2026年9月21日(月)更新
佐藤駿、4回転アクセルへの難路。12月の「全日本」金メダルに照準
2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪フィギュアスケー男子シングル銅メダリストの佐藤駿選手(エームサービス)が、9月4日から6日にかけて田中貴金属アイスアリーナで行なわれたISUチャレンジャーシリーズ「木下グループ杯」で銀メダル(合計255.92点)を獲得しました。大会前には、モチベーションの低下に悩まされていました。なお、優勝したのはロシアから個人の中立選手(AIN)として出場したウラジスラフ・ジキジ選手(合計265・68点)でした。
追いかける選手の不在
昨年9月に第1回大会が大阪府の関西アイスアリーナで開催された木下グループ杯。第2回となる今回は東京都内で行なわれました。名前からわかるように木下グループが特別協賛をしています。
木下グループ杯開幕前日(9月3日)の公式練習後、佐藤選手は「先週まで調子は上がってこなかった。なんか……、あんまりモチベーションが上がってきていなくて……」と語りました。
迎えた翌日(4日)の男子ショートプログラム(SP)。佐藤選手は青の衣装に身を包み「愛しみのチャルダッシュ」を披露。冒頭の4回転ルッツで転倒したものの、その後はそつなく演技をまとめました。
SP後、ミックスゾーンに現れた佐藤選手は、前日口にしたモチベーションについて、こう補足しました。
「練習に行っても今までみたいにあまりスイッチが入らなかった。言葉にするのは難しいのですが、昨シーズン(2025-26年)は追いかける立場だったので、自分の目標が明確でした。今シーズン(2026-27年)は目標を立てられずにいた。それがモチベーション(低下)につながっていたのかな……」
昨季、全日本選手権で金メダルを獲得し、ミラノ・コルティナ冬季五輪で銀メダルを胸に飾った鍵山優磨選手は1年間の休養に入りました。2024年から世界選手権を3連覇しているイリア・マリニン選手(米国)も同じく休養中です。追いかける選手の不在は、反骨心旺盛な佐藤選手にとって、望ましいものではありませんでした。
さらには、こうも。
「今シーズンは4回転アクセルをモチベーションに頑張っていこうと思っていたんですけども、その練習がなかなかできなくて……。4回転アクセルはまだまだ厳しいかな、と。そうなると一気にうーん(モチベーション低下)となり、そのまま来てしまった……」
「他のジャンプと違う」
4回転アクセルと言えば、佐藤選手の同郷の先輩・羽生結弦選手が2022年北京冬季五輪男子フリーでトライし、転倒したもののISU公認大会で初めて認定されました。その1年後のISU公認大会では、マリニン選手が世界選手権で初めて4回転アクセルを成功させました。
佐藤選手はミラノ・コルティナ五輪後から4回転アクセルへの挑戦を口にしていました。しかし、そのための練習は恐怖心との戦いだったといいます。
「4回転アクセルは他の4回転とは違ったジャンプ。ハーネス(補助器具)を付けて跳ぶことはできたのですが……。いざ、ハーネスを外してやってみよう、となった時の怖さがあります。ケガのリスクもあるので、恐怖心からなかなか(ジャンプの軸を)締められないまま、オフの練習期間が終わってしまった」
5日の男子フリー。佐藤選手は緑の衣装でフラメンコ調の「ポエタ」を滑りました。冒頭の4回転ルッツ、今度は空中でパンクし、2回転に。ここから佐藤選手はリカバリーします。本来、プログラムの3つ目に予定していた4回転+3回転のトーループを2つ目に持っていき、成功。3つ目は4回転フリップの予定でしたが、4回転ルッツに切り換え、難なく着氷しました。
佐藤選手の4回転ルッツは昨季、抜群の安定感を誇っていました。そのジャンプを2日続けてミスしたことは、プライドが許さなかったのでしょう。「本能的に“やるか!”みたいな感じで、(3つ目に)入れました。思い切りスピードを出して踏み切れた」。
フリー後、彼はこう語りました。
「男子、女子の皆さんの演技を見て、モチベーションがようやく上がってきました。かなり気持ちが高ぶってきたので、(現在の練習拠点の埼玉に)帰ってからは今まで以上にテンションを上げて練習ができると思います」
照準を定めるのは12月に大阪府で開催される「全日本」。そこでの金メダルが目標です。
(取材/大木雄貴、構成/二宮清純)

二宮清純





