迷いながら答えを出したルーのお芝居|
『SAKAMOTO DAYS』陸少糖(ルー・シャオタン)

――『SAKAMOTO DAYS』では、天真爛漫で明るい陸少糖(ルー・シャオタン(以下、ルー))を演じられています。佐倉さんご自身は、ルーのことをどんなキャラだと捉えていますか?
佐倉:じつはルーを演じるにあたっては最初、どうすべきかとても迷っていたんです。それこそオーディションの段階から。
……というのも例えば『らんま1/2』のシャンプーや『銀魂』の神楽など、これまでの日本アニメのなかでも、ルーの立ち位置に近い存在は、いろいろな作品で登場していて、どうしてもその先人たちが作り上げてきたお芝居というのが、観る人の頭の中で、思い浮かんできてしまうと思ったんです。
そのときに、「『SAKAMOTO DAYS』で求められているのは、新しいイメージなのか、それとも先人たちが築き上げてきた王道で安心感のあるイメージなのか」ですごく悩みました。
テープオーディションだったので、スタッフさんの意見を聞くこともできず、自分の中で考えてどちらかの答えを見せるしかない、と。

©鈴木祐斗/集英社・SAKAMOTO DAYS製作委員会
――両方をやってみるわけにはいかないですもんね。どんなふうに考えて答えを出したんですか?
佐倉:最終的には、「私が観る側だったらどっちのお芝居を聞きたいだろう」と考えました。その結果、「『SAKAMOTO DAYS』という作品に登場する、陸少糖(ルー・シャオタン)というキャラクターならば、王道のお芝居で、私は聞きたい!」という結論にいたり、それでテープを作成したらオーディションに通ることができた、という感じでした。
――つまり、制作側と同じ方向感でのお芝居だったということですね。キャスト陣も錚々たる顔ぶれでしたね。
佐倉:本当ですよね。蓋を開けてみたら、主人公・坂本太郎の杉田智和さんをはじめ、全員が座長を張れるようなキャスト陣で……思わず見た瞬間、「アルマゲドンみたいに横一文字に並んでいくような布陣。こんなに真っ向勝負なの!?」と思ってしまったほどでした(笑)。
それも含めて、前回、お話しした『ダンダダン』がひねりにひねったトリッキーな作品だとしたら、『SAKAMOTO DAYS』は正面からぶつかっていく王道のジャンプ作品なんだろうな、と。

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取材・文/郡司 しう 撮影/小川 伸晃