オリジナルインタビュー第五弾!佐野恵太選手が登場!
ダンスは封印?!新キャプテンとしての意気込みを語る。

岡山県出身。明治大学卒業後の2016年入団。右投左打。プロ1年目から開幕一軍入り。苦しんだ時期もあるものの、昨年からは代打の切り札として活躍し、チームになくてはならない存在として成長した25歳。

プロ4年目となる今シーズンも、逆転満塁サヨナラホームランを放つ絶好調ぶりを発揮。さらに今季からは、移籍した筒香嘉智選手に代わり、キャプテンに就任。筒香選手の残した伝統を引き継ぎつつ、持ち前の明るさを活かしたチームづくりに期待が寄せられています。

横浜・F・マリノス クラブシップキャプテンの栗原さん、元横浜DeNAベイスターズの荒波さんが、そんな佐野選手に、チームを劇的な勝利へと導いたホームランを打った時の裏話、今季好調の秘密やキャプテンへとしての意気込みを直撃しました。
(※本取材は2020年8月6日にリモート取材にて行われました。)

Interview Start!

狙っていなかった!?
あの逆転満塁サヨナラホームランはこうして生まれた!

栗原勇蔵

はじめまして。今日はよろしくお願いします!

佐野恵太選手

よろしくお願いします!

栗原勇蔵

早速ですが、7月24日の広島戦で、球団としては実に10年ぶりの逆転満塁サヨナラホームランを放った佐野選手。まずはホームランを打った時のことについてお聞きしたいです!

佐野恵太選手

あの打席は正直に言うと…。
自分のところに打順が回ってくる前に試合が決まって欲しい。前のバッターに、どうか打ってくれ!!って思っていました。笑

荒波翔

いやいや!試合観てたけど全然そんな感じじゃなかった!笑
「回ってこい!」「ここで決めたらおいしいだろ!」みたいな堂々とした感じに見えていたんだけど、内心はそんな感じだったんだ。

佐野恵太選手

はい。笑
でも、打席に向かう時にはもう切り替えて。打ちたいな!って。

荒波翔

あれは入ると思って打った?結構ギリギリのようにも見えたけど。

佐野恵太選手

外野がボールを追うのを諦めてたので、「あ、外野の頭は越えたのかな?」っていう感覚はあったんですけど、本当に入ってくれるとは!っていう感じです。

荒波翔

あの場面でホームランを打てるのはさすがだな、と。日頃の行いが良いんだね。笑
あれはスライダー狙いの球だったのかな?真っすぐを狙ってた?

佐野恵太選手

たぶん“抜けフォーク”だったのかな、と思います。チャンスだと思って思い切って反応しました。

荒波翔

いろいろなインタビュー記事なんかを読むと、今シーズンは1本目のホームランが出るまでめちゃめちゃ苦労したとか。

佐野恵太選手

そうですね。周りの人たちから「打ってない」って言われているのも聞こえてきていましたし。でも、それを1番わかっているのは自分で、1番ホームランが欲しかったのも自分。

打ってからはちょっと楽になりましたね。

荒波翔

タイプ的に佐野選手は、中距離で飛ばすというか、外野手の間を抜けていく延長にホームランがある、みたいなイメージ。狙いに行くと、力んでダメになっちゃったり、佐野選手の持ち味でもある逆方向とかが出なくなりそう。

佐野恵太選手

そうですね。僕はそっちのタイプ。これまでの野球人生でホームランを狙って打席に入ると良くない結果だったことが圧倒的に多いので…。そこは葛藤ですね。笑

でも最近は、その後の試合でもしっかり外野と外野の間を抜けていく強いスイングが何本かできているので、良かったな、と。

荒波翔

あの試合から気持ちが楽になったのか、ホームランがポンポン出始めてるよね。狙って打つより、しっかりスイングして打つあの感じが佐野選手にはすごく良さそう。

佐野恵太選手

そうですね。自分でホームランを打ちたいっていう気持ちもあるんですけど、チームの他のバッターがいっぱいホームランは打ってくれるので。笑

しっかりランナーを返したりだとか、確実に塁に出たり、っていうのも自分は大切にしていきたいです。

栗原勇蔵

逆転満塁サヨナラホームランなんて、漫画でしか見たことがないような展開。僕も野球が好きでこれまでたくさん試合を見てきましたけど、なかなか出るもんじゃない。あのホームランを打った瞬間ってどんな気持ちだったんですか?

佐野恵太選手

ちょっと出来過ぎだな、って。出来過ぎてて怖いくらい。それくらい衝撃が大きかったですね。

栗原勇蔵 佐野恵太

今季も絶好調な佐野選手。
その要因は?毎日のルーティーンは?

栗原勇蔵

先ほどのホームランだけでなく、今年はかなり調子が良さそうです。その要因はなんだと思いますか?

佐野恵太選手

試合が終わるごとに、しっかりとその日の反省と次の日の対策をしていることだと思います。

スタッフに試合中の出来、不出来をあげてもらってその日のうちに修正したり、次の日の試合のピッチャーをイメージしながら練習したり。

毎回反省して次の試合に臨むっていう流れが出来ているから、同じ失敗はしない。それが好調を維持できている要因かな、と思います。

荒波翔

自分を冷静に見れているっていうことだね。

ところで、もともと持っているバッティングの良さに加えて、去年から今年にかけてどんどん好調になっている気がするけど、プロに入った時と今とでバッティングの技法を変えていたりする?

佐野恵太選手

そうですね。実は打ち方はちょくちょく変えています。全く同じ形でやり続けると壁にぶつかるような気がしていて。相手(ピッチャー)も打たれないように攻めてくるようになりますし。

そこを補えるように1年1年、自分の中では課題を作ってつぶしていって…っていうのはありますね。今年も、これまでの試合の中ですでに課題ができていますし。日々よくなるように。現状維持じゃダメなんだ、って自分に言い聞かせています。

荒波翔

打法を大きく変えたりっていうよりは、プロになってからの経験で、意識や細かい部分を調整しながら今があるっていう感じ?

佐野恵太選手

そうですね。構え方やバットの使い方、体の使い方なんかは変えていますけど…それはちょっと詳しくは言えないです。笑

荒波翔

秘密にすんなよ!笑
じゃあ個人的に今度詳しく聞きます。笑

雨天時のダンスはどうなる?
キャプテンとして迎える初シーズンへの思い

栗原勇蔵

今年はキャプテンとして迎える初めてのシーズンですね。

佐野恵太選手

僕の中では180度、野球をやる感覚が変わりました。去年まではただただ自分の成績を追い求めていれば良かったんですけど、こういう立場になってやっぱりそれだけではダメだと。打てなかった時、調子が悪い時、チームが勝てなかった時のキャプテンの姿って、みんなの目に映りますし。

良くない時、上手くいかない時もその姿勢は常に見られていると思って大切にしています。

荒波翔

それは見ていてすごく感じる。石川(雄洋)選手や筒香(嘉智)選手、歴代のキャプテンもみんなそうだったけれど、キャプテンを経験するとすごく人として大きくなれる気がする。プレイ中も人間的な意味でも、視野が広がった感じ。

佐野恵太選手

ここまで周りを気にしてプレイするのは、プロになってからは初めての経験。でも本当、周りの人に助けられています。フォローしてくれているのも感じますし。

荒波翔

逆に気を使いすぎてしんどいな…なんて感じることは?

佐野恵太選手

それは…多少はありますけど。笑
でもキャプテンになれたからこそ経験できていることなので、この先の人生でもきっとプラスになるはず。

荒波翔

そのコメントがすでに成長の証だね!
もう踊ったり、“ちょけたり”はしないの?笑

佐野恵太選手

実は、“ちょけてもいい”って監督にも周りにも言われてはいて。
でもおふざけが過ぎるのは…よろしくないかと。笑

荒波翔

でもやっぱり、明るいのが佐野選手の色でしょ?

佐野恵太選手

確かにキャプテンになったからといって、チームメイトに接する態度だとかが急に変わるっていうのは、自分らしくはないですよね。だからこそ周りが変わらずに接してくれているのでありがたいです。だから、やりにくさを感じることって実はほとんどないんです。

荒波翔

じゃあ雨降ったり中断するときはまた踊ってくれたり?
※注 雨天中止時には佐野選手が球場でダンスパフォーマンスをファンに披露するのがおなじみ。

佐野恵太選手

いや…それは…雨降るな!中断するな!って思います。笑

荒波翔

出囃子が流れたらもう「佐野の出番だ!」ってみんなが思ってるから。やるしかないもんね。笑

荒波翔 梶谷隆幸

理想のキャプテン像はやっぱりあの選手!
実績でもプレイ外でもチームを牽引

栗原勇蔵

理想のキャプテン像や今後どんなキャプテンになっていきたいか、という意気込みを聞かせてください!

佐野恵太選手

プロ入りしてからずっと、筒香選手がキャプテンでいる姿を見てきました。筒香選手は、野球の実績が圧倒的なのはもちろん、野球に対する真摯な姿勢だったり、プレイ以外のところでもチームを引っ張ってくれる存在でした。

そういうキャプテン像を3年間見てきたので、僕も自分のプレイや野球に向き合う姿勢、プレイ以外でもチームを引っ張れるキャプテンになりたいですね。

荒波翔

筒香選手がお手本ということだね。

佐野恵太選手

そうですね。プロ1年目から3年間、筒香選手と一緒にプレイできたことは本当にいい経験でした。

来年は一桁を狙う?!
佐野選手の背番号に対する思いとは

栗原勇蔵

佐野選手の現在の背番号は44番。背番号に対する思いやこだわりはありますか?

佐野恵太選手

野球選手としてはもちろん、若い番号つけてみたいというのはあります。でもそこまで何番が良いとかこだわりは今のところないですね。今は44番といえば佐野だ!って言ってもらえるような選手を目指したいです。そしていつかは荒波さんみたいに若い番号を背負ってみたいですね。

荒波翔

来年どうする?今7番が空いてるけど。笑

佐野恵太選手

いやいや!そんな7番をいただけるっていう話がもしあるなら…でも僕でいいんですかね?

荒波翔

もしそういう話があれば、44番よりやっぱり7番がいい?
野球人的にはやっぱり一桁って格好いいしね。

佐野恵太選手

小さい番号にあこがれているっていうのはやっぱりありますよ。

荒波翔

今は鈴木尚典さんと一緒に仕事をしているんだけど、尚典さんも7番を背負って首位打者を取ったことのある人。横浜の左の打者って「横浜の7番」っていうイメージがあるからさ。

佐野選手に似合いそうな気がする。今のままやっていけば、自分で背番号を選べるようになると思うから、まずはしっかり頑張って!

目指すは優勝!
1日も早く満員のハマスタでプレイできる日を願って

栗原勇蔵

最後にファンの皆さんに対して一言、メッセージお願いします!

佐野恵太選手

今はなかなか球場に来られる人数にも制限がありますけど、1日でも早く満員のハマスタで野球をやりたいです。

僕たちは優勝を目指して頑張っているので、ぜひ一緒に戦いましょう!

荒波翔

本当に成長したな。ちょけてくれると思ったのに。笑

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