インタビュー

声優・阿部敦 ロングインタビュー #3

ATSUSHI ABE LONGINTERVIEW

異世界転生からみんなの願望が見えてくる

声優・阿部敦

――ここ数年、異世界転生をテーマにした作品がブームになっていますが、『異世界のんびり農家』『異世界居酒屋~古都アイテーリアの居酒屋のぶ~』(以下『異世界居酒屋「のぶ」』)と、どちらも異世界転生系のなかではめずらしく、わりとほのぼのとしたタイプで主要キャラとしてご出演されていますよね。

阿部:いわゆる異世界に転生してチート能力を手に入れて……というのが異世界転生系のセオリーだとすると、確かに僕が出てるゆったり系は、異世界転生もののなかでも変わり種な感じがしますよね(笑)。

でもそのくらい、やっぱり異世界転生ものが流行ってるということなんでしょうね。だからこそ、僕がやっているのんびり系だったり、“悪役令嬢”みたいな変わり種がたくさん生まれた。

異世界転生をベースにしながら、みんなの願望が形になっているのを見ると、世相が見えてくるみたいで面白いなと思います。

異世界のんびり農家

――『異世界のんびり農家』なんて、「その設定があったか!」というような感じですよね(笑)。

阿部:そうですね。とにかくあの作品は「喋ったなぁ」という記憶があります。ナレーションも自分がやるので、ナレーションの声に自分のセリフをかぶせるわ、セリフの合間にはため息もつくわで、「あれ、俺いつ息を吸えばいいんだろう?」って(笑)。

完全にセリフとナレーションがかぶってくれるなら別録りになるんですけど、いけるところは一回で録っちゃうので。1~2話あたりは登場人物もいないので本当にやばかった……3~4話ぐらいから登場人物が増えて、ぐっと気持ちが楽になった気がします。

――それはきつい(笑)。作品として、どんな魅力を感じていますか?

阿部:個人的には、『異世界のんびり農家』はめちゃくちゃいい作品だと思っているんですよね。

火楽の設定を細かく見ると、転移前の人生はけっこう壮絶で。運も悪いし、病気をわずらい、10年ほどの闘病生活をした結果、若くして死んでしまう。そんな人生を送っていたにもかかわらず、彼の中には負の感情とか、世の中に対する恨みみたいなものが一切なくて。

多分、病室では男性アイドルが村づくりをする番組とかが好きで、毎週観ながら「いいなぁ」と思っていたんじゃないかな(笑)。それで転移して、自分がいいなと思っていたことをやり続けて、そこに人との出会いもある。微笑ましいし、元々は金曜日の深夜に放送していたので、一週間の仕事終わりに観るのに、すごくいい作品だったんじゃないかなという気がします。

異世界のんびり農家

――確かに、癒される感じありますよね。何かアフレコ時の思い出とかはありますか?

阿部:初めてワイン作りをするシーンでは、北欧のあたりのすごく難しい民族の歌を、僕以外の出演者の方が歌ってくれたり、現場でも癒されてましたね(笑)。共演した女性声優の方々とも仲良くなって、カレーを作る回を録り終わったときには、みんなで「カレー食べに行きたい!」ってなって、カレー食べに行ったり(笑)。

そうそう、『異世界居酒屋「のぶ」』のときもそんな感じで共演者やスタッフとよく食べに行ってました。

異世界居酒屋 古都アイテーリアの居酒屋

――『異世界居酒屋「のぶ」』なんて毎回、食欲刺激されっぱなしじゃないですか(笑)。

阿部:そうなんですよ。出てくる居酒屋めしが、またうまそうなんですよね。キスの天ぷら、筑前煮、蓮根の串かつ、あとハモのお吸い物とか。鰻重が出てきた回は、ちゃんと鰻重食べに行きましたしね(笑)。

あの居酒屋のぶが、ちょうど僕が「こういう居酒屋、あったらいいな!」と思うお店の雰囲気にドンピシャで。全然、おしゃれじゃなくて年季が入っててもいいから、手作りの温かい料理とか、お味噌汁を出してくれる、みたいな。

ああいうお店が、近所にあったらいいなと思いますね。

――確かに、近所にあったら最高ですね……!『異世界居酒屋「のぶ」』のときの、アフレコの思い出はありますか?

阿部:『異世界居酒屋「のぶ」』だとビールが頻繁に出てきて、一気飲みして「かーっ!」ってうなるシーンがあるんですけど、あれを美味しそうに表現するのが結構難しくて、じつは自分的には頑張ってやっていたシーンですね。

なにげに、「ゴクッ!ゴクッ!ゴクッ!」って喉を鳴らすのを、だんだん高い音にしていたり(笑)。

異世界居酒屋 古都アイテーリアの居酒屋

――あぁ……あれ観るたびに、ビールが飲みたくなるから困っていました(笑)

阿部:そういってもらえるとありがたいです(笑)。

知らないことにチャレンジしていく人でありたい

声優・阿部敦

――声優としては、今後どんな存在であり続けたいですか?

阿部:いろいろなことに前向きにチャレンジしていける人でありたいですね。

自分がやったことないこと、人から提案される新しいことに対して、「やったことないので、やめときます……」ではなく、「面白そうなのでとりあえずやってみます!」と言える人。色々なことにフットワーク軽くチャレンジしてたら、また別のことが繋がって、見える景色が変わっていくじゃないですか。

逆に、守りに入るのってすごく簡単なんですよ。やらない理由なんていくらでも見つかるから。でも、僕は好奇心が人一倍強いタイプなので、できることばっかりやる人生なんて、つまらないと思っちゃうんですよね。

それに、今自分が声優としてできることだって、最初はやったことすらなかったわけじゃないですか。それを何か一つ身につけたからといって、ある日突然、「もう初めてのことはやりません!」と言って、シャットアウトするのも変な話だとも思うし。

――確かに!すごく阿部さんらしく、自分に素直な仕事への向き合い方だなと思います。逆に、声優以外でチャレンジしてみたいことはありますか?

阿部:今、ちょうどKENNくんと『阿部敦とKENNの今日はべっけんです!!』という番組もやっているのですが、そこでも今まで触れてこなかったような知らないことを、たくさん経験させてもらってるんです。

「大人の社会科見学」といって食品メーカーさんを訪れてみたり、自分たちで料理をつくってみたり。世の中には、まだまだやったことないことがたくさんあって、多分、死ぬまでには全部やりきるのは無理だと思います。そう考えると、興味あることにはこれからもどんどん触れていきたいなと思いますね。

直近で言えば、#1の冒頭でお話したカメラや写真のことも、今後もっと深く知りたい分野だなと思います。

――なるべくカメラを持ち歩いている、とお話していましたよね。

阿部:カメラを使うと「この瞬間、この角度から、この場所じゃなければ映らなかった景色」が切り取れるじゃないですか。

例えば、東京には人がたくさんいて、大通りでは車もひっきりなしに行き来してるけど、ある瞬間、撮影したら人も車もいない大通りの景色が撮影できる。一瞬だけど確かにあったその景色に、なんか少し感動するんですよね。

僕は絵が描けないので、単純にそれがボタン一つで簡単に写して残せることもすごいなと思いますし。

だけど僕自身、まだまだカメラや写真のことに関して知らないことも多い。自分一人では調べたり、勉強をしているつもりではあるんですけど、一度、プロの方にちゃんと教わってみたいなとは思うんです。

——どなたかに弟子入りする的な?!

阿部:そうなんです。それこそ、師匠みたいな方がいたほうがいいなと。とはいえ、あくまで趣味の範囲で楽しみたい気持ちもあるので、厳しい方に教わるのは嫌だなとも思ったりもしますが(笑)。

声優・阿部敦

――今後、写真を撮り続けるならばすごくいい経験になりそうですよね。最後に、阿部さんから声優業界を目指す後輩の方々へメッセージをお願いします!

阿部:技術的なことは、僕もまだまだ精進している最中で、偉そうなことは言えない立場なので割愛するとして、日々全力で喜怒哀楽をやれているかというのが、この職業では響いてくると思うんですよね。

技術は後からどうとでもなります。でも、その奥にある感情。それって本当に宝石の原石と同じなんですよ。粗野な石に見えても中に原石が埋まっていればカットをすることで、つまり技術を磨くことで、その宝石の姿が見えてくる。

でも、そもそもその原石を持っていなければ、いくらカットしても綺麗な宝石にはならない。その原石をつくる作業というのが、日常をどれだけ一生懸命生きているかにかかっていると思うんです。

それは単に「自分に厳しい」とか、そういうことではなくて。友達とバカやってるとき、何かに打ち込んでるとき、誰かと喜びを分かち合うとき、理不尽なことに怒るとき。そういう全部に対して、全力で日々を送ってほしいということです。

その日々の積み重ねが、自分の中の原石になってくる。

若い頃の、多感でいられる時間はあとあとになって取り戻せるものじゃない。後々、年齢を重ねて技術が身についたとき、その宝石が出てきて「若いうちにそういう生き方をしておいて、よかったな」と思えるように、毎日を本気で生きてほしいなと思います。

取材・文/郡司 しう 撮影/小川 伸晃

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