声優・小林裕介
ロングインタビュー #1
あの逆転劇には中毒性がある。
『Re:ゼロから始める異世界生活』8年間を振り返って
2024年10月18日更新
KOBAYASHI
INTERVIEW
『Re:ゼロから始める異世界生活』のナツキ・スバル役や、『Dr.STONE』の石神千空役、『アルスラーン戦記』のアルスラーン役、『炎炎ノ消防隊』のアーサー・ボイル役など、数々の人気作品で主人公や人気キャラクターを演じてきた声優・小林裕介さん。今でこそキャラの個性を的確にとらえた演技力、豊かな感情表現で幅広く活躍する小林さんですが、下積み時代にはなかなかオーディションに受からず苦労も多かったと語ります。そんな小林さんの転換点になったのは、自身がどん底だったときにテレビで見かけた同期の活躍でした。このインタビューでは全3回にわたり、小林裕介さんの出演作品に対する思いや、キャラクターへの向き合い方をひもときながら、その人となりに迫ります。
グルメな日帰り旅行でリフレッシュ
撮影時、特技のヨーヨーを披露してくれた小林さん。サービス精神がすごい!
――小林さんのテクニック、すごいですね!僕もハイパーヨーヨーがドンピシャだった世代なので、当時の記憶が少し蘇ってきました……!
小林:同世代なんですね!僕も当時流行っていたときにも仲の良い友達の影響で始めたんですが、当時のヨーヨーはさすがに手元にはなくて。
あの頃は『ファイヤーボール』を愛用していましたね。
――『ファイヤーボール』懐かしい! ちなみに何がきっかけで再燃したんですか?
小林:3〜4年前かな、声優の土岐隼一くんが僕のWikipediaか何かを見て、ヨーヨーが好きだったことを知ってくれたみたいで「裕介さん、これプレゼントです!」って言って最近のヨーヨーをくれたんですよ。それがきっかけでまたハマるようになって。
渋谷に「ヨーヨーストア リワインド渋谷店」というお店があるんですけど、たまに土岐くんや梅田修一朗くんと一緒にそこでお酒を飲みながらヨーヨーをやる会なんかをやっています。
――楽しそうですね!結構プライベートでもほかの声優さんと遊ばれたりするんですか?
小林:そうですね。断られると傷ついちゃうのであまり自分から誘うというのはしないんですが(笑)。土岐くんはたまに飲みに行ったり、あとは松岡禎丞くん、斉藤壮馬くん、笠間淳くんとかかなぁ。最近はみんな忙しくて、なかなか声がかけられなくなっちゃいましたけどね。
自分から誘いやすい方で言うと、上村祐翔くんですね! 一緒にラジオもやっていましたし、彼はスイーツが好きでお互い抹茶系が好きなので、抹茶スイーツのビュッフェに一緒に行ったりしています。あとはパンも好きなので行きたいパン屋さんがあるときは「じゃあ車出して行こうか」っていう感じで。
――上村祐翔さんとの車でのスイーツデート、素敵です。休日はどんな過ごし方をされているんですか?
小林:疲れ具合にもよるけど、本当に何もしないときはずっとベッドの上にいますね(笑)。
次の日の声を気にしないでいいときはお酒も飲めるのでふらっと日帰りで旅行に行きます。
――めちゃくちゃフットワーク軽いですね!いつ頃からですか?
小林:おととしくらいからかな……食べるのが好きなので、美味しいものがある場所を選ぶんですよ。ふらっと北海道に行って海鮮を食べたり、広島に行って牡蠣を食べたり、最近だと栃木に行って餃子を食べたり。
普段は車で移動するんですけど、そういうときはお酒も飲みたいので電車に乗って。朝出発してお昼くらいに着いて、ご飯を食べてお酒を飲んで帰ってくる、みたいな過ごし方をしています。
お酒も飲めないときには車でふらっと海を眺めに行ったり。何もせず、ただ1時間くらいずっと海を眺めて癒されています(笑)。
『Re:ゼロから始める異世界生活』との出会い
――今回のインタビューでは、秋から第3期が始まる『Re:ゼロから始める異世界生活』(以下、『Re:ゼロ』)について、深く掘り下げていきたいなと思っています!まずは小林さんと同作品との出会いからお聞きできますか?
小林:『Re:ゼロ』を知ったのはオーディションの時だったんですが、その時は僕自身がデビュー3年目くらいで、ちょうど仕事への向き合い方が少し変わり始めた頃でした。
それまでは『ウィッチクラフトワークス』や『アルスラーン戦記』などでも主役をやってはいたんですが、守られる側にいるんだけど少しずつ成長していくような、どちらかといえば線が細くて顔立ちが綺麗なタイプのキャラが多かったんです。
でも『Re:ゼロ』のスバルって目つきも言葉遣いも悪いしお調子者だし、いっつも全力だし。なんとなく自分が演じられるキャラクターのレパートリーには入っていなくて。なんなら本命は、もう一役受けていたラインハルトのほうだったんですよ(笑)。
――そうだったんですか?! スバルのイメージがありすぎるのですごく意外です。
小林:それでスバルのオーディションを受けたときに、オーディション用にもらったセリフを読んでもいまいち意味がわからなくて(笑)。
「異世界に召喚されたお調子者で〜」みたいなキャラ紹介とは裏腹に、大爆笑するし、大号泣するし、大激怒するし、めちゃくちゃ重たいセリフまであって(笑)。
――確かにスバルって、そう聞くと面食らってしまいそうなキャラですね(笑)。
小林:そうそう(笑)。で、訳がわからなすぎて原作を読んでみたら「なんだ、このヤバイ作品は!」と衝撃が走って。
そこでスバルのことが少しだけわかって、とにかく感情を120%爆発させるような演技をしようと。それで、スタジオオーディションに臨んだんです。
そしたら、スタジオを出た瞬間に持っていた水を落とすくらいの酸欠になってました。
――そこまでの全力で……!
小林:あそこまで全力でやったことは当時なくて、結果的に、スバルのほうでオーディションは合格することができました。でも、あとあと監督に理由を聞いたら「そこはかとなく漂う、ゲスな感じが決め手でした」と(笑)。
自分にそんなものがあると思ってもみなかったので、周りから見てそう感じる部分があるなら、それは自分の中に眠っているものなんだろうなと思い、とにかく全力でスバルに挑もうと思いました。