シリーズ決断 トップランナーたちの哲学
シリーズ決断 トップランナーたちの哲学

格好悪くったって、自分たちが面白ければいい ?現代を疾走する若者の極私的サバイバル術?

文=毎日放送『情熱大陸』プロデューサー 福岡元啓

衝撃的なエアバンドが産まれたその訳とは…

高校時代から人を笑わせるのが大好きだった鬼龍院は、芸人として生きる道を目指すが、鳴かず飛ばずの存在だった。心機一転バンドを組んでみたが、ここでも大問題が生じる。なんとメンバーのギタリストの演奏が、あまりにヘタだったのだ。

芸人で失敗した当時の彼にとって、次のステージで躓くことは致命的。そう自覚していただろう。自分だけのことを考えれば、解散して演奏のうまいギタリストを入れる、という選択肢もあったに違いない。

だが鬼龍院のとった決断は、メンバーを変えないままで勝負していく、ということだった。

情をとるか非情をとるか。鬼龍院は、情をとった。そして苦肉の策の末に産まれたのが、楽器を演奏しない“エアバンド”だったのだ。以後、それがオリジナリティとして大輪の花を咲かせることとなる。

お笑いに挫折した後、唯一残された武器。彼は、「これが当たらなかったら、いまだにバイトして親に顔向けられずこそこそ実家でパソコンをいじって過ごしていたんじゃないかな…」とも振り返っている。

目の前にある選択はどちらが正解か分からない。良かったか悪かったかなんて、所詮あとからつけた理屈でしかない。ただ言えるのは、選んだ人生の賭けが当たるか当たらないかは、その日、その日を真剣に自分と向き合って生きていく積み重ねの結果だ、ということだろう。

形に捕われる必要はまったくない

他人と違ったことをやる。彼らの奇想天外なオリジナリティは、演奏形態だけに留まらなかった。

ゴールデンボンバーは、いわゆるメジャーデビュー(大手レコード会社からのリリース)を敢えてしていない。独立系のインディーズバンドといわれる彼らは、マネジメントからCDリリースまで、すべて自分たち内部のスタッフでまかなっている。潤沢な宣伝費はないが、他人が介在しない分、より自分と向き合うことができ、自分の想いが伝わりやすい表現形態になっているというわけだ。

インディーズで成功する????。これは、世間でインターネット・SNSが発達した時期とLINKしているように感じる。大きな組織を使わなくても、個人発信でそれなりに影響力を与えることができる時代になってきた。

別の見方をすればゴールデンボンバーの成功は時代を映し出す、一例ともいえる。
一昔前のミュージシャンたちはメジャーデビューが目標だった。でも、いまは、形式よりも自分の好きなことで、成果をだしてきっちり生きていくことのほうが大切なのだ。彼らだけでなく、才能を持った他業種の若者たちも昨今それを実証している。

【次ページ】 受け答えに垣間見えた現代の肖像……」

コラム作者プロフィール

福岡元啓

1974年 東京都出身
1998年 毎日放送入社
毎日放送『情熱大陸』(TBS系列で毎週日曜よる11時~11時30分に放送中)プロデューサー。
報道局時代に街頭募金の詐欺集団を追った「追跡! 謎の募金集団」や、日本百貨店協会が物産展の基準作りをするきっかけとなった「北海道物産展の偽業者を暴く」特集がギャラクシー賞に選出。2010年秋より『情熱大陸』5代目プロデューサーに就任し、東日本大震災直後のラジオパーソナリティを追った「小島慶子篇」、番組初の生放送に挑戦した「石巻日日新聞篇」でギャラクシー月間賞。水中表現家の「二木あい篇」でドイツ・ワールドメディアフェスティバル金賞受賞。「猪子寿之篇」でニューヨークフェスティバル2014入賞。著書に「情熱の伝え方」(双葉社)。

ドキュメンタリー番組『情熱大陸』は、スポーツ、演劇、音楽、学術など様々な分野の第一線で活躍する人物にスポットを当て、密着取材により魅力・素顔に迫る番組です。1998年に開始してから放送は800回を超え、今や国民的ドキュメンタリー番組になっています。

毎日放送『情熱大陸』
毎週日曜、よる11時~TBS系列にて放送中!!
//www.mbs.jp/jounetsu/

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