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▼翻訳をするにあたり日本語こそ大事だと仰っていますが、日本の言葉の引き出しを増やす意味で日頃している事があれば教えてください。

第1巻を訳す時に役に立ったのは小さい時に勉強したことですね。受験勉強にしろ何にしろ、ハーマイオニーのように必死で勉強したことがどこかに残っているんです。それが生きているだけで、日頃から特に気を付けていることは無いです。お子さんたちには、頭や心が柔らかいうちにしっかりと日本語を勉強することが、日本語だけでなく全ての勉強は役に立つと、アドバイスしたいと思います。勉強といっても、母親に「勉強しなさい」と言われてする勉強ではないんですね。自ら知識を吸収したいと思う気持ちが大事で、それが楽しいと思えるようになればいいなと思います。私は色々な分野の通訳をしましたので、それぞれの分野の本を広く読んだ事が役に立っているとも思います。最近は自分の時間が少し持てるようになったので、読みたくて読めなかった本を片っ端から読んでいます。また新しい世界が開けて、「この翻訳者のここが上手い」と、日本語の深さを感じながら読むことも出来ます。翻訳をやった余徳ですね。自分が翻訳をやったからこそ、色んな翻訳の苦労が分かり、その良さが分かります。沢山本を読むことですね。

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▼松岡さんの仕事における座右の銘は?

「一隅を照らすもの」という言葉です。自分のやっている事はちっぽけなものであるけれども、これがどこか一隅を照らせば良いなという気持ちでずっと翻訳を続けて来ました。最近読んだ本で、「一年の計は、穀を樹うるに如くは莫し。十年の計は、木を樹うるに如くは莫し。終身の計は、人を樹うるに如くは莫し。」というのがあって。長期的には人を育てるという事が大事なんだと。本を読んでもらうことも、そうなんですね。本を読むことで子供の心が育ち、大人の心が広く柔らかくなるなら、出版人として、翻訳者としてこれ以上の喜びはありません。

松岡佑子(まつおか ゆうこ)

プロフィール:1943年福島県生まれ。国際基督教大学卒。
国際会議の同時通訳者として長年にわたり活躍する。1992年にモントレー国際大学院大学の客員教授に就任すると同時に、同大学の大学院に入学。国際政治学の修士号を取得する。夫の死去にともない1997年に出版社である静山社の代表取締役に就任。翌年、『ハリー・ポッター』の版権を取得し、1999年から2008年にかけて全7巻の翻訳・出版を手がける。
『ハリー・ポッター』シリーズ以外には、『吟遊詩人ビードルの物語』『ハリー・ポッター裏話』(以上、J.K.ローリング著)「少年冒険家トム」シリーズ(イアン・ベック作)等の訳書がある。
現在はスイスに拠点を移し、翻訳業、静山社会長、ハリー・ポッターの講演やエッセイストとしても活躍中。

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