声優・梶裕貴
ロングインタビュー #1
「戦え」に込められた思い。
いまだから言える『進撃の巨人』のあの名場面、
名セリフを振り返る
2024年11月8日更新
KAZIINT
ERVIEW
『進撃の巨人』のエレン・イェーガーをはじめ、『七つの大罪』のメリオダス、『僕のヒーローアカデミア』の轟焦凍、『鬼滅の刃』の錆兎など、数々のヒット作で主役や人気キャラを演じる梶裕貴さん。その透明感ある声と繊細さながらも力強い演技は、キャラの魅力を深く引き出し、その存在に命を吹き込みます。その圧倒的なパフォーマンス力をもつ梶さんが大事にしているのが、挑戦心を持ち続けること。未来を見据え、つねに新しいことに挑戦し続ける自身のことを「つねにファイティングポーズを取っている」と語ります。このインタビューでは全3回にわたり、梶裕貴さんの出演作品に対する思いや、声優としての歩みをひもときながら、その人となりに迫ります。
自分にしか挑戦できないことを求めていたい
――今日は、インタビューよろしくお願いいたします。
梶:よろしくお願いします。
――お忙しくされていると思うんですが、休日はどんなリフレッシュをされているんですか?
梶:リフレッシュという意味では、整体に行って体のメンテナンスをするくらいで、翌日以降の仕事の準備をしていると、それだけで「一日が終わっちゃった!」という感じです。子育てもありますからね。
もちろん、子供と触れ合う時間も癒しではあるんですが……もうすぐ2歳になる娘は、かわいさが増す一方、少しずつ「イヤイヤ期」が始まろうというころ。愛しさと大変さが常に同居している感じです(笑)。
――めっちゃわかります。イヤイヤ期が始まる2歳のころって、「魔の2歳児」とか呼ばれたりしますしね(笑)。プライベートで仲良くされている声優さんはいらっしゃるんですか?
梶:そんな調子なので、なかなか声優同士で出かけたりも最近は少ないですかね。夜に外出すると家が大変なので。まあ元々、そんなに遊びに行くタイプでもないですし、たまにある、作品の打ち上げぐらいでしょうか。でも先日、原作完結のタイミングで『僕のヒーローアカデミア』の堀越耕平先生と、声優の山下大輝くん、岡本信彦くんと4人でご飯に行きました!そうしたら、サプライズで誕生日もお祝いしてくれて。すごく嬉しかったですね。久しぶりの外食、楽しみました!
昔でいえば、それこそ岡本くんは歳も近いし、現場で一緒になることも多かったので、お互い時間が合えばご飯に行ってましたね。ふたりとも散歩が好きなので、アフレコが終わったあとに1〜2時間かけて歩いて帰ったりもしていました(笑)。
あとは、先輩の下野紘さん。新人時代、ラジオ番組のパーソナリティを一緒にやっていたので、そのころはもう毎週のように飲みに行ってましたね。
いまじゃ、なかなか時間が合わなくて、プライベートで遊んだりは難しいですけど、岡本くんや下野さん、あと宮野真守さんとは、現場で会えば、当時からの関係値がずっと続いているなぁと感じますね。
――ありがとうございます。先日、9月3日に39歳の誕生日を迎えられました梶さんですが、当日、Xでの投稿には「飢え続けている」という言葉もありました。その言葉の真意をお聞きしてもいいですか?
梶:ありがとうございます。そうですね……貪欲に面白いこと、新しいこと、自分にしかチャレンジできないことを求めていたいな、という気持ちを「飢え続けている」という言葉に込めたつもりです。
自分って、つねにファイティングポーズを取っている人間だと思うんですよ。声優業に対してはもちろんそうだし、自分がプロデュースする音声AIプロジェクト【梵フラクタル】もそのひとつだと思っています。
いま自分は、これからの10年間を考えるステップにいると思うんです。20年間声優をやってきたいまだからこそ、ようやく見えてきた“自分にしかやれないこと”があると思うので、それを貪欲に楽しんでいきたいなという気持ちですね。
39歳になりました。
— 梶裕貴 Yuki Kaji (@KAJI__OFFICIAL) September 2, 2024
三十代最後の一年、謳歌します!
常に今が一番幸せで、満たされていると思える人生に。
決めるのは自分!
でも同時に、飢え続けてもいます。
自分らしい。笑
まだまだ!もっともっと!ここから!
歳を取るのが楽しいです。
今後とも、梶裕貴の応援をよろしくお願いします。
――「これからの10年間を考えるステップ」、具体的にはどんなことを考えているんでしょうか。
梶:最強すぎる大先輩方が現役バリバリで大活躍されている業界なので、まだまだ自分はひよっこだと思っています。だけど同時に、年齢的なことを考えても、そろそろ自分自身の集大成に向けて準備をしていかなければ、それを完遂することはできないのかなって。
キャリアとしてまだまだ青い部分があることは自覚しつつも、同時に、もう焦りはじめなきゃいけないタイミングなんだと自分に言い聞かせています。とはいえ、ありがたいことに、ここまでの人生を悔いなく戦ってこられたという自負もあるので、40代を迎えるにあたっての、変な焦りやネガティブな気持ちはまったくありません。そういった意味では、いい歳の重ね方ができていたんじゃないかなと思っています。