2026年10月28日(水)更新

ドジャース、4連敗でWS3連覇逃す
来シーズンの課題は「高齢化」対策

 2024年、25年に続くワールドシリーズ3連覇を目指したロサンゼルス・ドジャースですが、ナ・リーグ優勝決定シリーズでミルウォーキー・ブルワーズに4連敗(スイープ)を喫し、26年のシーズンを終えました。

ブルワーズの「若さ」

 ドジャースとブルワーズは2025年のリーグ優勝決定シリーズでも対戦し、ドジャースがスイープでブルワーズを退けています。レギュラーシーズンの戦績はブルワーズの6戦全勝だっただけに、ブルワーズは短期決戦の恐ろしさを思い知ったことでしょう。

 パット・マーフィー監督3シーズン目の今季、ブルワーズは103勝59敗という好成績でナ・リーグ中地区を制します。この勝ち星は今季MLB最多でした。

 果たしてブルワーズのリベンジなるか、それともドジャースが返り討ちにするか。注目を集めた優勝決定シリーズですが、まさかここまで一方的になるとは……。ドジャースの敗因のひとつとして挙げられたのがチームの高齢化です。

 大谷翔平選手が、今年のポストシーズンゲーム初となるホームラン(3ラン)を2回に放つなど、ゲームを優勢に進めた第4戦も、中盤以降じりじりと追い上げられ、終わってみれば4対6。このゲームにスタメン出場した9人の野手のうち、ドジャースは大谷選手(32歳)、ムーキー・ベッツ選手(34歳)、フレディ・フリーマン選手(37歳)、ウィル・スミス捕手(31歳)、テオスカー・ヘルナンデス選手(34歳)、ミゲル・ロハス選手(37歳)、エンリケ・ヘルナンデス選手(35歳)と30歳以上の選手が7人もいました。

 翻ってブルワーズで30歳以上の選手は、ジェイク・バウアーズ選手(31歳)、クリスチャン・イエリッチ選手(34歳)の2人だけでした。

 MLBのポストシーズンゲームは、ワールドシリーズ制覇までに最大で22試合もの過酷な戦いを強いられる長丁場です。162試合のレギュラーシーズンを戦い抜いた疲労は、心身両面に重くのしかかります。

 2017年のヒューストン・アストロズとのポストシーズンゲームで、ワールドシリーズの全7試合を含む14試合に登板したセットアッパーのブランドン・モロー投手は「Guys are fatigued, but not tired」という有名なセリフを残しました。「皆、消耗しているがへばってはいない!」ということです。もっとフランクに言えば、「体はボロボロでも、心は折れてないぞ!」ということでしょう。要するに、それだけきついということです。

4試合で盗塁0

 話を今年のリーグ優勝決定シリーズに戻しましょう。ブルワーズの「若さ」を象徴したのが、第4戦、2対4と2点を追う5回表の攻撃でした。

 まず1死後、四球で出塁したサル・フリリック選手が二盗を決めます。続く9番デービッド・ハミルトン選手のタイムリーで3対4。2死後、ハミルトン選手も二盗。2人の打者が歩いて満塁にした後、4番のバウアーズ選手が押し出し四球で4対4の同点に追い付きました。

 思い出したのは、昨年7月、イチローさんがMLB殿堂入り式典前日の記者会見で語った次の言葉です。
「今のMLBは頭を使わなければいけない。考える野球に戻りつつある。ブルワーズは一番強いチーム」

 さすがイチローさん、先見の明があったということでしょう。

 蛇足ですが、少ない投資で最大のリターンを得る「マネー・ボール」で有名になったオークランド・アスレチックスは2000年、01年、02年、03年と4年連続でポストシーズンゲームにコマを進めながら、いずれも地区シリーズで敗退し、リーグ優勝決定シリーズにすら進めませんでした。

 その理由のひとつとして、ビリー・ビーンGMがリスクの割にリターンの少ない盗塁を嫌ったことが挙げられます。彼が攻撃面で重視したのは出塁率と長打率でした。

 セイバーメトリクスに基づく“ビーン流”は、162試合のレギュラーシーズンにおいては、効果を発揮しました。しかし、短期決戦においては、時に奇襲や奇策も必要です。接戦になればなるほど相手の意表を突く攻撃が、大きくものをいいます。

 リーグ優勝決定シリーズ。盗塁数に限っていえば、ブルワーズ5(失敗2)に対し、ドジャースは0(失敗0)。もちろん単純に盗塁が多ければいいというものではありません。ただ両チームの勢いが、そのままこの数字に表れていたと感じるのは私だけではないでしょう。

 来シーズンに向け、ドジャースは「高齢化」対策に取り組む必要がありそうです。

ドジャース(大谷翔平・山本由伸・佐々木朗希所属)の放送予定はこちら

二宮清純

二宮清純 スポーツジャーナリスト

1960年、愛媛県生まれ。
スポーツ紙や流通紙の記者を経てフリーのスポーツジャーナリストとして独立。オリンピック・パラリンピック、サッカーW杯、ラグビーW杯、メジャーリーグ、ボクシングなど国内外で幅広い取材活動を展開。明治大学大学院博士後期課程修了・博士(学術)。広島大学特別招聘教授。大正大学地域構想研究所客員教授。「スポーツ名勝負物語」「勝者の思考法」など著書多数。