高校球児たちによる熱戦がいよいよ開幕!
照りつける太陽、流れ落ちる汗、真剣な眼差し――。
高校野球を愛してやまない著名人が、
その熱い想いを語り尽くす!
かみじょうたけし/‘77年12月31日、兵庫県出身。ピン芸人。「かみじょうたけしのブレイクしたいねんっ!!」、「こんちわコンちゃんお昼ですょ!」(毎日放送)、「ジェイコムアワー 街ネタ天国」(J:COM)などに出演。「アメトーーク! 高校野球大大大好き芸人」(テレ朝系)で高校野球好きの本領を発揮。
大水洋介(おおみずようすけ)/’82年12月12日、青森県出身。’01年に飛永翼とお笑いコンビ・ラバーガールを結成し、ボケを担当。「キングオブコント2014」決勝進出。現在、「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)に金曜レポーターとしてレギュラー出演中。趣味は大リーグ・高校野球観戦。
いけだてつや/’82年11月20日、熊本県出身。ピン芸人。ラバーガールらと共に「白黒アンジャッシュ」(千葉テレビ)にレギュラー出演中。高校時代は野球部に所属。超が付くほどの高校野球観戦フリークで、地方の高校の練習試合を観戦しに行くことも。かみじょうらと共に「アメトーーク!」にも出演。
interview
かみじょう「挨拶や礼儀とか人間形成に
すごく必要なことを
教えてくれる」
大水「声のよく出る子が好き。
背番号14番は
声が出る子が多い」
いけだ「一期一会のトーナメントで
エラーや逆転劇も
あるところが魅力」
――まずは、皆さんが高校野球に興味を持ったきっかけは?
僕は、兵庫県の淡路島出身でして。小学校6年の時、「いざなぎクラブ」で少年野球をやっていたんですけど、親父に連れて行ってもらった甲子園の兵庫県予選で淡路島の津名高校が公立ながら準決勝まで行ったんですよ。その時の試合が神戸弘陵戦で。それを観に行って「俺も津名校で野球部に入るぞ!」という強い気持ちを持ったんです。確か、1989年かな? それまでも軽くは観てましたけど、そこから、高校野球にどっぷりはまっていきましたね。
そんなすごい歴史を聞いちゃったら話しにくい…(笑)。
すごくない、すごくない。ただ、親父と予選を観に行っただけやで(笑)。
僕は、小学校の頃からテレビで甲子園を観ていたんですけど、生で観に行ったのが2007年の智弁学園対仙台育英の試合。
あった、あった。由規(現・東京ヤクルト)ね。
そうです! 仙台育英のピッチャーだった由規が、甲子園最速を出した試合だったんですよ。注目のカードだったんでお客さんも満員。球場に入った瞬間、あの雰囲気に圧倒されて、これは毎年行こうと決めたんです。それから毎年観に行っていますね。
由規の球速は、155Km/hやったっけ? その時の智弁の1年生のバッターが今、滋賀県にできた社会人チームでやってるんですよ。
僕は、ずっと野球をやっていて。ちっちゃい頃から甲子園を観ていたんですけど、僕らの時ってちょうどJリーグが始まって野球部がすごく少ないんですよ。漫画の「スラムダンク」も流行っていて、野球をやっている子どもがいなくて…。
僕は熊本出身なんですが、熊本と言えば「松山商業VS熊本工業」戦の奇跡のバックホームですよ。それを観ていたら、親父が「あれ星子さんの家のせがれだぞ、余裕だろ。めちゃくちゃ足速いぞ」って。それで、これはもう熊本に夏の優勝旗が来るぞって思ったらアウトになってしまって。「えぇ~」って思いましたよ(笑)。それをいまだに覚えています。
この時のタッチアップで帰って来られなかった星子(崇)さんは、今、熊本で「たっちあっぷ」っていうスナックを経営していて。いまだに生還できてないのかな?(笑)
(笑)。
東京に出てきてからは、事務所の先輩のアンジャッシュ・渡部(建)さんの母校でもある都立日野高校の試合を観に行ったりして。劇的な逆転サヨナラホームランとかが出た試合だったんですけど、あまりに興奮しずぎて渡部さんが「わぁ~」ってやっているところが一般の方が投稿されたYouTubeにちょっと映っちゃったんです(笑)。それぐらいから地方大会や練習試合まで観に行くようになりましたね。
いけだくんと大水くんとは、今年のセンバツで会って。大水くんは、あの決勝戦が初めましてやったっけ?
そうですね。あの日は、大雨で1時間くらい押したんですけど、試合前の阪神園芸さんの動きに感動しちゃいました。甲子園に行ったら、あれは観ないと。
解説の山下智茂(元星稜高校監督)さんと実況の森本栄浩アナの後ろで合羽を着ながら観たよね。山下さんを見た時、この人が“甲子園の魔物”かって思いましたね。
僕は、かみじょうさんにもびっくりしました。雨で押しているのに、夕方の5時くらいから仕事入っているって言って。マネジャーさんに電話して「なんとか仕事ずらせないか」って(笑)。「えっ? そんなことできるの」って思いました。
最初の出演だと間に合わんし、「トリにしてくれんか」って。でも、それだと失礼だから、「ギャラもいらんし」って言って。
変な話、2015年のセンバツ決勝戦は、その時しか観られないですしね。
そうそうそう! その一瞬の輝きだけやから。
ライブも、その一瞬の輝きですけどね(笑)。
その日だけ観に来てくれてるお客さんもいるわけですし(笑)。
もう、みんなで甲子園来たらええやん! 甲子園来てくれたら、なんぼでも物まねするし。
(笑)。
――改めてお伺いしますけど、高校野球のどんなところに魅力を感じますか?
もう好きすぎて分からなくなってきてるわ(笑)。二人は分かる?
最初は「一期一会」感がすごいじゃないですか、トーナメントだし、高校生のスキルだとエラーもあったり逆転劇もあるし、そこにプロにない魅力を感じまして。それで、もっと幼ければもっと面白いんじゃないかって思って、中学や小学生の試合も観に行くようになりましたね。
高校野球を観ると、プロ野球も面白くなるんですよね。高校野球で対戦したあいつとあいつがまた対戦しているとか、全部が楽しめる。あの選手がプロを辞めて監督さんになったみたいな感じで。
全部観ておかないと、海外ドラマの「24」をシーズン3から観ている…そんな感覚になってきちゃっているんですかね。
僕も、やっぱり好きになったきっかけは予選だったんですよね。甲子園でやっている試合も観たりしますけど、予選で負けるチームも一生懸命、高校野球をやっている。グランドでやっている人だけじゃなくて、3年間ベンチ入りできずにスタンドで応援しているやつがいる。甲子園ではなく、地方球場で試合が終わったら3年生の引退式をやってるんですよ。いろんなことを想像したら涙出てきて。
確かに。もう、何人の親になったことか。
分かる! なってる! 完全に選手の親の気分ですよ。
そうなんですよ。結婚したことないけど、相当なビッグダディです(笑)。完全に父性愛ですよね。
3年生の周りを1年生や2年生、父兄が囲んでる。関係者じゃないけど、近くに行きたいんや! 監督が何を言ってるのか、父兄の方への感謝の言葉とか、あれを聞きたいんや!
(笑)。
兵庫の須磨東高校が快進撃で結構上まで上がっていったことがあるんですよ。結果的に甲子園には行けなかったけど、その時のキャプテンがお父さんに「8歳で始めた野球。本気の野球は今日で終わります。グローブ買ってくれてありがとう。お母さん、弁当作ってくれてありがとう」って…。ちょっと待ってください。思い出したら、涙出てきてもうた(笑)。お父さんもお母さんも、ごっつ泣いてて。その次に、なぜか僕が泣いていたイメージ。自分が高校3年生の時、親にあんな風に素直に「ありがとう」って言えました? 高校野球って挨拶や礼儀とか人間形成にすごく必要なことを教えてくれるんですよ。試合には、負けたかもしれないけど、お父さん、お母さんに胸張ってありがとうって言えるなんて、ホントに素晴らしいこと。僕なんて30歳超えて、やっとですよ。そんなこと言えるようになったのは。それでも、やっぱり照れくさいし。でも選手たちは堂々と「ありがとう」って言って、泣いて。この子らすごい大人やなって思うわ。
自分の気持ちを素直に伝えられるってすごいことですよ。
――ご自身の地元の高校はやっぱり気になるものですか?
僕は青森出身なんですけど、学生の頃、決勝は必ず観に行くようにしていて。仕事を始めてからは機会が減ってしまいましたけど、青森山田と光星学院の2強がずっと続いているんですよ。でも最近、青森高校が出てきて。青森の頭のいい御三家って呼ばれる学校の一つで、ここが出てきたら盛り上がりますね。
公立が出てくると、また盛り上がるんですよ! 進学校で賢い子が多いと強かったりする。野球は考えるスポーツって言いますしね。
熊本の済々黌はズバ抜けた進学率で、OBも偉くなった方が多いんです。久々の選抜出場の時、びっくりするぐらい寄付金が集まったらしいですよ(笑)。皆さん、すごい出世だなって。結構、文武両道の高校が多いんですよね。
――皆さんの「母校愛」はいかがですか?
母校愛は大切ですよね。アンジャッシュの渡部さんが千葉テレビで冠番組やっていて、それの収録日と母校の試合が重なっちゃって、収録が始まっているのに渡部さんが来ないんですよ。自分の冠番組なのに(笑)。そうしたら、遅れて現場にやって来た渡部さんが「日野」って書いてあるTシャツを着ていて。アンジャッシュさんってお二人共同じ日野高校なんですけど、児嶋さんはロケに参加していたんですよ。でも、なんでだかは分からないですけど、最終的に児嶋さんのほうが悪いんじゃないかっていう空気になっちゃって(笑)。真面目にロケに参加していた児嶋さんが悪者で、母校の野球を観て日焼けした渡部さんが正しいみたないな。それくらい、母校愛って強いものなんですよ(笑)。
そうなるわなぁ。
僕は、熊本の必由館(当時は熊本市立高校)という学校の出身で、1学年上にオリックスの馬原(孝浩)選手がいました。僕はブルペンでキャッチャーがとりこぼすボールを拾う係だったから、フォークの練習をしてくれないとボールが来ないという(笑)。一回甲子園に出たりしましたけど、当時決勝まで観に行った時、済々黌に負けたんですよね。今年もいいチームができているので楽しみですよ。
僕は、青森南っていう公立校なんですけど、とにかく弱いんですよ。僕が生きているうちに甲子園出場は、なかなか難しいのかなぁ(笑)。僕、中学で野球をやっていて、高校ではやっていないんです。で、球技大会の時にソフトボールでまあまあ活躍したんですよ。そうしたら、監督がぜひ野球部にきてくれって。それだけ層が薄いんです(笑)。だいぶブランクがあるからって断ろうとしたら「君なら即レギュラー」だって。そんなレベルなんで、毎回一回戦、二回戦負けているんです。何とか、頑張ってほしいですけどね。
僕の出身校である津名高校は、今年ええチーム作っていて。去年の秋、3位で近畿大会に行きまして、箕島に「6-5」で負けて選抜には行けなかったんですけど、ええチームなんですよ。エースの潮崎(彰成)ゆうのが、ぼくも入っていた「いざなぎクラブ」の後輩で、家もめちゃくちゃ近所。潮崎くんのお父さんが僕よりちょっと上なんですけど、保育園からずっと一緒でね。小学校6年生の時、ソフトボール投げで64、5メートル投げたんですわ。僕の中では「ソフトボール投げの潮崎くん」いう記憶(笑)。野球も上手かったですけどね。去年、潮崎くんっていうピッチャーがおるって聞いた時「あれっ?」と思って実家電話したんですわ。そうしたら、ソフトボール投げの潮崎くんの息子やって分かって。さらに、ソフトボール投げの全国大会で80メートル以上投げたらしいんです。これ、プロ野球選手だって投げられない人いると思いますよ。小6の時に、ぶっちぎりで全国優勝。すごいですよね。
僕は、32メートルぐらいでしたね。
そんなもんやで。投げられる子で40メートルぐらいやと思う。
最近は、ソフトボールからも見つけるんですかね。北海道日本ハムにもソフトボール出身のキャッチャー入りましたしね。
――地方大会ならではの楽しみ方はありますか?
やっぱり、球場に行かないと見えてこないものがありますよね。以前、前橋商業の試合を観に行った時、ものすごく太鼓が上手な子がいたんですよ。本当に尋常じゃないぐらい。野球部の控え部員なんですけど、まるでYOSHIKIさんみたいな(笑)。炎天下の中、その音がすごくて。一回でファンになっちゃって、その子を観に行ったことがあるんですよね(笑)。試合が終わったら、ピッチャーより先にアイシングするんですよ。ピッチャーの代えはいるけど、その子の代わりはいないんだって。絶対にテレビ中継では、そんなの分からないじゃないですか。球場に行かないと味わえないですよね。
なんか、スタンドを見ちゃうんですよね。国士舘の応援はトレーニングも兼ねてスクワットを取り入れたりしているんです。でも、動きが激しすぎて、ゼェゼェ言っちゃって声が出ていなかったりして(笑)。
日大三高はベンチにゴムチューブつけて、そのまま弁当食おうとしているんです。弁当食べる時までインナーマッスル鍛えようとしてる(笑)。神宮球場を器具にしようとしているなんてすごいですよね。神宮大会の前くらいって肌寒くなってくるんですよ。そのくらいになるとコーヒーをドリップしている方がいるんです。僕らは「猿田彦さん」って呼んでいるんですけど(笑)。後は、ベテラン中のベテランの方はファールチップが真横に落ちてもぴくりともしない。話を聞いたら「俺には当たらない」って言われて。なんか、かっこいいなと思っちゃいました(笑)。
いや、当たる当たる。いつかは当たるって(笑)。
神宮第二球場って結構傾斜がある球場なんですけど、そのベテランの人はあんなこと言っておきながら後ろから跳ね返ったボールには当たるんですよ。ファールフライは当たらないけど、バウンドボールは当たるんだなって(笑)。
地方球場って、ホントにいいですよね。
関西には、豊中ローズ球場っていうええところがあるんですよ。何がええってね、今年「高校野球100年」って言われてますけど、第一回はこの豊中球場で行われたんですよ。甲子園は10回大会からだったかな? 阪急電車が走っているところが見えたり、大阪国際空港も近くにあったりするので、ものすごく低いところを飛行機が飛ぶんですよ。カキーンって打ったら、ボールと飛行機がかぶる(笑)。
飛行機とボールって合いますよね。巨人の阿部慎之助さんの母校・安田学園の練習場が鎌ヶ谷の自衛隊基地の横なんですよ。滑走路がホームベース側に並んでいて、スレスレを飛んでいくという。それがかっこよくて何回も観に行きました。マジで、大物スラッガーが入ったら打ち落とすんじゃないかなって (笑)。
豊中の近くにはね「チロル」ってカレー屋さんがあるんですけど、そこでカレー食べてから観にいったりしますね。
お得なグルメ情報(笑)。大宮公園球場のおにぎりとキュウリも有名なんですよ。キュウリが売っていて、それを球場でかじりながら観るのがトレンドと言いますか、大宮の人たちには親しまれているんです。たまに、キュウリをかじりながら球場入ってくる人も(笑)。myキュウリを持ってくる方もいますね。
もう、ホンマ来てください。豊中ローズ球場に。ええところですから。8月1日にはお祭りがあって、これ、J:COMさんで生中継しますから。
宣伝だ(笑)。この間、行ってきた山梨の富士北麓球場は最高でしたね
あそこは日本一美しい球場ですよ。
場外越えたら樹海ですよ。ボールを取りに行った選手も見つからないんじゃないかっていわれるくらい、危険なところなんですけど…。
標高が高いんで、ボールが飛ぶんですよね
なるほど。
何でだかは分からないけど、審判の声も高くて通るんですよね。テえィ(ストライク)! みたいな(笑)。
なんなら、ポテトチップスもちょっと膨らんでいるみたいな(笑)。
最終的に、全部標高のせいみたいな話になっていて。もしかしたら、いつの日か「標高策」が出るかもしれない(笑)。
標高策?
その時は当たり前のように話してましたけど、よくよく考えたら「標高策」って何のことだろう(笑)。
とりあえずピッチャーには球数投げさせるとか?(笑)
僕は、大谷翔平(現・北海道日本ハム)が3年生の夏、準決勝で160Km/hを出したのがニュースになって、これは決勝戦を観に行かなきゃと思って、夜行バスで岩手まで行ったんですよ。
花巻東の試合を観にいったんだ。
球場に着いたらすごい人かなと思ったら誰もいなくて、僕が着いた10分後に雨で中止ってことになったんです。岩手まで来たのにどうしようと思ったんですけど、このまま終わるわけにはいかないなと。そして、いろんな地方大会を調べたら横浜スタジアムで神奈川大会の準決勝が行われる日だったんですよ。ものすごくいい対戦カードだなと思ったから、すぐ新幹線に乗って横浜へ(笑)。
えっ、岩手から!?
そうです。結局、岩手を経由して18時間かけて横浜スタジアムに着くという。普通に家からだったら40分で行けたのに(笑)。
雨、降んねんな。甲子園でもよう降るし。
――今年の夏、注目している選手&チームは?
今年はね、やっぱり母校愛もあるんで津名高校の潮崎。兵庫は注目しているんですよ、神戸国際大付や甲南とか。
甲南は最近強くなりましたよね。
近畿大会優勝で自信つけているんでね。ちょっと今、兵庫では神戸国際大附属が一歩リードしているかな。打撃はいいけどピッチャー陣がそんなによくなかったという印象だったけど、エースの塩田と2番手の東郷がいい。バッター陣も去年の夏から出てる竹村とか4番の谷本、2番の植村くんとか。これは神戸甲南ボーイズのときから注目されてたけど、投打に充実している今は楽しみ。
確かに強いですね。
2番手は関学(関西学院)ちゃうかなって思っていて。ピッチャーとキャッチャーにええのがおって、エースが4番。これは、なかなか強いですよ。去年の秋には神戸国際大付と「1-0」とか、ごっつええ勝負してたんちゃうかな。で、3番手には我が母校、津名が入ってくるんじゃないかな。これは贔屓目なしに(笑)。
津名は面白いと思いますよ。
もちろん、報徳もね。
そう考えると兵庫県って層が厚いですね。
神奈川とか東京、大阪もそうやけどね。
大阪は激戦区ですよね。
大阪はやっぱり、大阪桐蔭かな。大阪桐蔭があって、それを追いかける履正社の2強。他には大阪偕星学園。もともと、此花学院という名前だったんですけど名称が変わって、倉敷高校の監督を呼んだんですよ。それで、福田という速球派のピッチャーも監督についてきたという。だから、結構強くなっていて、今春も準優勝でしょ? 面白い存在になると思いますね。四条畷や大塚もええなぁ。
PLを観る機会がどんどん減っていくのが寂しい。今年が最後のドラフトなんて言われたりしてますもんね。
内野手のグルラジャニ・ネイサン!
PLのネイサンをはじめ、活躍が楽しみな外国人選手は結構いますね。
関東第一のオコエ瑠偉とか。近江高校のサラサル…
サラサル英二!
彼も注目されていますよね。
そういえば元ロッテの監督・山本功児さんの息子さん。九州国産大付の山本武白志もいいですよね。大会で3試合連続ホームランを打ったことあるし、2年生の時には甲子園にも出ています。
福岡も強い高校が多い。久産大久産とか。
飯塚と東福岡もそうですね。
自由ケ丘も力をつけています。
福岡も結構大変だなぁ。
――好みのチーム&選手のタイプは?
僕は完全に打撃のチームが好きですね。
僕も同じです。
体がデカい子がいいですよね。とにかくずんぐりむっくりした子(笑)。
去年二松学舎大付にいた秦くんは大きかったですね。
甲子園でもホームラン打ったしね。今、前橋育英にいる井古田くん。ファーストを守っている選手なんですけど、大きな体の割に歌姫くらいのレベルの声でしゃべる。あまりにミスマッチすぎて大好きになっちゃった(笑)。
安田大サーカズのクロちゃんみたいな。
クロちゃん以来の緩急。
声がよく出る子はいいですね。背番号14番は、声が出る子が多い。
14番はセカンドの控えなんですよ。体はちっちゃいですけど、その分ベンチにいて、大きい声を出して盛り上げようという子が多くて。
14番が声でかい確率は高いですよ(笑)。
これ“高校野球あるある”なんですけど、公立のそんなに勝てないチームとかでベンチでひたすら声出している子がいたりするんですけど、スクイズのサインの時に声を出さなくなるという(笑)。
バレバレ(笑)。
まじめが故にだとは思うんですけど、スクイズするよっていう緊張感が伝わりすぎるんです。かわいらしいですよね。
足が速いチームも好きですね。
健大高崎とかね。全力疾走は気持ちがいい。
今年は常総や土佐高校。全力疾走って高校野球だと当たり前かもしれないけど、土佐高校の全力疾走って尋常じゃない。
レベルが違う。球場内のボールボーイがボールを取りに行く時も、サークル入る時やベンチの中でも、ガンガン走ってますし。止まることがないんですよ。一度試合を観に行った時、ゲームセットの後に「ありがとうございました!」って頭さげて、相手チームが手出して握手しようとしているのに、もうベンチのほうに戻っている(笑)。
余韻がないんですね(笑)。
それは速すぎるなぁ(笑)。でも、そんなところが好きですけどね。
僕は智弁和歌山みたいな7点取られるけど、11点取るみたいな豪快なチームも好きなんですよね。緻密な野球をするチームもいいけど、そんなん知らんかったわ! みたいにガンガン根性でやってきたみたいな。
よく「1―0」で勝つのがいい試合とかって聞きますけど、日大三高の小倉先生が言っている「絶対10―0で勝ったほうがいいでしょ」という考え方も分かるんです。だって、そのほうが安心もできますし、「1―0」の美学にこだわることはないんです。高校生なんだから何があるか分からない。だからバンバン打っていけみたいな話を聞いていると、すごく高校野球っていうものの美学にとらわれちゃっているところもあるんじゃないかって感じたりするんですよね。
慶応義塾は練習の時、グラブトスから入りますね。上田監督がアメリカンナイズされているからなのかな? 髪の毛も伸ばしていいですからね。
それは、他に理由がありそうな気がするけど…(笑)。
――皆さんの中で、印象に残っている監督は?
甲子園の応援席に智弁和歌山の高嶋監督がいらっしゃったんですけど、何だかとても寂しかったんです。やっぱり、高嶋さんにはベンチで仁王立ちしていてほしい。
智弁和歌山は2大会出てないですからね。高嶋さんって、いつも仁王立ちしているじゃないですか? 高倉健さんが「健さんって座らないんですよね」って周りの人が言うから座れなくなったんじゃないかって言われたりしますけど、高嶋さんもそうなのかなと思っていたら、5回のグラウンド整備の時にベンチ裏でずっと膝をさすってるらしい(笑)。選手に聞いたから間違いないと思うわ。
監督さんって、やっぱりすごいですよね。日大三高の小倉さんは、選手と同じ練習をして膝のお皿を割ったことがあるらしいです。帝京の前田さんは腹筋バキバキだし。
高嶋先生は選手たちをよく走らせるけど、自分はその倍以上走る人だから。龍谷大平安の原田さんなんかは「平安愛」がすごすぎて、ユニホームに書かれている平安の文字をきれいにみせるために、胸の筋肉をつけるトレーニングをしてムキムキ。まるでプロレスラーみたいになっとる。
すごいですよね(笑)。筋肉がつきすぎてノックがやりづらいらしいですよ。新入生が入ってきた時に「俺の体を見ろ! これが筋トレの悪い例だ」って教えているみたい。悪い例だって分かってるんですよね(笑)。
ユニフォームたたむときにも最終的に平安の文字が見えるようにたたむんですよね。絶対そこにしわを作らない。
明徳義塾の馬渕監督って結構自分なりの言葉を使われるんですけど、金属バットのことを「アルミ」って言ったりするんです。智弁和歌山の練習を観ている時にたまたま聞こえてきた言葉が「智弁はアルミを爪楊枝みたいにするな」って。何のことかなって思っていたら、スイングスピードが速いということを言いたかったみたいで(笑)。なに言っているんだろうって
竹バットのことを爪楊枝言うたじゃなくて? すごいね(笑)。
すごいんですよねもう。
元開成高校監督の野村さんは、バットを日本刀のように扱いますからね。鞘に収める動きをしたりして。
ノックの時は、その動きにタイミングよくボールを渡さないといけないですからね。野村さんはノックの時に声が出てないと打たないんですよ。結局、打たないまま試合前の練習が終わったことありますからね(笑)。
横浜高校の小倉コーチは、野球をやっていて一生に一回あるかないかくらいのプレーを選手たちに練習させるんです。例え一度もプレーに出なかったとしても、いざその時が来た時に動けないのが嫌なんですって。反復練習も大事なことなんですけど、自分たちが知らないプレーをなくさせるっていうのもすごい考え方だなと感じましたね。
小倉と聞いて思い出しましたけど、日大三高の小倉監督が早実にコールド負けした後、選手たちを鍛え直す意味の厳しいコメントを残したんですよ。子どもたちが聞いたら震え上がっちゃうような。でも、普段の小倉さんはものすごく温厚な方で。趣味は花を育てること。胡蝶蘭を30株ぐらい育ててらっしゃるそうです(笑)。
龍谷大平安の原田さんもフラワーアレンジメントが趣味。
なんで「花」なんでしょうかね。
原田さんの場合は、奥さんが花屋さんで働いている影響もあるのかも(笑)。
撮影:松本健太郎
取材・文:小池貴之
協力:亀山 慧