写真:二宮清純
二宮清純コラム銀盤のカーテンコール
毎月第3月曜更新

2025年6月3日(火)更新

千葉百音、今オフは体力の底上げを
「どんな空中姿勢でも着氷する!」

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 来年2月にミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪が開催されます。今回は、フィギュアスケートの女子シングルで五輪出場が有力視される千葉百音選手(木下アカデミー)にスポットを当ててみます。

4回転トーループに挑戦

 千葉選手は、5月1日に20歳を迎えたばかりの、シニアに転向してからわずか2季目のスケーターです。完成度の高い5種類の3回転ジャンプに加え、今は五輪を見据えて4回転トーループの習得に励んでいます。幼少期に習っていたバレエの経験を生かした表現力の豊かさが彼女の持ち味です。

 23年5月に練習拠点を京都府宇治市に移しましたが、出身は宮城県仙台市。4歳の頃、羽生結弦選手のホームリンクとして知られるアイスリンク仙台でスケート人生をスタートさせました。練習の前後、当時高校生の羽生選手と鬼ごっこをして遊んでいたという逸話もあります。

 ジュニア時代から、シニアの大会に出場するなど才能の片りんを見せていました。23-24年シーズンの1年目で、四大陸選手権を制しました。24-25年シーズンの今季は、初出場のNHK杯で2位、こちらも初出場となったグランプリファイナル(GP)でも2位(日本勢ではトップの成績)、世界選手権では3位と、表彰台の常連となりました。

 24-25年のシーズンを通して、ビビットなピンクの衣装で氷上を滑り、長いポニーテールをぶんぶんと揺らすショートプログラム(SP)の「ラストダンス」は、彼女の代名詞となりました。

 2年に1度、シーズンの最後に日本で開催される国別対抗戦(団体戦)。日本は準優勝でしたが、千葉選手はSP4位、フリー5位と不本意な成績に終わりました。この大会は2年に1度のペースで、シーズンの最後に開催されます。そのため、スケーターは疲労との戦いを余儀なくされます。

 千葉選手は、SPでのダブルアクセルの転倒を悔やみ、「踏み切ったときに体が浮き過ぎてしまった」と振り返りました。

「ほどよい緊張で」

 国別対抗のSP後、彼女はこう反省の弁を口にしました。
「6分間練習から、少し体が重たかった。シーズン終盤で、疲労によりコンディションが落ちてしまいました」

――氷が緩かったのでは?
「全然、悪い氷じゃなかったです。本当に今日は自分のコンディションが整わなかった。氷の感触は悪くなかったけど、(ジャンプの時の)体の浮き上がりの悪さや空中での姿勢のコントロールが“いつもと感覚が違うな”と。少しずつずれてしまいました」

――課題は?
「どんな空中姿勢になっても、安定して着氷できるパワーを絶対、25-26年シーズンまでには備えたい。そう思った今日のダブルアクセルでした。パワーの平均値が他の選手より、低めかな? と。でも、誰しもが疲れている状態で、この国別対抗戦を迎えています。根本的な体力の底上げをオフで頑張れればいいと思います」

 その2日後、フリーの後にはこう語りました。
「会場の雰囲気を感じて、楽しむことも大事。やるべきことは、緊張し過ぎないこと。ほどよい緊張の中で、ほどよい集中を保つこと。緊張し過ぎると集中がかえって乱れることに気が付きました」

 国別対抗戦SPではダブルアクセルの失敗もあり、ミックスゾーンに現れた時は随分と悔しそうでした。この失敗を糧に、さらに成長した姿を見せてもらいたいものです。将来が楽しみな20歳です。

二宮清純

二宮清純 スポーツジャーナリスト

1960年、愛媛県生まれ。
スポーツ紙や流通紙の記者を経てフリーのスポーツジャーナリストとして独立。オリンピック・パラリンピック、サッカーW杯、ラグビーW杯、メジャーリーグ、ボクシングなど国内外で幅広い取材活動を展開。明治大学大学院博士前期課程修了。広島大学特別招聘教授。大正大学地域構想研究所客員教授。「スポーツ名勝負物語」「勝者の思考法」など著書多数。

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