2026年10月5日(月)更新
ホープ中田璃士、ルール改正の洗礼。初戦の悔しさを「リベンジの糧」に
7月に幕を開けたフィギュアスケートの2026-27シーズン。今季からフリースケーティング(フリー)におけるジャンプのルールが、国際スケート連盟(ISU)により一部変更されました。ジャンプが得意な選手は、ルール変更への対応に苦慮しています。
4回転が「0」に
フリーでのジャンプに関する大きな変更点は、以下の通りです。これまで7本だったジャンプ数が6本に、連続ジャンプは3回から2回に減少しました。さらに、回転数に関わらず、同じ種類のジャンプは最多で3回までに制限されました。
フリーの演技時間はこれまで通りですが、ジャンプの本数が減ります。これにより、間延びしない演技構成や、表現がより重要となってきます。採点ではスピンなどの基礎点が上がり、音楽に合わせて多彩でユニークな動きを組み合わせる「コレオスピン」という新要素が加わりました。
さる9月4日~6日にかけて、東京辰己アイスアリーナで行なわれた「木下グループ杯」で5位に終わった中田璃士選手(MFアカデミー、9月29日より西武グループ所属を発表)は、ルール改正の影響を受けました。彼は昨季までジュニアの舞台で、世界選手権を2連覇(2025年、2026年)している日本のホープです。満を持してのシニア国際大会の初戦は、すっきりしないものとなりました。
4日の男子ショートプログラム(SP)。中田選手は4回転+3回転トーループの連続ジャンプ、トリプルアクセルを着氷させ、首位発進しました。
迎えた翌日(5日)のフリー。中田選手はグレーを基調とした衣装に身を包み、「Gladeator」を披露しました。冒頭の4回転サルコーを成功させ、続いて4回転+3回転トーループもきれいに着氷しました。ここまでは順調でしたが、3本目のジャンプから狂いが生じました。
3本目は単独の4回転トーループの予定でしたが空中でパンクし、2回転トーループに。スピンのあとのジャンプシークエンスは構成を変更し、4回転トーループを選択しました。ジャンプ自体は成功したものの、既にトーループは3回跳んでいたため、単独の4回転の点数は「0」に。
「演技が疎かに」と佐藤駿
「演技中も、終わったあとも気が付いていなかった」と中田選手。キスアンドクライ(通称キスクラ)で待機し、スコアがモニターに表示されると、困惑の表情を浮かべました。「150点台は出ると思っていたので、146.67点は低いと思いました」。
ほとんどの選手にとって、木下グループ杯はルール改正後、初めての試合でした。慣れないルールに苦しんだのは、中田選手だけではありません。
2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪フィギュアスケート男子シングル銅メダリストの佐藤駿選手(エームサービス・明大)もそのひとり。冒頭の4回転ルッツがパンクし、わずか2回転になりました。修正力を発揮してリカバリーに成功したものの「それしか(リカバリーのために後に4回転ルッツを組み込むこと)頭になくて……。プログラムが疎かになっていた」と苦笑を浮かべていました。
最後に再び中田選手。
「木下グループ杯は表彰台を目指していたので、叶わなかったのは悔しい。しかし、きっとリベンジできるところがあるので、そこで勝てればいいかなと思います」
彼は、グランプリ(GP)シリーズのスケートカナダ(10月30日~11月1日)、NHK杯(11月27日~29日)にエントリーしています。「(スタミナを消費した)あそこで4回転を成功させたのは、良い意味で収穫」と前を向きました。シニア転向1年目でのGPファイナル進出を目指します。
(取材/大木雄貴、構成/二宮清純)

二宮清純





