2024/7/6(土)放送
パラスポチアーズ!
〜パラアスリート全力応援〜
ロンドンで勝ち取った金メダルの栄冠を再び日本へ…固い決意を胸にパリを目指すゴールボール女子日本代表キャプテン・高橋利恵子選手を紹介。また、アスリートたちの意地とプライドがぶつかりあう世界パラ陸上の熱き戦いに迫ります!
守備の要であるセンターを務める、ゴールボール女子日本代表キャプテン・高橋選手。東京大会では予選で崩れてしまい、自分らしさが出せず、悔しい思いをしました。そんな高橋選手を勇気づけた前キャプテン・浦田選手の言葉とは…
石山大輝
パラ陸上競技【男子走り幅跳び(視覚障害T12)】
【神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会を終えて】
日の丸を背負って戦えるチャンスだったので、ギリギリ自己ベストを更新できて良かったです。ゆくゆくは世界記録を出したいと思っていますし、出せると思うので、そこに関してはブレずにいきたいです。今日一日だけ銀メダルをしっかりと喜んで、また明日からトレーニングに励んでいきます。
川上秀太
パラ陸上競技【男子100m(視覚障害T13)】
【神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会を終えて】
2着で悔しい結果ではあるんですけど、しっかりパリパラリンピックの出場枠は獲得することはできたので、パリパラリンピックでは1着を獲りたい。パラリンピックでも期待していただければと思います。応援ありがとうございました。
伊藤竜也
パラ陸上競技【男子400m(車いすT52)】
【神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会を終えて】
前回の世界選手権で銅メダルを獲得したので、それを守れてホッとしています。でも自分の中でやりたいこととか、やりきれていないこととかたくさんあるので、そこを詰めていって(パリでは)より良いメダルを獲得したい。
©J:COM
応援団長の中山秀征がパラスポーツを体験しながら、ルールやテクニックなどを解説し、その魅力に迫るとともに、パラアスリートの熱い思いを聞く。
第14回は、ゴールボール女子日本代表の高橋利恵子選手と、2024年世界パラ陸上で躍動したアスリートたちに迫る。
パラリンピック特有の競技の女子日本代表を、主将としてまとめる
ゴールボールは、オリンピックにはないパラリンピック特有の競技。視覚障がいのある選手が3対3で対戦し、ボールを相手ゴールにバウンドさせて投げ入れて得点を奪い合う球技だ。全盲から弱視(B1〜B3クラス)の選手まで出場できるが、公平な条件で試合を行うため、全員目を隠すアイシェードを装着し、ボールの中に入っている鈴の音を頼りにプレーする。コートの広さはバレーボールと同じ縦18m×横9m、ゴールは高さ1.3m、幅はコートの横幅と同じ9m。ゴールの幅が広いため、選手は鈴の音が聞こえたら体を横に投げ出し、できるだけ広範囲をカバーしてゴールを守る。高橋選手のポジションは守備の要センター。日本女子代表の主将も務める。
前主将の言葉を胸に、自分らしいプレーでチームを牽引する
応援団長・中山秀征が高橋選手にインタビューし、主将になったときの感想を尋ねると、高橋選手は「いろいろな先輩方が務めてきて、(チームの)実績も残してきている。自分でいいんだろうかという気持ちも感じました」と答える。日本女子は、アテネ2004パラリンピックで銅メダル、ロンドン2012パラリンピックで日本の団体競技初となる金メダルに輝き、東京2020パラリンピックでも銅メダルを獲得した実績がある。そんなチームの主将を引き継ぐのは、プレッシャーがあっただろうが、前主将の浦田理恵選手の存在が支えになった。浦田選手は北京2008パラリンピックから4大会連続で出場し、2021年をもって代表から引退。ともに出場した東京大会は、高橋選手にとって忘れられない大会になった。「予選で崩れて自分らしさが出せず、悔しさも感じる大会でした」と振り返る。予選リーグ初戦で大敗し、その後の試合でスタメン落ち。そんな高橋選手に、浦田選手は「絶対出番は回ってくる。自分らしくやれば大丈夫」と声をかけてくれた。高橋選手は「“自分らしく”を自分のモットーと感じています」という。「自分の楽しくプレーするスタイル自体が、運とかを呼び込むと思っているので、楽しんでいこう」。そう気持ちを切り替え、自分らしい明るく思いきりのいいプレーを取り戻した高橋選手はスタメンに返り咲き、ブラジルとの3位決定戦で銅メダル獲得に貢献した。
高橋選手によると、日本代表は「(センターの)私が投げるふりをして足音を立てて、別の場所からウイングプレーヤーが投げるとか、騙すような動きを得意としている」という。しかし駆け引きを武器に臨んだパリ2024パラリンピックは、東京大会3位決定戦の再戦となったブラジルに準々決勝で敗れ、5・6位決定戦でも惜敗して6位。悔しさだけが残る結果となったが、それも受け止め、自分らしく前に進んでいく。
パリへの切符をかけた世界パラ陸上で、日本のアスリートが躍動
2024年5月、パリ大会への切符かけた世界パラ陸上競技選手権大会が兵庫県・神戸市で開催。日本勢が躍動し、計21個のメダルを獲得した。
男子走り幅跳び視覚障がい(T12)の石山大輝選手は最後の6回目の跳躍で、自らが持つ日本記録を1cm更新する7m08cmを跳び、準優勝。パリ大会への切符をつかんだ。「自己ベストを出したいと思っていて、できたので良かったです。今日だけ銀メダルを喜んで、明日からトレーニングしていきたい」。開会式で旗手を務めたパリ大会は5位。目標だったメダルには届かなかったが、充実した笑顔を見せた。
男子100m視覚障がい(T13)では川上秀太選手が、自らのアジア記録を更新する10秒70で2位。「パラリンピックで1着を」と臨んだパリ大会では銅メダルを獲得。視覚障害クラスで日本男子がメダルを獲得したのは、36年ぶりだった。
男子400m車いす(T52)では38歳の伊藤竜也選手が持ち味のスタートダッシュを決め、3着でフィニッシュ。2大会連続で表彰台に立ち、38歳にして初めてパラリンピック出場を決めた。100mでも5位に入賞した伊藤選手は、パリ大会でも2種目に出場。100mは8位、400mは10位という成績だった。
文/佐藤新