特集アメリカ大統領選2016

選挙結果分析
トランプ氏が打ち出す3つの政策とその影響

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2016年米大統領選挙
トランプ氏勝利に各国反応
(写真:REX FEATURES/アフロ)

トランプ大統領という新しいリーダーの誕生で米国はどのように変化するのでしょうか。またトランプ時代の米国は世界にどのような影響を与えることになるのでしょうか。

トランプ氏は当選したばかりであり、閣僚の人事を検討している最中ですので、具体的にどのような政策が立案されるのか現時点では何とも言えません。しかし、これまでのトランプ氏の発言などから考えると、トランプ氏が打ち出してくる可能性が高いのは、インフラ投資、保護貿易、安全保障体制の見直しの3つでしょう。

インフラ投資

選挙期間中、トランプ氏は総額で5000億ドル(約53兆円)を超えるインフラ投資の実施を主張しています。米国経済は欧州や日本など他の先進各国と比較すればいたって順調ですが、慢性的な需要不足に悩まされており、低金利からなかなか脱却できません。このタイミングで大規模なインフラ投資が行われれば経済に対してはプラスの効果があると考えられます。トランプ氏が当選した翌日の米国株式市場は大幅高となりましたが、これは巨額のインフラ投資に期待した買いが大きかったものと思われます。

保護貿易

しかしトランプ時代の経済がバラ色とは限りません。トランプ氏は何度もNAFTA(北米自由貿易協定)とTPP(環太平洋パートナーシップ)協定の見直しを口にしているからです。米国がTPPに不参加となった場合は日本への打撃は大きいですが、米国への影響はそれほどでもありません。問題はすでに米国経済の一部になっているNAFTAの方でしょう。もしトランプ氏が本当にNAFTAを見直すということになれば、米国経済は大きな打撃を受けることになります。

仮にNAFTAの見直しが限定的だったとしても、トランプ大統領は保護貿易主義的な政策を採用する可能性が少なくありません。米国は世界最大の消費国ですので、米国が保護貿易主義になってしまうと、日本や欧州、中国など、米国にモノやサービスを輸出している国は大変困った状態に陥ります。自動車メーカーなどに大きな影響が出てくるかもしれません。

安全保障

もうひとつ気になる要素は安全保障問題です。オバマ政権は、歴代政権の中でも中東政策に対してあまり関心を寄せなかった部類に入りますが、トランプ氏はさらに中東に対して関心が低いと言われます。米国はすでに世界最大の石油産出国であり、数字の上では中東からの石油に頼る必要がありません。トランプ氏が本当に中東問題から手を引くということになると、中東が今以上に不安定になる可能性は否定できません。

トランプ氏はまた、アジア太平洋地域の安全保障についても、これまでのスタンスを見直す可能性があります。日本に対して駐留経費の増額を求めるなど金銭的な要求にとどまれば日本国内の問題で済みますが、実際に在日米軍の規模縮小といった事態になれば、アジアにおけるパワーバランスは確実に変化するでしょう。そうなってくると、日本は中国やロシアからの影響をより強く受けることにもなりかねません。

(The Capital Tribune Japan)

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