2026年7月20日(月)更新
佐藤駿、ステップ改良で飛躍目指す
同世代の三浦佳生が認めた「音感」
この2月に行なわれたミラノ・コルティナ冬季五輪フィギュアスケート男子シングルで銅メダルを獲得、また3月にチェコ・プラハでの世界選手権でも銅メダルを胸に飾った佐藤駿選手(エームサービス/明治大)が、さる6月26日から28日にかけて、KOSÉ新横浜スケートセンター(神奈川県内)で行なわれたアイスショー「ドリーム・オン・アイス(以下、DOI)」に出演しました。そこで佐藤選手は、新たなショートプラグラム(SP)「愛しみのチャルダッシュ」を披露しました。
「ビビッときた」
毎年6月下旬に新横浜で行なわれるDOIでは、多くの競技者が新しいプログラム(SPかフリーのどちらか1つ)を披露します。通常のアイスショーは、演出の都合上、会場内は暗転します。しかし、DOIは競技会同様、明るい照明の中で行なわれます。
新シーズンに向けた“プレシーズンマッチ”と位置付けられるこのアイスショーで、佐藤選手は「愛しみのチャルダッシュ」を初披露しました。
初日、黒のシースルーにスパンコールの衣装で登場した佐藤選手は、危なげなく4回転トーループを成功させると、プログラム後半は軽快なステップで観客を魅了しました。
これについて、佐藤選手は「このプログラムを自分で選んで、ものすごく気に入っています」と切り出し、選曲の経緯を説明しました。
「今シーズンは新しいモノに挑戦したいと思っていました。昨季のイメージとはガラッと雰囲気を変えた曲がいいなと思って(愛しみのチャルダッシュを)選びました。YouTubeで曲を探していて、ビビッときた。自分が滑っているイメージが沸きました」
周知のように佐藤選手は昨(25-26年)シーズン、伸びやかな曲調の「ラベンダーの咲く庭で」をSP曲に採用していました。翻って新SP曲は、強烈なストリングスに象徴される激しい旋律が特徴です。
佐藤選手が披露した「愛しみのチャルダッシュ」は、始まりからしてハイテンポですが、中盤に一度スローになります。そして、エピローグに向けて再びハイテンポに戻る構成です。
「ハイテンポの箇所、スローテンポの箇所でそれぞれ意識していることは?」と質すと、佐藤選手はこう答えました。
「緩急が大事」
「このプログラムはすごく緩急が大事になってくるのかなぁ、と思います。しっとりとした部分は、冒頭と違ったイメージをしています。(極端に言えば)別の曲だと思って滑っています。そこからさらに盛り上がる箇所が来るので、“これから激しいステップが来るぞ!”と意識をしてステップを踏んでいます」
さらに、こんな話も。
「特にステップ部分は気に入っています。今後はもっとお客さんの視線などを意識しながら体を大きく使って滑りたいです」
佐藤選手は、4回転ルッツや4回転トーループからのコンビネーションなど、高度なジャンプを武器にするスケーターです。25年4月の国別対抗戦(東京都内)では、大会前日に38度以上の高熱を出しながら4回転ルッツを成功させました。
しかし、ジャンプだけが彼の長所ではありません。
「(佐藤)駿の一番尊敬しているところはもちろんジャンプだけど、もう1つは音感が強いところ」
そう語るのは、同世代で小さい頃から切磋琢磨してきたミラノ・コルティナ冬季五輪男子シングル代表の三浦佳生選手(明治大)です。
「ステップ1つ踏むにしても、駿は“足で音が取れる”。本当に素晴らしいな、といつも尊敬しています」
国際スケート連盟(ISU)が定義するシーズンインは7月1日から。だがシニア選手の場合、本格稼働は10月からです。「まだしっかりと滑り切れていない」と話す佐藤選手ですが、ステップの技術の完成度が、代名詞であるジャンプに近付けば、さらなる飛躍が望めます。
(取材/大木雄貴、構成/二宮清純)

二宮清純





