2024/8/10(土)放送
パラスポチアーズ!
〜パラアスリート全力応援〜
ボッチャはチーム戦でパラリンピック2大会連続でメダル獲得中。パリにも期待が高まっており、今回はチームのキーマン廣瀬隆喜選手をご紹介。さらに視覚障害者柔道のメダル最有力候補・瀬戸勇次郎選手も登場。
ボッチャのチーム戦は、それぞれ自身の特性を活かした役割を持っており、中でも廣瀬隆喜選手は、ほかの選手よりも筋肉量が多いことからパワーボールを武器にチームを勝利に導きます。注目はなんといってもスーパープレーが飛び出したときの雄叫び。パリの大舞台でも廣瀬選手の大きな声が響くか注目です。
東京パラリンピックの銅メダリストでありながら、出場した66kg級が廃止となり、階級変更を余儀なくされた瀬戸勇次郎選手。増量し73kg級に転向するも、当初はなかなか結果が出ず。しかし稽古を重ね、世界ランク1位に上り詰め、最高の状態でパリに挑みます。
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応援団長の中山秀征がパラスポーツを体験しながら、ルールやテクニックなどを解説し、その魅力に迫るとともに、パラアスリートの熱い思いを聞く。
第19回はボッチャ男子の廣瀬隆喜選手と、視覚障がい者柔道男子の瀬戸勇次郎選手を紹介。
ボッチャ日本代表チームの中核を担う現役レジェンド
ボッチャは、対戦する両者がそれぞれ赤と青の6球を投げ合い、自球をより白い的球(ジャックボール)に近づけた方が勝者となるパラスポーツ。ルールはシンプルだが、ボールをどう配置し、どう弾いて動かすかなど、緻密な戦術とそれを実現するボールコントロールが求められる。種目は男女の個人戦、男女混合ペア、3対3の男女混合チーム戦があり、日本代表はリオデジャネイロ2016パラリンピックで銀メダル、東京2020パラリンピックで銅メダルを獲得。その代表チームの中核を担うのが廣瀬選手だ。1984年生まれの廣瀬選手は、先天性の脳性まひにより四肢に障がいがあるが、中学生の頃からさまざまなパラスポーツに挑戦し、高校3年生でボッチャを始めた。競技歴は20年以上で、パラリンピックは東京大会まで4大会連続出場。ボッチャ界の現役レジェンドであり、完璧なショットを放ったときに上げる“雄叫び”が代名詞だ。
相手ボールを弾き出す力強い投球と雄叫びがトレードマーク
そんな廣瀬選手に応援団長・中山秀征がインタビュー。ボッチャの戦術について質問し、「作戦がうまくいったときに雄叫びが出るわけですか」と尋ねると、「リオ大会のときに出し過ぎて、帰国してからメディアの撮影のときにも『雄叫びを上げて』とお願いされた」と苦笑しつつ、「自分のトレードマークだし、チームを声で盛り上げています」と語る。
廣瀬選手とともに戦う日本代表メンバーは、東京大会個人戦(BC2)金メダルの杉村英孝選手と、遠藤裕美選手。廣瀬選手によると「杉村選手は繊細なプレー、遠藤選手はダイナミックなプレーが持ち味」とのことで、「私は筋肉がある方なので、強いボールを(邪魔なボールに)ぶつけて、味方が寄せやすいようにスペースを空けるのが仕事。それぞれの持ち味が混ざり合うと、良いプレーにつながる」とチームの強みを語る。強いボールが持ち味の廣瀬選手は、それをより発揮するため、パリ大会に向けて首を支えるカラーを着けてプレーしている。「投球に安定性が出るし、パワースタイルは首に負荷がかかりやすいので」取り入れたという。「3大会連続メダル獲得が最低目標。一番輝くものを目指してみんなで戦っていきたい」。そう語って5度目の大舞台に挑みチームの銅メダル獲得に貢献した。
レギュレーション変更に翻弄されつつも世界ランク1位へ
パラリンピックの柔道は視覚障がい者の競技として行われ、両選手が組み合った状態で試合が始まる。一般の柔道は自分の得意な形で組もうとして、お互いの手を払い合う展開になることも多いが、視覚障がい者は開始直後から投げ技の応酬になる。瀬戸選手は「開始1秒で試合が決まることもありますし、ダイナミックな投げ技で決まる試合が通常の柔道より多い。見ていて楽しいと思います」と競技の特徴、魅力を語る。
2000年生まれの瀬戸選手は先天性の視覚障がいがあったが、4歳で柔道を始め、高校生まで健常者とともに稽古に励んだ。2017年に視覚障害者柔道に転向し、2018、2019年の全日本大会を連覇。東京2020パラリンピック66kg級では銅メダルをつかんだ。しかしその後、思わぬ苦境に立たされる。東京大会は男女計13階級が実施されたが、パリ大会はJ1(全盲)とJ2(弱視)にクラス分けされた上で男女各4階級が実施されることに。全盲の選手の出場機会を広げるのが目的で、種目数は増えたが階級数は減ったため、階級変更を迫られる選手もいた。瀬戸選手もその1人で、減量が厳しく、73kg級(J2)に上げざるを得なかった。変更後、世界選手権では2年連続1回戦敗退。それでも食事とウエートトレーニングで73kg級の肉体を作り上げ、2023年から複数の国際大会で優勝。世界ランク1位に登り詰めた。「金メダルが目標ですし、今回は前回と違って、手が届く位置にいると思っています」。そう力強く語って臨んだパリ大会は、決勝で開始6秒と45秒で技ありを奪い、合わせ技一本で勝利。見事に金メダルに輝いた。
文/佐藤新