するバンドの集大成ということでチェックしておきたい。

昭和の歌謡曲やその後のJ-POPの礎を築いた吉田拓郎は、1970年代初頭から活動を始め、フォークソングをメジャーに引き上げた。「結婚しようよ」「唇をかみしめて」「落陽」「夏休み」など、多くの名曲を生み出し、2022年にアーティスト活動の一線から退いたが、今なお大きな影響を与え続けている。「吉田拓郎 一挙放送スペシャル」では、湾岸スタジオでの「吉田拓郎 Live at WANGAN STUDIO 2022-AL“ah-面白かった”Live Session-」をはじめ、2012年から2022年までのライブ映像4本が楽しめる。

昭和の時代は音楽番組も人気が高く、ほぼ毎日といっていいほど各局で音楽番組が放送されていた。“夜ヒット”こと「夜のヒットスタジオ」は、1968年から20年以上にわたって国内外の歌手・アーティストが出演した伝説の歌番組。出演歌手が別の歌手の曲を歌って紹介するオープニングも、この番組の大きな特徴だった。1977年12月5日放送回では、アリスが「帰らざる日々」を歌唱したほか、狩人が「あずさ２号」、原田真二が「てぃーんずぶるーす」を披露。南沙織、小柳ルミ子、都はるみなど、この日もジャンルの枠を超えてバラエティ豊かな出演者が登場する。

他にも「エモ過ぎる！不動の人気を誇る昭和の名曲スペシャル」ではタイトル通り、安全地帯の「ワインレッドの心」、寺尾聰の「ルビーの指環」、チェッカーズの「涙のリクエスト」、THE BLUE HEARTSの「リンダ リンダ」など、誰もが知っている名曲を届ける。昭和の日を前に、これらの番組で“昭和歌謡”の魅力を再発見し、その世界にぜひ浸ってもらいたい。

文：田中隆信