インタビュー

声優・小西克幸

声優・小西克幸
ロングインタビュー #3

頑張れる機会は、自分一人では作れない。
だからこそ、与えられたものを精一杯やりきる

2025年5月23日更新

KATSUYUKI
KONISHI
INTERVIEW

『鬼滅の刃』宇髄天元、『天元突破グレンラガン』カミナ、『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』ディアボロなど、深い役作りと確かな演技力で多くのキャラクターに命を吹き込む声優・小西克幸さん。ボーイスカウトやサッカーに励みながらもアニメやマンガへの情熱を秘めていた少年は、高校時代に友人から「声優」という存在を教えてもらったことがきっかけで、声の世界へと走り出します。そして今は、声優の仕事が「楽しくてしょうがない」と話す小西克幸さん。このインタビューでは、全3回にわたって小西克幸さんの人となりと、その仕事への向き合い方に迫ります。

若手が10やるなら、15か20やらなきゃいけない

声優・小西克幸

――お忙しいとは思いますが、お休みの日はどんなふうにリフレッシュされているのでしょうか?

小西:アフレコがない日でも台本を読んだりして、仕事に時間を使うことがほとんど。リフレッシュのために時間を使うことはなくて、時間さえあれば台本や原作を読んでいます。

家にいるときも、ほぼ仕事に関することしかしてないんじゃないかな。逆に、今は「仕事することがリフレッシュ」と言えるかもしれません。

――仕事のストレスは仕事で発散する感じでしょうか?

小西:いや、とくに仕事でストレスを感じることもないんですよね。ストレスって、自分の捉え方次第で生まれるものだと思っていて「ストレスに感じなくていいことを、ストレスにしていること」もあると思うんですよ。

そういう意味では、僕はあまり細かなことを気にしないタイプなので、ストレスを感じづらいのかもしれません。逆に、仕事がないほうがストレスが溜まっていく気がする(笑)。

でも、それすら自分次第なんですよね。個人的に「仕事がない」っていうのは、自分に価値を感じてもらえてないのかなと感じてしまうんですよね。だから、この仕事を長く続けていくだけでも、やっぱり大変なことだなと常日頃感じています。

――そんな小西さんにとっての座右の銘をお聞きしてもいいですか?

小西:「何でも楽しく」です。やっぱりそれが一番だと思います。

プライベートでも仕事でもストレスを溜め込まず、自分なりに楽しんだら勝ちです(笑)

――楽しく仕事を続けるためには、どんなことが必要だと思いますか?

小西:一番は、どんな作品であれ、どんなキャラクターであれ、ちゃんと向き合ってやること。「忙しい」「体調が悪い」は言い訳になりませんから。

例えば、「小西克幸が今日、体調が悪い」ということは、オクジーや高順、宇髄天元には、まったく関係ないことじゃないですか。だから、気分やコンディションにお芝居が左右されてしまわないよう、自己管理も含めてちゃんと向き合わなければいけないんです。

――とはいえ人間ですし、モチベーションが下がってしまうようなことはないですか?

小西:もしかしたら「1ヶ月間、仕事がまったくない」という状況になってしまったら、少しはモチベーションが下がるかもしれないですけど。

ただ僕らの仕事って、数日後、1ヶ月後に仕事があればその準備にはいくらでも時間がかけられますから。スタジオでマイク前に立つだけが仕事の時間ではないし、家にいたっていくらでも仕事に対して向き合うことはできる。

そういう意味では今のところ、モチベーションが下がることはないのかなと思います。

――めちゃくちゃストイックな仕事への姿勢がうかがえるようです。声優になってから、そういう過ごし方が当たり前だったんでしょうか?

小西:ここまで仕事のことばかりしているのは、ここ数年かなぁ。

これは僕が声優として年齢を重ねてきて感じることですけど、この先、何年声優が続けられるか、たくさんの声優がいるなかで自分が生き残っていけるかを考えたときに、ほかの人と同じ量だけしかやっていなかったら、年齢を重ねた分だけ、きっと自分はマイナスだと思うんです。

――マイナス、というと?

小西:純粋に、声優として選んでいただける機会が減るだろうな、ということです。

例えば、20代前半の子が10やるところ、52歳の僕が同じく10だけしかやらなかったら、きっとスタッフさんは、未来のことも考えて20代前半の子を選ぶじゃないですか。

それなら僕は10じゃ足りない。15や20までやらなきゃ選んでもらえない。逆に上を見れば、先輩方はそういう方ばかりが残っているわけで、その方々はまだバリバリの現役。やっぱり10やるだけじゃ、どう考えても生き残れないんじゃないかと思うんです。

どんな失敗も、経験に変えて前に進む

声優・小西克幸

――歳を重ねれば重ねるほど、むしろ努力を増やしていかなければいけない、と。

小西:もちろん、声優だけじゃなくてどんな仕事でも同じだと思うんですけどね。

もしこれが、超売れっ子の声優で毎日過密なスケジュールで「知らず知らず鍛えられている」みたいな仕事ぶりならいいですけど、僕はけっしてそんな生活ではないので、自分に与えられたものに必死に向き合うしかできない。

人間、頑張れる機会って自分で作ろうと思ったって作れないじゃないですか。誰かが用意してくれたり、環境が整って初めて頑張れる機会がある。それなら、頑張れる環境がある今、頑張らないと未来はないと思います。

だからこそ、できる限り多くの時間をそこに費やすのは、自分の中ではごく自然なことなのかなって。それが将来、自分が生き残るために必要だから、やっているんだと思います。

――「頑張れる機会は自分では作れない」って本当そうですね。今後、どんな声優であり続けたいと思っていますか?

小西:何歳になっても、こうして声優として仕事ができていたらいいなと思います。「どんな声優になりたい」と言えるほど、余裕があるわけじゃないですし。

今現在、第一線で活躍している先輩方の年齢に自分がなったとき、自分が同じような仕事ができているかどうかは何も保証がないから、今のうちから追いつけ、追い越せという気持ちでやっておかないとなと思います。

これ(声優の仕事)がなくなっちゃったら、もう後は死ぬしかなくなってしまうので(笑)。

――この記事を読んだ小西さんよりも若手の声優は、きっとみんな背筋が伸びそうですね(笑)。

小西:それは嫌だなぁ(笑)。僕は、アドバイスしたい人じゃないので。自分も相談したことないし、アドバイスもしないんです。うん、思い返しても、多分ゼロですね(笑)。

というのも、誰にでも「自分に合う考え方」があるわけじゃないですか。だから、いくら僕が良かれと思って伝えたことも、その方に合わないことだってあるし、そもそも50年以上かけて育ってきた僕の持っている言葉が、正しく伝わらないこともいっぱいあると思うんです。

だから、僕の考え方もあくまで「参考の一つ」とだけ思ってあんまり信じないでほしい、というのが正直なところかな(笑)。

――でもたしかに、この企画でも10人以上の声優さんにインタビューを重ねてきましたが、みなさんそれぞれ自分なりの演技に対する考え方があって、同じ方は一人もいませんでした。

小西:そうそう。例えば、感覚を大事にする方に、理論的に教えてとお願いしても上手く伝わらないんじゃないかと思います。感覚で出来てしまっているから。でも逆もしかりで。それって「共通言語」がないからだと思うんです。

「どのやり方が優れているか」ではなく、人それぞれのお芝居のやり方があって、それは試行錯誤して経験を重ねたり、誰かのやり方を参考にしたりしながら、自分だけの方法を見つけていけばいい。

前回お話しをした、現場でのキャラクターづくりと同じで、枝を伸ばしては切って、伸ばしては切って……その繰り返しだと思います。

――トライ&エラーが大切なんですね。

小西:そうですね。とくにエラーがないと、何もわからないまま進んでしまうこともあると思います。

どんな現場でも、自分ができる最大限のパフォーマンスを出すことは当然で、その場でできなかったことは持ち帰り、より前に進むためにはどうすればいいのかを考える。

何が上手くいかなかったんだろう?
何が足りなかったんだろう?

落ち込むのではなく、色んなことを経験に転換して「次にやるべきことは何か」と切り替えるのが大切かなと思います。

僕は、そんなふうに考えてしまうタイプですね。

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