2026年10月19日(月)更新
千葉百音、テーマは「表現の挑戦」。コンテンポラリーダンスとの新結合
日本スケート連盟は10月15日、都内で「2026/27 フィギュアスケート記者会見」を開きました。そこでは8名の有力選手が登壇し、今シーズンの意気込み、目標、テーマを各々が発表しました。2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪4位、同年世界選手権銀メダリストの千葉百音選手(木下グループ)は、「表現の挑戦」とフリップに書きました。元々、表現力に定評のある千葉選手が、これを今季のテーマに掲げた理由とは?
広がる「表現の幅」
千葉選手は、会見の席でこう語りました。
「フリープログラム(フリー)は、『月の光』です。私がいままでやってきたようなソフトでエレガントな曲調ですが、振り付けは複雑な動きのコンテンポラリーダンスのような体の動かし方。これらはいままでやってこなかった動きです。
演技をブラッシュアップしていくたびに自分の体も、新しい動きを覚えていくような感覚です。それらを4分間の演技にもしっかり詰め込めたら“表現の幅が少し広がり成長できるかな”と頑張っています」
会見終了後には囲み取材が設けられました。その場で、「コンテンポラリーダンスの要素を取り入れるために、取り組んでいることは?」と質問すると、彼女はこう答えました。
「定期的にコンテンポラリーダンスのレッスンをしてくださるバレエダンサーの方に、陸上で細かく上半身の動きを見ていただいています。本当に毎回、筋肉痛になります(笑)。表現面では、それを氷上でしっかりと100%、出し切れるように練習しています」
7月からスタートした新シーズン(2026/27)、千葉選手は程なくして練習中に右足首を捻挫し、約1カ月間、リンクでの練習を休みました。これほどの期間、リンクを離れたのは「初めてだった」と言います。それでも8月中旬から氷上練習を再開し、所属先が特別協賛をする9月上旬の「木下グループ杯」への出場を目指していましたが、大事をとり欠場しました。
千葉選手にとっての今季初戦は、10月2日から4日にかけて田中貴金属アイスアリーナ(東京辰己アイスアリーナ)で行なわれた「東京選手権」でした。
先駆者は羽生結弦
彼女は、2日のショートプログラム(SP)で77.31点を記録し、2位発進。そして迎えた翌日のフリースケーティング(フリー)。白を基調とした衣装でクロード・ドビュッシーの「月の光」を演じました。だが、3回転サルコー、3回転ループ、3回転ルッツと3つのジャンプで転倒。それ以外のジャンプもほとんどが、回転不足と判定されました。フリーは107.11点で、SPとの合計は184.42点。4位に終わりました。「SPで体力が削れたあと、フリーを完璧に滑り切るところがまだまだ足りなかった」と、声を落としました。
とはいえ、フリーで見せたスケーティングには、成長の跡が見受けられました。上半身を波打つようにうねらせる振り付けに、目が釘付けになりました。両足のつま先を外側に180度開き、膝を曲げて腰を落とすベスティスクワットイーグルという技では、腕をひらひらさせ、それはまるで「月の光」を浴び、夜空に照らし出された波のようでした。千葉選手が今季のテーマに掲げる「表現の挑戦」とは、これでしょうか。
フィギュアスケートとコンテンポラリーダンスの新結合(イノベーション)。この先駆者こそ誰であろう羽生結弦選手です。彼がこの4月、「“REALIVE(リアライブ)”an ICE STORY project」の第2部「Prequel(プリクエル): Before the WHITE」で披露した野心的な演技は、まさにその完成形でした。
千葉選手に話を戻しましょう。彼女の次戦は日本時間11月7日から9日(日本時間)にかけて、広東省南部の深圳で開催されるグランプリ(GP)シリーズ第3戦の中国杯です。「右足首は順調に治ってきて、練習も積めている」と千葉選手。中国杯への抱負を、こう述べました。
「中国杯ではフリーが勝負になると思います。あと3週間、自分ができることをすべてやり切る気持ちで中国杯に向けてしっかり準備をしていきたいと思います」
深圳の観客は、リンクを照らす「月の光」に魅了されるはずです。
(取材・写真/大木雄貴、構成/二宮清純)

二宮清純





